ジー・ワークス制作研究所の關口さん
食いしん坊雑誌『dancyu』に載ったおいしい逸品を贈り物に――。2005年の販売開始以来、知る人ぞ知るギフトカタログとして愛されてきた「dancyuグルメギフトカタログ」。ここにきて売り上げが絶好調で、来年のリニューアルでさらにパワーアップ予定です。雑誌の世界観を再現したギフトカタログは、どのように生まれたのか。本商品のマスターライセンシーであるジー・ワークス制作研究所代表取締役の關口智一さんに話を聞きました。
ギフトカタログメーカーとdancyuを結びつけたジー・ワークス制作研究所の關口さん。
ギフトカタログメーカーとdancyuを結びつけたジー・ワークス制作研究所の關口さん。
“dancyuファン”の夢からスタート

――「dancyuグルメギフトカタログ」は、ジー・ワークスさんからの持ち込み企画でした。

【關口】2003年の後半だったと思います。ギフトカタログメーカー「大和」の社長さん(当時)が『dancyu』の愛読者だったこともあり、「dancyuのギフトカタログがあったらいいよね」と当社の代表(当時)に話されたのがはじまりです。いわば雑談から始まった思いつき企画を託されたのが私でした。私たちは広告制作を生業にしている会社ですが、プレジデント社さんとは、雑誌を贈るギフトカタログでお付き合いがあった程度で、これといったコネクションもなく、ゼロから話を聞いていただく状況でした。

――ご苦労があったそうですね。

【關口】ええ。編集部のOKをなかなかいただけませんでした。大切なブランドが使われるわけですから、慎重になるのは当然のことです。今だから言えるのですが、了承いただける前提で、大和さんと私たちで準備を進めていたんです。「このまま話が消えたらどうしよう……」と頭を抱える日々でした。GOサインをもらい、編集部との試食会などを経て、発売開始にこぎつけたのが2005年の終わり。2年以上かかったということですね。

――カタログに掲載されている品は、どのように選ばれたのですか。

【關口】『dancyu』に掲載された品から、ギフトカタログに向くものを選んでいきました。それぞれのお店や食品メーカーさんに、大和さんが交渉をしていきましたが、これが難しい。『dancyu』が自信を持って載せる品は、大量生産品ではなく、希少であることが多いんです。カタログを通じて、数百数千という注文が入るかもしれない。年中対応いただければならない。「とても対応できない」と断られる一方で、「dancyuさんなら」と引き受けていただいたケースもありました。

――実際に、ビジネスがはじまって、感じたことは。

【關口】dancyuブランドへの「信頼」ですね。品質に問題がないのは当たり前で、お客様が「おいしいに違いない」と感じてくださる。また、贈って喜ばれるだけでなく、お相手から「センスがいい」と思ってもらえるんです。これは、通常のギフトカタログにはない魅力です。

カタログは木箱に収められて、お手元に届く。
カタログは木箱に収められて、お手元に届く。
最高の売り上げを更新している理由

――ここにきて、売り上げが伸びています。

【關口】dancyuグルメギフトカタログの売り上げは、大きな浮き沈みがなく、安定していました。ところが、ここにきてグンと伸びてきています。『dancyu』本誌がそうであるように、カタログも首都圏のお客様が中心でしたが、最近では関西や九州からもご注文いただけるようになっています。地方の企業様がキャンペーンに使ってくださるお引き合いも急増しています。

――なぜ、そんな現象が起きているんでしょうか。

【關口】出版不況の中でも本誌の売り上げが伸びていること、編集長がテレビやラジオなど、さまざまなメディアに出ていることがダブルで効いて、認知度がアップしているからだと見ています。企業のご担当者様、幹部の方がdancyuファンというケースも目立ちます。読者の方々が、ギフトカタログのお客様にもなってくださるので、好循環ですね。

――2022年にカタログをリニューアル予定です。

【關口】前回のリニューアルから、6年ほど経ちました。今回のリニューアルは、商品の大幅入れ替えというわけではなく、dancyuの世界観をより楽しんでいただける誌面へのアップデートを予定しています。お中元やお歳暮だけでなく、ギフトを贈るシーンの多様化が進んでいます。これまで以上に、本誌とコラボさせてもらい、贈る人、贈られる人の両方に喜んでいただけるギフトカタログにしていきたいです。