モグロース博士の回答ものごとを深堀りして、ハッキリさせることがスキ。
聴覚が発達し、耳より情報や世間の声をつかむことが得意。
ハッキリ言って、満足している人としていない人はほぼ同数(当アンケート結果より)。ただ、年収交渉と情報収集は転職エージェントを使った方が有利だね!
ネットで転職エージェントの評判について調べると、不満や後悔の声が次々と出てくる。希望に合わない求人ばかり届く、担当者にしつこく急かされる——そうした体験談を読むうちに、「使わない方がいいのではないか」と不安になる人は多いだろう。
しかし、アンケート調査の結果を見ると、実態はそれほど単純ではない。転職エージェントを使って満足した人と不満を持つ人はほぼ同数で評価は割れたものの、「使わなきゃよかった」とまで後悔した人はごくわずかだった。さらに、エージェントを使わずに自力で転職活動を進めた人のなかには、年収交渉や企業の情報収集でつまずき、かえって後悔したというケースも少なくない。
こうした明暗を分けているのは、サービスそのものの良し悪しではなく、一人ひとりが置かれた状況だ。使わずに成功する人と、使わないと後悔する人のあいだには、決定的な違いがある。
本記事では、PRESIDENT Growth調査チームが実施した転職経験者100人へのアンケート結果をもとに、転職エージェントが「おすすめしない」と言われる理由、自力応募で得られるメリット、そして使わずに成功する人と後悔する人を分ける決定的な違いを解説する。
| 調査主体 | PRESIDENT Grow調査チーム |
|---|---|
| 調査時期 | 2026年6月 |
| 調査対象 | 20代〜50代の転職経験がある人 |
| 有効回答数 | 100人 |
| 調査方法 | クラウドワークスにおけるアンケート調査 |
目次
「おすすめしない」は多数派の本音ではない|評価は拮抗、それでも強い後悔は100人に1人
転職エージェントへの評価は、ネット上の評判ほど否定的ではない。PRESIDENT Growth調査チームのアンケート(n=100)で利用後の感想をたずねた。
| 感想 | 人数 |
|---|---|
| 非常に満足 | 1人 |
| まあ満足 | 34人 |
| どちらともいえない | 28人 |
| あまり満足していない | 36人 |
| 非常に不満 | 1人 |
注目すべきは、強い不満を示した人が、100人中わずか1人だったことである。不満を抱く人は一定数いるものの、利用したこと自体を後悔するほどのケースは、ほとんど見られなかった。
ただし、この数字は「転職エージェントは万人にとって良いものだ」と単純に言い換えられるものではない。満足35人、不満37人、どちらともいえない28人と、評価はほぼ三分され、拮抗している。
では、不満を抱いた人は、いったい何に不満を感じたのか。「おすすめしない」という声の正体を、具体的な不満の中身から読み解いていく。
転職エージェントが「おすすめしない」と言われる3つの理由
不満の声は、大きく3つに集中していた。
| 不満点 | 件数 |
|---|---|
| 希望に合わない求人が大量に届く | 64件 |
| 担当者の連絡がしつこい・急かされる | 52件 |
| どこにでもある「大量募集案件」ばかり紹介される | 30件 |
| 内定ノルマ優先で、自分のキャリアを軽視されたと感じる | 25件 |
| 担当者の専門知識が低く、話が通じない | 11件 |
| 不満はない・特になし | 6件 |
最も多いのは①「希望に合わない求人が大量に届く」(64件)。「大量募集案件ばかり」(30件)と合わせれば、求人のミスマッチが不満の筆頭だ。これに②連絡のしつこさ・急かし(52件)、③ノルマ優先によるキャリア軽視(25件)が続く。
一見バラバラに見えるが、これらには共通する背景がある。転職エージェントは、求職者の入社が決まって初めて企業から報酬を受け取る成果報酬型のビジネスだ。担当者は一度に数十人を抱えるため、「早く・多く決めたい」という力学がはたらく。結果として、マッチ度より量を優先して求人を送り、決断を急かし、ノルマに直結する案件を勧める。不満の正体は、担当者個人の資質よりも、この構造にあるといえる。
30代
エージェントから採用されるとは思えない求人ばかりを送りつけられて、採用に向けた動きが進みませんでした。1カ月近く続いたので後悔が強いです。
30代
内定が出たとき、担当者から「今日中に承諾しないと条件が悪くなる」と強烈にプッシュされました。ノルマのために急かされている感じがして、不信感から辞退しました。
