いま活躍している女性管理職たちも、着任当初は不安も失敗もあったはず。ここでは彼女たちが着任した当初の100日間を振り返ってもらい、その実体験や乗り越えたエピソードを語ってもらった。

▼ヤフー 検索サービスカンパニー開発本部 リーダー 斎藤広美さん
部下が動きやすいよう冷静に観察し性格を見極めて対応

新卒入社ののち、エンジニアとして「ヤフー・路線情報」や「ヤフー・乗換案内」を支えて7年目。自分がいたチームのリーダーに昇格。現在は7人のエンジニアを束ねる。

斎藤広美●ヤフー 検索サービスカンパニー開発本部 リーダー。2007年エンジニアとして入社。「Yahoo!路線情報」サービスのウェブ版、携帯電話版、アプリなどの技術部門を担当。13年4月から現職。

管理職になって戸惑ったのは、もともと同僚だった人の勤怠や業務の管理をしなくてはいけなくなったこと。これまでの専門とはまったく毛色の違う、マネジメントの仕事だ。ヤフーでは毎週、部下と上司がキャリアについて話し合う「1 on 1」という制度があり、部下と常にコミュニケーションを取っている。

「大切なのは、部下が成長できる環境をつくることなんです。それにはメンバーの性格や得意・不得意を理解し、その人の成長に合わせた仕事を任せることが大事ですね」

例えば、部下の自分に対する接し方だけでなく、ほかのメンバーと話しているときの反応などを客観的に見ることで、はじめて、考え方のくせや感情の起伏ポイントがわかることがある。常に部下を気にかけることが大切だ。

自分とは働き方の価値観が異なる部下のモチベーションをどう上げるかにも悩むが、部下にアドバイスをするとき、「自分が直接言ったほうがいい人、別の人に言ってもらうほうがうまくいく人、少し様子を見るほうがよい人」と特性によって対応を変える必要があることもわかってきた。エンジニアとしての冷静で公平な観察眼を持つ斎藤さんの強みが生きている。

マネジメントと専門の技術部門の業務に割く時間の割合は、6対4くらい。専門を究めたい気持ちもあるが、管理職になって「今回のような取材対応(笑)や、表に出る機会、他部署との会議など、技術者ではできない経験ができる」ことも楽しんでいる。

▼新任管理職時代、こうして乗り切りました!

《Before》自分とは価値観の違う部下に、より積極的に仕事に取り組むよう説得できない
ヤフーでは、与えられたことだけをやるのではなく、自ら考えて動くことが求められる。自分で考えて動く大切さについて話したが、働き方の価値観が違い、うまく伝えられなかった。


《After》誰に言われると動くのかそれぞれのパターンを研究した
部下の言動を冷静に観察し、考え方や、感情のくせをつかみ、上長やほかのメンバーに言ってもらったほうがよい場合には、あえて自分から直接言わないようにした。

広川智基=撮影