2011年から、管理職としての「自信」と「覚悟」を学ぶ場の提供をしている損害保険ジャパン日本興亜。年間6回の合宿形式で行われるという女性管理職養成プログラム「女性経営塾」とは?
女性経営塾を開催する
能力はあっても、自信や経験がないことを理由に管理職になりたがらない女性は多い。
損保ジャパン日本興亜では2011年から、将来的に会社経営や店舗経営を担う素質のある女性を全国から20人程度厳選し、年間6回の合宿で個別に研修する「女性経営塾」を開いて女性管理職の育成に努めている。
経営塾の目的は女性に管理職としての自信と覚悟を持ってもらうことだ。
「どうすれば女性が働きがいを感じ、働きやすいと思う環境の中で仕事ができるのかと考えたとき、やはり系統立った、経営者・マネジメントとしての経験の不足をどう解消するかということが課題だと考えました」
一年を通じてみっちりと経営を学ぶ同研修。経営塾の最終日ではマーケット分析や経営層へのプレゼンまで行うのだという。
「経験の不足は、なんらかの形で補わなければならない。経営塾では年間を通じたプログラムを組み、横の連携をとりながら、課題を見つけて解決していくという場を設けています」
むろん、女性だけを優遇するという趣旨ではなく「男性、女性関係なく同じように活躍できる機会を提供できるように」という思いがあった。
仕事の前では性差は関係ない
社長の二宮雅也さんは仕事の前では性差は関係ないときっぱり言う。
「これまで女性を同志と思う機会を2度経験。入社3年目では小さな営業所に配属され、実質的に営業部隊は女性職員と2人。自分たちがいま何をしなければならないかを真剣に毎日話し合いました。パリ駐在時代も同志は女性。マドリードやミラノに営業所を開設したり、ヨーロッパにおける拠点としての展開をどうしていくか2人で必死に考えました。一緒に仕事をするときは男女なんて乗り越えてます」
現場では、男性の過剰な配慮が女性の進路を妨げてしまいがちだという認識もある。だからこそ、会社からの期待をはっきり示し、経営側からも“経験する場を提供すること”をいつも念頭に置いている。
「一個人が多少失敗したところで、会社が傾くわけではない。だからいつも『失敗していい』と言っているんです。責任を感じすぎず、小さな成功体験を重ねてほしいですね」
※次回は、女性管理職が育つ会社研究[日本たばこ産業の場合]を3/16に配信します。
▼「女性管理職が育つ職場、つぶされる職場」過去の記事はこちら→http://woman.president.jp/category/pw00064
法学部卒業。74年、日本火災海上保険に入社。2011年に日本興亜損害保険社長。14年9月、「損害保険ジャパン日本興亜」発足に伴い、同社社長に就任。
撮影=市来朋久 イラスト=網中いづる