サバティカル休暇をフル活用

これまで7カ国に住み、働いてきましたが、仕事のパフォーマンスで女性であることが不利だと感じたことは一度もありません。女性蔑視を感じたこともまったくないです。国連には産休や育休はもちろん、サバティカル休暇など、それぞれの事情に合わせた働き方を選択するための制度が揃っているだけでなく、制度を活用することにも抵抗がありません。男性がマタニティー・リーブを取るのも当たり前になってきていて、そういう男性が職場にいると、まわりは「すごいね。やるじゃん!」と応援する雰囲気があります。日本の状況を見ていると、「大変だな」と思います。

7カ国に住み、60カ国以上の人たちとともに働いてきた著者が、仕事で必ず役立つ人付き合いのコツと英語の学び方を実践的に伝える『世界で働く人になる』(田島麻衣子著 アルク刊)

サバティカル休暇というのは、数カ月から2年間にわたって取得できる長期休暇です。理由は問われないので「子どもや家族と過ごすため」「両親と過ごすため」「勉強のため」など、さまざまな理由で認められます。実は私も最近まで、パートナーと共に過ごすため、このサバティカル休暇を取っていたんですよ。

ずっと、日本人がグローバルな環境で働くうえで必要な心構えやノウハウについて本を書きたいと思っていたので、このサバティカル休暇を使って執筆しました。そうしてできたのが『世界で働く人になる』(田島麻衣子著 アルク刊)です。

ところが、だいたいの執筆が終わった昨年6月ごろ、ちょうどWFP本部から、「そのままアルメニアに住みながら仕事をしないか?」というオファーがあったんです。それで在宅で仕事をすることにしました。

電話やスカイプ、メール、出張などを組み合わせれば、世界中どこにいても仕事はできるんですよね。チームのメンバーは、アメリカやイタリアなど各国に散らばっていて、24時間メールが飛んできますし、仕事相手との時差に合わせて打ち合わせをしたりするので、深夜や早朝に働くこともあって大変は大変なのですが。

世界で働くためのパートナー選び!

そうした制度の整備はもちろん重要ですが、仕事とプライベートの両立のためには、なんといってもパートナーの理解が必要ですね。ですから、パートナーはちゃんと選ばないと(笑)。おススメは、女性がガンガン仕事をしている姿を見て普通に「いいね」と言ってくれる人。女性だからといって、相手を下に見たりしない人ですね。男性であれ女性であれ、仕事で課される責任は同じですから。

国連職員・田島麻衣子さん

国連で働く周囲の女性を見ても、みんな自分の可能性を追い求めてバリバリ突き進んでいます。昇進すればそれだけ決定権が増え、自分が正しいと思う施策を実行に移すことができますし、管理職になることのメリットは大きいと思います。

今はパートナーと生活していますが、また別々の国へ行くミッションが課されることがあるかもしれません。こういう仕事ですから(笑)、それも受け入れます。

ただ、他者から与えられた仕事のみの人生は必要ないと思っています。仕事は自分を成長させてくれる大切なもの。少し回り道をすることもあるでしょうけど、どんな形であれ、自分の信じる仕事は続けていきたいと思っています。


 ■感銘を受けた本  『POWERS OF TEN-宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅』フィリップおよびフィリス・モリソン著(日本経済新聞出版社)
……マクロな世界とミクロな世界、視覚化するととても似ているってことに驚異を感じたのです。お気に入りで玄関に飾ってもいます。

 ■モチベーションをあげるグッズ  地球儀
……平面の地図を眺めると北極は必ず上にある。地球儀だったらひっくり返して南極を上にして眺めることも。リビングに大きいものを、デスク用には小さい地球儀を置いています。

 ■癒すグッズ  地球儀

 ■お気に入りのおやつ  カール! チーズ味(笑)


The views expressed herein are those of the author and do not reflect the views of the United Nations World Food Programme.
本記事に記された見解は著者個人のものであり、国連世界食糧計画の見解を何ら反映するものではありません。

田島麻衣子(たじま・まいこ)
国連職員。東京生まれ。青山学院高等部、青山学院大学国際政治経済学部卒業後、KPMGに入社。オックスフォード大学院への留学などを経て、2006年より国連世界食糧計画(国連WFP)に勤務。これまでアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ラオス、アルメニアに日本を加えた7カ国に住んだ経験を持ち、共に働いたことのある同僚の出身国は、60カ国以上を数える。著書に人付き合いのコツと英語の学び方を伝える『世界で働く人になる』(アルク刊)がある。