女性の平均年収は、男性のおよそ半分。同じ女性でも業界によって、あるいは同じ業界内でも企業によって給与は大きく異なる。気になるあの業界、あの会社の給与明細を公開する――。
政府と産業界が一緒になって女性の活躍を進めようとしています。その一方で、約6割の女性が出産・育児で退職していくという現実があります。
働き続ける場合でも、女性の年収は平均268万円と低水準のまま。男性の年収が年齢とともに右肩上がりに上昇しているのとは対照的です。最大の理由はパート・アルバイトなどの非正規社員が多いこと。女性の就業率は35~39歳を底に再び上昇しますが、その大半が非正規での就業です。当然ながら正社員が多い男性との賃金格差が縮まることはありません。
なぜ、正社員でい続けることは難しいのでしょうか。その理由として最も多いのは「勤務時間」(65.4%)、次いで「職場に両立支援をする雰囲気がない」(49.5%)などです(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査)。
理由は「昇進による違い」
賃金格差のもう1つの理由は、昇進による違い。日本企業はスペシャリストより課長、部長などの役職者の給与のほうが高くなりますが、課長以上の女性は6.6%しかいません。年収分布をみても400万円以上の女性社員は急減。大手企業の課長職になると700万円程度はもらいますが、700万円以上の女性はたった3.9%です。
昇進を望まない女性が多いのも事実。従業員300人以上の企業の非管理職層の女性で「課長以上の昇進希望あり」と答えた人は10.9%。男性の59.8%に比べてかなり低い数字です。その主な理由は「仕事と家庭の両立が困難になる」「周りに同性の管理職がいない」というもの(労働政策研究・研修機構調査2012年)。ここでも退職女性と同じ事情が立ちはだかります。管理職になれば多忙になり、プライベートを犠牲にせざるをえないことを女性たちはよくわかっている。実際に女性管理職の約7割は子どもがいないという調査もあるほどです。
それでいて年収に不満を持つ女性は65%も。もちろん高い収入はほしいけれど、そうはいっても男性と同じようには働けないというジレンマが浮き彫りになったかたちです。
男性を100とすると女性は71.3
フルタイム勤務者の給与格差は、男性を100とすると女性は71.3。もし管理職比率と勤続年数が同程度になると、格差は86.6に縮小し、アメリカを超えてスウェーデン並みになるとの分析もあります(厚生労働省雇用均等・児童家庭局)。退職金も、勤続年数が同程度となれば格差は縮まるはず。男女格差是正のためには、男性中心の働き方の転換と、キャリアへの意欲を喚起する職場環境の整備が不可欠です。