チーム強化が最大の課題。部下との関わりに注視

チームでもっとも部下と近い距離にいるのが課長・係長・主任クラス。課長職に就いて何が大切かを問うと(Q1)、85.7%の女性が「部下との接し方・チームビルディング」と回答。チームの総合力を高め、仕事の成果を上げるうえでもチームビルディングがすべての基本になるため、課長職の目下の課題は部下とどう信頼関係を築いていくかにあるようだ。

課長のスキル

課長職になって習慣にしたことは(Q2)、「部下の意見に耳を傾ける」「毎日部下全員と言葉を交わす」「部下全員と公平に接する」など、部下との関わりを意識した回答が多く挙がり、結果として「部下が自ら考えて行動するように」「何でも相談してもらえるようになった」(Q3)など、チーム強化につなげられたよう。

しかし、課長職の女性たちに現在の幸福度をたずねると(Q4)、部長職や役員クラスの女性に比べ、幸福度がわずかながら低い結果に。はじめての管理職に戸惑い、奮闘しつつも、まだ100パーセントの自信を得ていないからだろうか。しかし、今のポジションで試行錯誤しながら取り組んだことのすべてが、続く部長職、役員職へとキャリアアップしたときに役立っていくのだ。

課長職以上に組織力を高め、部署を俯瞰ふかんして見る力が必要

より役員・経営者サイドに近い立場となり、部としての成果を上げることが求められる部長・次長クラス。部長職になって大切だと思ったことをたずねると(Q1)、9割以上の回答を得てトップに挙がったのが、課長職同様「部下との接し方・チームビルディング」だ。部下と近い距離に立つ課長以上に部長たちはチームビルディングの大切さを挙げている。

部長のスキル

4位に挙がった「業務改善・風土改革などの環境づくり」が、課長職の結果より約10ポイント多いことから、より働きやすい環境づくりもチームビルディングの一環として注視しているよう。ただ、その他の回答として「平常心」や「忍耐力」が挙がっていることから、部長職には精神的な強さが必要となる場面が多いのだと推測できる。

幸福度を見ると(Q4)、課長職に比べて不幸だと感じる女性が減り、幸福度が7以上と答える女性が増え、課長より部長のほうがより心が安定するといえそう。試行錯誤した課長職から、責任の重い部長職へとステップアップしたことで、リーダーとしての強い自信が芽生え、より仕事がおもしろくなっている様子が目に浮かぶ。

プレッシャーは大きくとも、幸福度はもっとも高い

会社の経営に携わる経営者・役員クラス。会社の意思決定を担う役割のため、その責任の重さはほかの役職とは比べものにならないほど大きくなる。そんな現役役員女性たちがもっとも大切だと感じるのが「考察力・決断力」(Q1)。その他の回答に「法務などの基礎知識」が挙がっているように、会社の命運を分ける決断に携わることもあるため、重要視されるよう。

役員のスキル

また、実際に役員になって取り組んだこととして「メンタルを強くするため、毎日瞑想めいそう」「パフォーマンスを上げる食事」「決断のスピードを上げる」(Q2)などがあり、こういったコメントを見ると、日々心身のメンテナンスを行い自己鍛錬に取り組む、まるでアスリートのような姿がイメージできる。それほど役員はストイックに自分磨きを行っているよう。

だが、責任の重さゆえ、多大なプレッシャーと闘い、疲れ切っているのかと思いきや、役員に就いている女性の幸福度は高く、幸福度8~10と答えた女性が半数以上と多い(Q4)。ひとつずつステップを上がり、自己実現を果たしてきたからこそ、今の自分に満足し「幸福」だと胸を張って言えるのだろう。

管理職に必要なことは、自己コントロール

働く女性のうち管理職になりたいと考える女性はいまだ4割にも満たないのが現実だが、実際に管理職になった女性たちは日々努力を重ね、成果を追求し続けている。そのために行うべきことのトップに挙がったのが「自己の感情コントロール」だ(Q1)。すべての役職で、チームマネジメントのためにもっとも大切な要素といえる。次に「健康管理」が挙がったことから、多くの管理職は、部下のマネジメント以上に、自身をコントロールすることのほうが大切だと考えているよう。

管理職のスキル総まとめ

アンガーマネジメントだけでなく、あらゆる感情、自身の健康に至るまでコントロールできるリーダーが、仕事の成果を生みだすとわかっているのだろう。それを裏付けるように、女性管理職の振る舞いで「イヤだな」と思うことを問うと、「人前で感情的になる」(Q2)がトップに挙がった。感情的に声を荒らげたり、泣いたりするリーダーは、部下の信頼を失い、チームの士気は一気にダウンする。よりよい環境をつくり、最大限の成果を得るために、感情コントロールはリーダーにとってもっとも必要なスキルだと多くの経験から学んでいるようだ。