いよいよ年末。もっとも寒い時期といわれる「冬至」は、外出も億劫になり、運動不足になりがち。この時期の効果的な乗り切り方を知り、ココロとカラダを養生しましょう。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/RyanKing999)

冬の折り返し点である、冬至。ここから春に向けて鋭気を養おうそして、骨には

12月22日から1月4日は冬至で、昼がもっとも短く、夜が長いのが特徴です。夜が長いということは陰が強く、陽が不足している状態です。陽は太陽の光に代表される暖かいエネルギーなので、冬至は、一年でもっともカラダが冷える時期かもしれません。

一方、冬至は冬の折り返し点であるため、少しずつ春の準備をしなければなりません。この季節にちょうど新年を迎えるため、春に向けて鋭気を養っていきましょう。

寒さのピークを迎える冬至。カラダを温めることで今の季節を乗り越え、春に向けた準備も行いましょう。季節のはじまりの初候は、ゆず湯に入ってカラダを温め、風邪の予防に努めましょう。この時期にはちょうどマグロが旬を迎えます。

季節が進む次候では、新年を迎えるための最終段階。12月29日は「苦」を連想させるため、28日までには準備を終わらせ、心身を整えることが大切です。ちょうどこの頃、カボチャや魚のコイが旬を迎えます。季節の終わりである末候には、正月を迎えます。おせち料理には、健康長寿を願うさまざまな願いが込められていますので、思いをかみしめながら味わいましょう。

運動不足が、免疫力を低下させる理由とは

この時期は、寒さもピークになり、外に出るのが億劫になります。そのため、運動時間が減ることで足腰が弱くなり疲れやすくなることで、病弱になりがちです。運動は免疫力を高めるため、運動時間の低下は免疫力の低下につながり、感染症などのさまざまな病気に発展していきます。特に、重力のない宇宙に行くと骨がもろくなることが知られていますが、寝てばかりの生活や運動不足は骨に圧力がかからないので同様に骨がもろくなるとと考えられます。骨には免疫細胞を産生するなど役割があり、骨が弱ると免疫細胞を産生できなくなり、さまざまな感染症にかかりやすくなります。そのため、この時期は免疫力を上げるような対策が必要です。

冬至の時期には新年もはじまることから、心機一転、何事にも頑張りたいとき。しかしながら、体調が悪いと足腰に力が入らずに動き出すことがしんどくなったり、パワーが出ないこともあります。カラダの衰えは気力の衰えにつながるので、周りの変化に比べて自分だけが頑張れていないと感じるかもしれません。この時期のココロの落ち込みは体力の衰えによるものかもしれませんので、あまり気にせずに、ココロだけでなく、カラダに目を向けたケアを行うようにしましょう。

骨の免疫細胞産生力をアップさせる、負荷運動をしよう

「カラダとココロの養生法」

骨に負荷をかける運動には、レジスタンストレーニングが効果的です。レジスタンストレーニングは、筋肉に負荷(自重・重りなど)をかけながら行う運動で、骨だけでなく筋肉の発達にも効果的です。一番簡単な方法は自重トレーニングです。例えば、背部のトレーニング(プランク)は仰向けになり、ヒザを直角に曲げた姿勢から、息を吐きながら腰を持ち上げます(図表1)。このとき呼吸は自然に続けます。腰を上げすぎず低すぎず、首からヒザまでが一直線の状態を維持します。腰を下げるときは、首のほうからゆっくりと床に下ろします。

【背部トレーニング】

また、前腕のトレーニング(バックブリッジ)では、手を床に肩幅より広めにつき、ヒザ(または、つま先)を床につけます(図表2)。頭から床についたヒザ(またはつま先)が一直線の状態を保ったまま、ヒジを曲げて上体を下ろします。このとき、腰が反るまたは曲がってしまわないように意識します。ヒジを曲げて下ろせるところまで上体を下ろしてから、ヒジを伸ばして元の姿勢に戻ります。

【バックブリッジ】(左)OK(右)NG

旬のカボチャと、足ツボマッサージで免疫力をアップ

「食養生」

この季節の旬はカボチャです。カボチャはカラダを温める作用があり、ビタミン・ミネラルが豊富な食べ物です。収穫の時期は夏なのでカラダを冷やすように思われがちですが、ビタミンやミネラルが豊富であるため、免疫力を高め、風邪の予防にも効果的です。

