バリキャリ女子は、初めから選ばれた人だと思っていませんか? でも多くは、めげたり迷ったりしながら、結果的にキャリアアップを図った人ばかり。その実例をお伝えします。

伊勢丹新宿本店の洋酒売り場で働く眞新(まにい)惠子さん。日々、店頭でお客さまと触れ合えることに喜びを感じている。

伊勢丹新宿本店 眞新惠子さん「幅広いお客さまと接するので、日頃からいろいろな分野にアンテナを張り巡らせています」

これまでずっと接客の仕事に携わってきた。伊勢丹には2006年、契約社員として入社。きっかけは、現在の上司である当時の課長に声を掛けられたことだ。

「前職の総菜業時代、一時期、伊勢丹内の店舗に勤務していたことがありました。品ぞろえも接客も素晴らしい百貨店だなと当時から感じていて、契約社員として入る道があると知り、応募しました」

入社後は和酒、総菜、ワイン、洋酒などの売り場で経験を積み、売り場のサブブロックリーダーも任されるようになった。そして11年、正社員に転換する。

「転換試験の受験資格を満たしたので、チャレンジしてみようと。正社員になれたらいいなとは思っていましたが、私にとって大切なのは、日々接するお客さまや一緒に働く仲間たちと、より良い関係をつくっていくこと。正社員転換はその通過点にすぎません」

【写真上】売り場には試飲用のカウンターも【写真中】焼き物が大好きで、気に入ったものを見つけては、買い集めているのだそう【写真下】商品に関わる知識を増やそうと、最近ではチーズプロフェッショナルの資格を取得

さらに現在は、販売専任職であるシニアスタイリストの道を歩み始めている。若手育成などの役割も増え、今度は自分が学んできたことを周囲にアウトプットする番だと感じている。

理想は、売り場全体で一流の接客を実現することだ。

「スタッフがプロとして誇りを持ち、心から接客を楽しんでいる。スタッフ全員でそんな売り場にしていければと思っています」

 BEFORE/AFTER 

●シニアスタイリストという専門職への道が開けた
●仕事の範囲拡大(接客メイン→若手育成も)
●ボーナスUP!


【ブラマンテ代表取締役 田島弓子さんから一言】
好きな仕事でも日常となれば、理想と現実のギャップにぶつかることはよくあります。にもかかわらず、眞新さんは、接客の仕事への誇りを変わらずに持ち続けている点が素晴らしいと思います。自分の使命を自然体で体現しているからこそ、人の目にも留まるのでしょう。周囲に信頼され、チャンスを与えてもらえるのはまさにこうした方です。


伊勢丹新宿本店 眞新惠子
1973年生まれ。大学卒業後、サミット、FLO(フロ プレステージュ)などを経て、2006年、伊勢丹に契約社員として入社。11年、正社員に転換。14年、上級の販売専任職であるシニアスタイリストに。

ブラマンテ代表取締役 田島弓子
1967年生まれ。成蹊大学文学部卒業。展示会主催会社などを経て、99年マイクロソフト日本法人に転職し、数少ない女性の営業部長として活躍。2007年から、キャリア支援などをテーマに、社員研修、セミナー、執筆活動に従事。