オトコ上司の秘密の手なずけ術【後編】

「だって」とすぐ言い訳する。「私の仕事じゃありません」と仕事を断る。集団で攻撃してくる……。女性部下は扱いにくい、と思われたらもうNG。そうならずにオトコ上司とうまくやっていく秘策を、直接教えてもらいました。

【人事】いったんつむじを曲げられるとなかなか元に戻すのは難しいですよね。僕がメールで女性の部下に仕事を依頼したら、部署の全員をccに入れて「それって何も聞いていませんし、私は悪くありません」と反論してきた。メールを送りつけられたほかの社員は「おお、なんかやり合っているな」と思っただろうね。そんなときはメールでやり合っても解決しないので、直接本人に話すようにしています。

【広報】やっぱり会話が大事だよね。新しい部署に1人乗り込んでいったときは、まず味方を1人つくろうと思って自分と合いそうな人を選んで1対1でいろいろ議論するようにしたんです。次第に話が通じ合う関係になったんだけど、その女性が産休に入っちゃって仲間を失ったという感じになっちゃいました。

【人事】やはり何か仕事を依頼するときは、自分が何をしたいと思っているか、どうしてそれをやってほしいのかを男性以上に丁寧に話をするようにしています。そうすることで女性との信頼関係ができあがると、多少の無理も聞いてくれるようになるかな。

【広報】それと、話をよく聞いてあげること。めんどくさいなと思うときもあるけど、ちゃんと聞いてあげると気分よく仕事をしてもらえますよね。でも「5分いいですか」と言ってきても、大概は30分ぐらいになっちゃう。何度も繰り返したり、いろいろ枝分かれして、ゴールが見えなくなったりするけど、それでも聞いてあげれば「あースッキリした」という顔になる（笑）。

【営業】最近効果的だなと思うのは、LINEの交換。部署の全員とマメにコミュニケーションをとっていると、「そんな話聞いていないですよ」みたいなことはなくなってくるんですよ。他愛もない話題も含めて、日頃からLINEで皆で共有することでトラブルも少なくなるし、これいいかもと思っています。

【人事】相手との距離を縮めるために、僕は恥ずかしい部分などでも自分のキャラをできるだけオープンにするようにしています。あまりやりすぎると逆にセクハラみたいになってしまうから注意してるけど。相手を見ながら接するようにしています。

そんな男たちをイチコロにする言動

【営業】営業現場だと、決めたことをやり切る力は男性より女性が上ですね。ノルマもきっちり果たすし、マネジャーとして予算の数字をつくるときも女性のほうがつくらせやすい。ここ3年ぐらい新卒では女性が新人賞をとっているし、諦めないで最後までやり切る力は本当にすごいと思いますよ。

【人事】組織のメンバーに対する愛情とか、こまやかな気配りという点ではやはり女性が長けています。チーム一丸となってがんばろうというときに最も大事なのはチームの和なんだけど、一人ひとりの個性をちゃんと見るとか、堅い雰囲気を和らげてくれるような細かい心配りをするのは、決まって女性ですね。

【広報】謙虚で言い訳しない女性だとこちらも気持ちよく付き合えるな。上司の言っていることを熱心にメモをとるとかポーズでもいいんだけど、そうされるとこの人は育てがいがあると思うし、次は何かを任せたいとか、下に誰かをつけようかなと思うときがある。

【営業】それは言える。かわいいなと思うのは理不尽なことでも言いやすい人。言いたいことはあるだろうけど、とにかくやってくれと指示して「わかりました」と言う女性はいいですね。「○○さんが言うからやるんですよ」と言われると、こっちもうれしくなります。

【人事】たまにいる。「わかりました。じゃ、今度ビール1杯ですよ」とか。

【営業】なんてかわいいんだとグッとくる。とくに「貸しですよ」と言われると気持ちいいね。

【広報】そう。本当は嫌なんだけど、あなたが言うからですよ、というぐらいのリアクションをされると気持ちいい。これって支配欲かな（笑）。

【営業】「今日はどうですか？」みたいなノリで飲みに誘われたりしたときはすごくうれしかったな。純粋に。

【人事】逆に自分で仕事の範囲を区切ってしまい、私の担当はここまでとか、それ以上は知りません、という態度を出さないほうがいいと思いますよね。それが極端になると「私の仕事じゃない」となってしまう。そうではなく、「あなたの仕事から外れるかもしれないけど、何かできることをやってみない？」と言われて、「やります」と言う人には任せてみたいと思います。

【広報】管理職になれば、それこそ自分はここまでと仕事を選べる世界ではなくなります。そうではなくて、視野を広く持って俯瞰（ふかん）的に物事を見極めて飛び越えられる人だと、任せてみたいなと思うし、女性もそのくらいの気持ちを持って管理職を目指してほしいなと思いますね。本当は期待しているんですよ、女性たちに。