秋から冬の正しい過ごし方で、老化が防げる!?
11月8日~11月21日は立冬で、木々の実が落ちはじめ、葉が色づく時期です。朝夕の寒さにも少しずつ慣れはじめ、いよいよ冬がスタートします。
春に種をまき、夏に成長し、秋に実をつけてきた心身を、冬に一度リセットし、新たな春を迎えるために準備をするのがこの時期。秋から冬の前半にしっかりと心身を鍛え、リセットに必要な体力をつけないと長い冬を過ごせません。そのため、秋の過ごし方を間違えると老化が進んでしまうとされていますので、十分注意しましょう。
立冬は、冬の気配が山や里にも感じられ、木々の葉が落ちて、冷たい風が吹き、冬枯れの様子が目立ってきます。
季節のはじまりの初候には、ミカンがおいしい季節を迎え、海ではヒラメが旬を迎えます。また、枯葉を集めて落ち葉焚きをする風景がこの時期の印象的なシーンでしょう。季節が進む次候では、茶畑に白い花が咲き乱れ、わびさびを感じ、毛ガニやホウレン草が旬を迎えます。
終わりである末候には、水仙の花が咲き、「マヒワ」と呼ばれる冬を告げる鳥が北から渡ってくるとともに、甲イカやレンコンが旬を迎えることで、本格的な冬のはじまりを告げます。
老化のサインは、泌尿器系のトラブルから。免疫力アップに努めよう。
冬のはじまりである立冬は、老化のはじまりの時期とも言われています。老化の初めに現れるのは、泌尿器系のトラブル。頻尿にはじまり、残尿感や膀胱炎などのトラブルが多発します。また、ホルモンバランスもくずれ、肌荒れや下腹部・腰背部痛、さらには生理不順なども認められます。そのため、下腹部や骨盤周りを温めてケアすることが大切です。
ちなみに下腹部や腰背部は、子宮や卵巣、膀胱などと同じ部位から出る神経がコントロールしています。そのため、お腹や背中が冷えているということは子宮や卵巣、膀胱などの機能が低下しているとも考えられます。一度、下腹部や骨盤に手を当て、冷えていないか確認してみましょう。もし、手が暖かく感じるようであれば、骨盤内臓器の機能がかなり低下しているかもしれません。
立冬は、野山の葉っぱも落ちて、少し物悲しさを感じます。物悲しさから気分が落ち込むと、免疫力を低下させ、風邪や感染症にかかりやすくなったり、アレルギーや炎症などの症状を起こしたりしやすいとされています。春に向けての目標を決めるなどして、目的を持った生活を送ることがココロの充実にはとても大切であるため、メリハリのある生活を送るように心がけしましょう。
骨盤内臓の温め方と、食養生で“冷え”をケアしよう。
「カラダとココロの養生法」
下腹部や骨盤部を温めると、骨盤内の臓器血流が良くなることが知られていることから、ヘソの下や骨盤の上辺りを温めるといいでしょう。なお、温める方法によって骨盤内臓器の影響も少し異なります。
例えば、入浴(40℃前後)では皮膚表面は簡単に温まりますが、骨盤内臓器を温めることはできません。一方、カイロ(45℃前後)は、皮膚深部から骨盤内臓器を温め、さらにお灸(60℃前後)は、骨盤内臓器など深部組織の状態を改善します。そのため、日頃からカイロを下腹部や骨盤部に貼ったり、夜にはお腹にお灸を据えたりするなど工夫をすると、膀胱や子宮、卵巣の機能が改善しやすくなります。また、足首の周りをコントロールしている神経は、膀胱・子宮・卵巣をコントロールしている神経と同じため、足首の周りを温めることで、膀胱や子宮、卵巣の機能は改善します。足へのお灸や足湯などを定期的に行うといいでしょう。
「食養生」
この季節の旬はレンコンです。レンコンは喘息の改善に効果があり、痰を切り、炎症を抑えてくれる役割があるので、風邪の初期症状にはとても効果的です。さらに老化防止作用もあり、血液の浄化や解毒・利尿作用もあります。ただし、レンコンはカラダを冷やす作用があることから、カラダが冷えているときには摂りすぎないようにしましょう。
また、ブドウは補血作用があるため、体力の消耗時に効果的です。寒さにより体力が弱っているときに、とても良い食材といえます。
「お勧めのツボ」