もっとも、これらは人が介在する「エージェント」に特有の不満である。自分で求人を探して応募する「転職サイト」や直接応募なら、しつこい連絡もノルマの押しつけも起こりにくい。では、エージェントを介さず自力で動いた人は、実際にどう感じたのか。
エージェントを「使わずに成功した人」は2割!自力応募で得られた本当のメリット
エージェントを介さない「直接応募」や「リファラル(知人紹介)」を経験した人は、全体のうち77人で、8割近くにのぼる。なかでもエージェントを一切使わず、自力応募のみで転職した人が20人いた。
| 経験 | 人数 |
|---|---|
| ある(エージェントと併用した) | 57人 |
| ない(すべてエージェント経由) | 23人 |
| ある(自力応募のみで転職した) | 20人 |
では、自力で応募した人は、何にメリットを感じたのか。
| メリット | 件数 |
|---|---|
| 自分のペースで進められた | 46件 |
| 企業担当者と直接話せて意思疎通が楽だった | 33件 |
| 紹介料がかからない分、採用に有利だと感じた | 21件 |
| エージェントにはない「熱意」を直接伝えられた | 8件 |
| 年収交渉がしやすかった、希望が通った | 4件 |
上位は「自分のペースで進められた」(46件)と「企業と直接話せて意思疎通が楽だった」(33件)。エージェントを通さないことで、急かされず、認識のズレもなく、自分の手で活動を運べたということだ。前項で見た「しつこさ」「急かし」「ミスマッチ」の、ちょうど裏返しが自力応募のメリットになっている。
30代
自力応募した企業では担当者と直接やり取りができ、自分の疑問点を率直に確認できたため、納得感を持って選考に進めました。
30代
自分できちんと管理できていることも含めて、(企業に)アピールできた。
ただし、この表には見落とせない点がある。「年収交渉がしやすかった」を挙げた人は、わずか4件にとどまったことだ。自力応募で得られるのは、ペースや意思疎通といった「進め方の自由」であって、年収などの「条件面の得」ではない。
エージェントを「使わないと後悔する人」の決定的な弱点|年収交渉と情報収集でつまずく
自力応募で「条件面の得」が薄いことは、年収交渉のデータにはっきり表れている。自力で応募した人にその後の交渉をたずねると、最も多かったのは「交渉のやり方がわからず、提示額をそのまま受け入れた」で34人。自分から交渉して年収が上がった人は、わずか8人にとどまった。
| 交渉の結果 | 人数 |
|---|---|
| 交渉のやり方がわからず、提示額をそのまま受け入れた | 34人 |
| 自分から交渉したが、変わらなかった | 18人 |
| 交渉しなかったが、企業から好条件を提示された | 8人 |
| 自分から交渉し、年収が上がった | 8人 |
| 年収にこだわりはなかった | 7人 |
注目すべきは、前項で「転職エージェントを使わずに転職した」と回答した自力応募のみの20人のうち、9人が「提示額をそのまま受け入れた」と答えていることだ。エージェントを使わずに転職できても、相場やタイミングを自分で読み切れず、提示額を飲むしかなかった人が少なくない。年収という「条件面」では、むしろ不利になりやすいのだ。
弱点は年収だけではない。自力での転職活動で「最も苦労したこと」を聞くと、上位には情報と客観性に関わる項目が並んだ。
| 最も苦労したこと | 人数 |
|---|---|
| 書類添削や客観的なアドバイスがないこと | 21人 |
| 企業の内部事情(社風・残業など)の情報収集 | 20人 |
| 面接日程の調整や管理 | 17人 |
| 年収や入社日の直接交渉 | 13人 |
| 特に苦労はなかった | 5人 |
書類への客観的な助言(21人)、社風や残業の実態(20人)、日程調整(17人)、条件交渉(13人)。いずれも、本来はエージェントが代わりに担う役割である。これらをすべて自分で進めるのは困難に感じる部分も多いだろう。
エージェントの利用で成功する人と後悔する人を分ける「決定的な違い」
転職で成功する人と後悔する人を分ける決定的な違いは、「エージェントを使ったかどうか」ではない。求人探し、年収交渉、企業の内部情報、書類への客観的な助言、日程調整など、転職エージェントが行う内容を、自分で代替できるかどうかである。
これらを自前でまかなえる人は、使わなくても成功する。まかなえないまま一人で動くと、年収や情報の面で後悔につながる。まずは、自分がどちらに近いかを確かめよう。
- 応募したい企業・業界がすでに明確で、求人探しに迷わない