また、黒豆も旬を迎えます。黒豆はおせち料理にも含まれますが、精をつけるとともに造血作用もあります。大豆イソフラボンは、ホルモンの源となり、心身のバランスを整えてくれる成分です。

「お勧めのツボ」

冬至を乗りきるためのおすすめのツボは湧泉ゆうせんです(図表3)。湧泉は土踏まずの前方の中央にあり、足の指を曲げたときにもっとも凹むところです。このツボは、カラダの元気が湧き出る泉であり、ここを刺激することで足腰を強くしてくれます。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。

イラスト=uateliar(イラストAC)

マッサージとレジスタンストレーニングで、腎臓を鍛えよう

【タイプ別・腎臓を鍛える方法】

東洋医学では冬は「じん」と関連が深いと考えらえています。「腎=腎臓」ではありませんが、共通点も多いようです。例えば、腎臓の働きが低下すると、老廃物や不要物のろ過・排泄が十分にできなくなってしまい、さまざまな症状を引き起こします。また、カラダの中に老廃物が蓄積した状態では、免疫機能が低下し、カラダを守る防御力の低下が起こります。そのため、健康な人と比べて風邪などの感染症のリスクが高まるのです。そのため、腎臓を鍛えて健康を維持することが大切となります。

一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さやストレスで交感神経が亢進しています。交感神経の亢進は、血圧を上げ、腎臓を傷つけることになるため、副交感神経の活動を高めることが大切です。そのためには、腎臓とその上にある副腎を刺激するようにしましょう。

副交感神経の活動を高めるためには、お腹と背中を刺激してみましょう(図表4)。まず、両手の指の第1・第2関節だけを曲げ、おヘソのすぐ横に押し当て、両手をグリグリ上下に動かしながらもみほぐします。同様に指2本分外側をもみほぐす。さらに手を外側に移動させ、脇腹の中央をもみます。そして、両手握りこぶしを脇腹中央から背中へと移動させ、第3関節で腰の筋肉を左右にもみほぐします。

【腎マッサージ】

生活リズムの乱れが原因の生活習慣タイプの人は、減塩が必要です。腎臓は食事として摂取した塩分を尿として排泄する働きがあり、塩分を摂り過ぎると過剰排泄となり、腎臓に大きな負担がかかります。また、腎臓は食事として摂取したタンパク質を代謝し、尿素やクレアチニンなどの老廃物を尿として排泄。タンパク質を多く摂り過ぎると、腎臓からしか排泄することができない尿素やクレアチニンなどが体内で増加し、腎臓への大きな負担になります。そのため、食事の調節が大切です。

日本人の塩分摂取量は1日11~12gといわれていますが、厚生労働省は生活習慣病の発症予防として、男性は8g以下、女性は7g以下と定めていることから、塩分の多い食べ物には注意しましょう。また、タンパク質に関しても極力量を減らすことが望まれますが、タンパク質は必須アミノ酸に含まれているため、主食であるご飯や麺類を減らし、おかずからタンパク質を取るようにするといいでしょう。

年齢による加齢タイプの人は、お腹や腰周りの筋肉が低下しています。腹筋や背筋のレジスタンストレーニングを行うことで、筋力強化を。プランクやバックブリッジ、さらにはサイドブリッジ(図表5)を行いましょう。サイドブリッジはヒジから下の腕と、足の外側で姿勢をキープします。ヒジは肩の真下にし、目線は前に置くのがポイントです。いずれの筋トレもそのままの状態を5~10秒キープする運動を1回とし、1日10回程行いましょう。

【レジスタンストレーニング】サイドブリッジ(目線は前に)

なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

冬至は冬の折り返し点。寒さのあまり外に出たり、運動することが極端に減ることで、足腰が弱くなり、腰が曲がったり、骨がもろくなったりします。そのため、室内で自重トレーニングを行うようにし、骨や筋肉を鍛えながら、新年を迎える準備をしましょう。

「冬至の特徴」

●心身の症状
カラダ:筋力が低下する、疲れがたまる
ココロ:やる気や気力がない

●季節に多い症状
免疫力の低下(風邪・感染症)

●心身の養生法
腎臓を鍛える(レジスタンストレーニング・腎マッサージ)

●食養生に効く食材
カボチャ・黒豆

●ツボ
湧泉ゆうせん