立冬を乗りきるためのお勧めのツボとして三陰交があります(図表1)。三陰交は内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人指し指が当たっている所で、すねの骨の際です。このツボは、婦人科のツボとして有名なツボで、生理痛や更年期の症状に効果的なだけでなく、消化器系や腎臓、泌尿器症状など骨盤内臓器に関する多くの症状に効果があります。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。なお、足の内くるぶしあたりを触って冷たい場合は、ドライヤーで温めたり、お灸を行うことをお勧めします。
アンチエイジングは、マッサージと運動食事で対処しよう
【タイプ別・アンチエイジングの対処法】
この時期は、寒さに加えて日照時間も減り、外で運動することが極端に少なくなります。若さを保つための秘訣には運動が必須ですが、運動時間が減ることで、カラダ自体が老化へと進んでいきます。さらに冬独特のストレスや食習慣の乱れで、老化が進みやい時期でもあるため、この時期にはアンチエイジング対策がお勧めです。
一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、ストレスにより、カラダを傷つける活性酸素が生じやすくなります。対処法として、カラダを温めながらストレッチをしましょう。特にお風呂の中で顔の筋肉や手足の筋肉をほぐすことはとても効果的です。
お勧めのホットストレッチは、お風呂の中で、口元や眼もとの筋肉など顔の表情筋をほぐす運動や「あ・い・う・え・お」の母音を発音するように口を大きくあけてストレッチするのも効果的です。また、手や足裏のマッサージもいいでしょう。手や足の指を回したり、引っ張ったり、手のひらや足裏の中央を押したりと、気持ちいいと感じる強さでマッサージします(図表2)。
生活リズムの乱れによっておこる生活習慣タイプの人は、活性酸素を抑えてくれる食べ物や食べ合わせがとても重要になります。特にビタミンA・B・C・E、ポリフェノール、リコピンなどがアンチエイジングの食材として注目されています。また、糖化と呼ばれるタンパク質変性が老化に関わっていることも見逃せません。糖化はタンパク質と糖が結びついたところに高温が加わると起こり、カラダを老化に導きます。そのため、食べ物だけでなく調理法にも気を使うことが大切です。
特に大豆に含まれ、女性ホルモンと構造が似ているイソフラボンは、骨粗鬆症の予防や更年期障害への対策だけでなく、肌の調子を整える働きがあります。また、活性酸素を抑える抗酸化作用もあるため、アンチエイジング対策にはとても重要な食品です。そのため、納豆や豆腐など豆類をなるべく多く摂取し、ホルモンのバランス調整だけでなく、アンチエイジング対策も行いましょう。
筋肉を鍛えて、成長ホルモンの分泌を促す
年齢による加齢タイプの人は、筋肉を鍛えることが大切です。強度が強い運動を行うと成長ホルモンと呼ばれる若返りホルモンが筋肉から分泌されるため、若々しさを保つことができます。
運動は、少し強度の強い3方向ひねり腹筋運動がお勧め。①仰向けでヒザを曲げて横になり、バンザイの格好をします。②その状態からカラダを起こし、手を右、中央、左と各10回ずつ行います(図表3)。なお、強度の強い運動は成長ホルモンを誘発させるだけでなく、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンを誘発します。テストステロンはエストロゲンのような女性ホルモンの原料になるため、アンチエイジング対策には重要なホルモンです。
なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。
立冬は冬へのはじまりの時期です。カラダが冷えることで生殖器系や泌尿器系などさまざまな不調が現れるのがこの時期の特徴です。そのため、日頃からお腹や下肢を温めるようにして骨盤内臓器の冷えを防ぐことが大切です。
「立冬の特徴」
●心身の症状
カラダ:ホルモンバランスの乱れ、泌尿器系の症状、老化
ココロ:もの悲しい、気持ちの落ち込み
●季節に多い症状
老化が進む
●心身の養生法
カラダを温める、抗酸化の食材を摂る、運動する
●食養生に効く食材
レンコン・ブドウ
●ツボ
三陰交(さんいんこう)