営業で大事なのは本を読むことより、“本の内容を実践する”こと。考えすぎて動けなくなっているとき、たった一冊の本が動き出す勇気を与えてくれることも――。女性活躍推進コンサルタントの高野美菜子さんに「営業」のスキルが学べるおすすめ本を初級・中級・上級と分けて教えてもらいました。

営業のスキルを学ぶ
-売り上げゼロから3年連続トップセールスに変身した「きっかけ本」

私は社員教育の会社で法人に研修を売る営業をしていましたが、新人のころはずっと売り上げがゼロ。もう自分ひとりではどうにもならないと思い、先輩や同期たちにあらゆることを聞きまくるようにしました。

そのひとつが、「おすすめの営業の本を教えてください」というもの。ここで紹介した本の大半は、人から教えてもらったものです。自分にも後輩ができてわかりましたが、「教えてください!」と言ってくる後輩はかわいいし、しばらくしてから「あの本、読みました」と報告されれば、それがきっかけで話も弾む。いまから思えば、周囲の人たちと仲良くなるためのツールとして本を使っていたのかもしれません。

それに人に尋ねると、自分ではまず手に取らないような意外な本を教えてもらえる。ある先輩からは、「恋愛も営業も同じ」と恋愛の本をすすめてもらい、これが本当に役に立ちました。そのおかげもあり、3年連続トップセールス賞をいただくことができたのです。

営業で大事なのは本を読むことより、本の内容を実践すること。複雑に考えすぎて動けなくなっているとき、たった一冊の本が動きだす勇気を与えてくれることもある。そんなきっかけにするといいのではないでしょうか。

営業【初級編】
-どんな業界、どんな商品でもキホンは同じ

【左から】『あなたは絶対! 運がいい』浅見帆帆子(廣済堂出版)/『「分かりやすい説明」の技術』藤沢晃治(ブルーバックス)/『私はこうして日本一MINIを売る女になった』福田稔己(ソフトバンククリエイティブ)

『あなたは絶対! 運がいい』浅見帆帆子(廣済堂出版)
マイナス思考に陥りがちな人、自信のない人でもプラス思考になれる本。実は営業においてスキルなどより大事なのが、このプラス思考。営業をしていると落ち込むことも多いが、そんなときに読み返すと元気になれる。

『「分かりやすい説明」の技術』藤沢晃治(ブルーバックス)
「話し手は自分が話すことがわかっているけれど、聞くほうにとっては暗闇のなかで映画館の席を案内されるのと同じ」「まずは話に『標識』をつけよう」など理解度アップの技術が満載。プレゼンが苦手な人におすすめ。

『私はこうして日本一MINIを売る女になった』福田稔己(ソフトバンククリエイティブ)
平凡な営業だった著者が高級外車MINIを自腹で購入。そのよさにほれ込んだあとはトップ営業に。商品知識を学び、自信をもって商品を紹介することの大切さなど、どんな業界でも営業の基本は同じだと気づかせてくれる。

営業【中級編】
-営業は恋愛と同じ! と思えばうまくいく

【左から】『「彼の気持ち」をつかむ37のルール』野浪まこと(王様文庫)/『小悪魔な女になる方法』蝶々(大和出版)/『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』和田裕美(ダイヤモンド社)

『「彼の気持ち」をつかむ37のルール』野浪まこと(王様文庫)
恋愛も営業も相手の立場に立って考えることが大事。グイグイ押すばかりでは相手はうんざりする。そんなときはあえて連絡しない期間を設けるなど、「引いてみる」。自分を客観視することで、さらにいい関係が築ける。

『小悪魔な女になる方法』蝶々(大和出版)
銀座のホステスによる恋愛指南書だが、営業に応用できる考え方が満載。「モテる女とつるむとモテる」という法則を営業にあてはめてみれば、それは売れる営業と一緒にいるということ。考え方や行動に受ける影響は大。

『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』和田裕美(ダイヤモンド社)
著者の実体験を通じて、営業の仕事の面白さが伝わってくる本。「営業はしんどい仕事じゃなくて、楽しい仕事なんだ」と思わせてくれる。営業の仕事に疲れてきたころに読むと、再びフレッシュなパワーをもらえるはず。

営業【上級編】
-当たり前のことができているか、再確認

【左から】『人を動かす』D・カーネギー(創元社)/『あなたは仕事が楽しいA子さん? 不満だらけのB子さん?』伊東 明(三笠書房)/『結果を出して定時に帰る時間術』小室淑恵(sasaeru文庫)

『人を動かす』D・カーネギー(創元社)
有名なロングセラーだが、内容は「いつも笑顔でいよう」「人の話はじっくり聞こう」「他人を理解しよう」などごく当たり前のことばかり。しかしたまに読み返すと、その当たり前のことができていない自分に気づく。

『あなたは仕事が楽しいA子さん? 不満だらけのB子さん?』伊東 明(三笠書房)
会社や上司に不満があっても、楽しく働けるかどうかは自分次第。「たとえうまくいっていないときでも、上司には『順調です』と報告する」など、上司との関係をよくする習慣やストレス解消の技を紹介する。

『結果を出して定時に帰る時間術』小室淑恵(sasaeru文庫)
まじめで責任感の強い女性は、すべての仕事に均等にエネルギーを注ぎがち。しかし役職がついて忙しくなってくると、うまく「仕事を捨てる」ことも必要に。やらなくていい仕事、やるべき仕事を整理して効率アップ。

高野美菜子
ナチュラルリンク代表取締役。女性活躍推進コンサルタント。著書に『もう悩まない! 売上が確実にアップする女性営業の教科書』(明日香出版社)などがある。