- 自分のペースで、急かされずに進めたい
- 企業の担当者と直接話し、納得して決めたい
- 直接応募やリファラル(知人紹介)のルートを自分で持っている
- 年収へのこだわりが薄い、または自分で交渉できる自信がある
- 年収を上げたい、条件交渉を有利に進めたい
- 業界・職種を変えたい、未経験の分野に挑戦したい
- 社風・残業・定着率など、企業のリアルな内部事情を事前に知りたい
- 書類や面接について、客観的なアドバイスがほしい
- 在職中などで、情報収集や日程調整に時間を割けない
ここで注意したいのは、この二つは、どちらか一方を選ぶものではないということだ。多くの人は、「企業は自分で決められるが、年収交渉には自信がない」というように、両方の特徴をあわせ持つ。
それを裏づけるのが、利用パターンと満足度の関係だ。今回のアンケート調査で最も転職に対する満足度が高かったのは、エージェントと自力応募を使い分けた「併用」層だった。
| 利用パターン | 人数 | 満足層の割合 |
|---|---|---|
| 併用(エージェント+自力応募) | 57人 | 42.1% |
| すべてエージェント経由 | 23人 | 34.8% |
| 自力応募のみ | 20人 | 15.0% |
併用層は全体の約6割を占め、満足度が最も高い。一方、自力応募のみの層で満足度が下がるのは、前章で見た年収交渉や情報収集の壁を、一人で抱え込んだためと考えられる。だからこそ、自分で動ける部分は自力で進め、苦手な交渉や情報収集は転職エージェントに任せるといった使い分けが、後悔を避ける最も現実的な答えになる。
では、その「いいとこ取り」を実現するには、エージェントとどう付き合うべきか。最後に、後悔しないための賢い使い方を見ていく。
後悔しないための「賢いエージェントの利用方法」
「併用が最適解」とはいえ、ただ登録すれば不満が消えるわけではない。「急かし」「ミスマッチ」「ノルマ優先」は、成果報酬型という構造から生まれる以上、付き合い方を間違えれば誰にでも起こりうる。鍵は、エージェントに「選ばれる側」から、エージェントを「選ぶ側」へ視点を切り替えることだ。後悔しないための要点を、3つに整理する。
①「自分でやる部分」と「任せる部分」を最初に決める
併用で失敗しないコツは、役割を自分で線引きすることだ。「応募したい企業がある」「自分のペースで進めたい」といった要望はエージェントに積極的に伝えよう。一方で、年収交渉や企業の内部情報、書類の客観的な添削に関しては、エージェントの価値が最も出るところである。すべてを委ねるのではなく、自分の苦手なものだけを補ってもらうことで、急かしやミスマッチに振り回されない第一歩になるだろう。
② 2〜3社に登録し、合わない担当者は迷わず替える
エージェント担当者の質は、運に左右される面が大きい。最初から2〜3社に登録しておけば、相性の良い担当者を選べるうえ、紹介される求人の幅も広がる。1社に絞ると、その担当者の対応が悪かったときに逃げ場がなくなる。複数社の利用は転職活動では珍しくないため、たとえば大手転職エージェント(doda・リクルートエージェント・マイナビAGENTなど)と以下の併用パターンで探してみるとよいだろう。
- ハイクラスや管理職
- JACリクルートメントやビズリーチを併用すれば、高年収求人や管理職案件に強くなる
- 専門職(IT・医療など)
- レバテックやマイナビ看護師を追加すれば、業界特化の求人にアクセスしやすい
- 未経験職種に挑戦
- ハタラクティブのようなサポート特化型を加えると書類通過率や面接対策が手厚い
- 女性のキャリア
- 女性向け特化エージェントを併用すると、育休制度や働きやすい環境が整った求人を見つけやすい
③「要注意なエージェント」のサインを見逃さない
構造上の不満とは別に、そもそも距離を置いたほうがよい担当者もいる。今回のアンケートでも、こうした声が寄せられた。
20代
受ける数が多いほど通過率も上がると言われ、こちらのペースや希望条件は二の次でした。面接対策や企業の相談をしたくても話が通じず、ダメ出しばかりされました。
次のような担当者は、求職者ではなく自分の数字を優先しているサインだ。
- 検討の時間を与えず、即決を強く迫る
- 希望と合わない求人を、説明もなく大量に送ってくる
- 「とりあえず応募」を勧めるばかりで、求人の中身を説明しない
- 希望条件を否定するだけで、代わりの選択肢を示さない
こうしたサインを感じたら、担当変更を申し出るか、別の会社に切り替えよう。主導権は、つねに自分が握っておくことが、後悔しない転職への近道である。
(イラスト=マンガデザイナーズラボ)