■編集部より指令

女性の活躍推進が進むなか、登用された女性への風当たりはまだまだ強い。

重要なポジションについた女性が気をつけるべきこととは?

■大宮冬洋さんの回答

登用された女性が受ける2つの風当たり
http://president.jp/articles/-/13810

■佐藤留美さんの回答

手のひらを反すオジサンたち

女性活躍推進の折、私もとみに女性管理職の取材が増え、業種、職種をまたいだ数多くの先達たちを取材しています。

すると、彼女らの多くはこう言うのですね。

出世してエラくなった途端、今まであれほど可愛がってくれたオジサン社員たちが急に手のひらを返すと。

彼女らを突如ライバル視し始め、情報を渡さない、あからさかまに揶揄する、能力不足を指摘してくるなど、日常茶飯事なのだとか。

あるシステムインテグレータの女性課長はこんなことを言っていました。

「女性管理職になりたての女性は、最初に矢のように突き刺さるオジサンの嫉妬の目や、今まではただの仲良しだった同期が部下になり、時には彼ら彼女らをしからなければならないポジションに就くことに、動揺してしまう。それで、だいたい、四方八方にいい顔をして、精神的に参ってしまう」

なんとまあ器が小さい話でしょうか。しかし、嫉妬は人間の根幹を揺さぶるほどの強烈なパワーです。それらをかわす防御策の1つや2つは身につけていないと、管理職としてサバイブすることはできません。

記憶から削除せよ

では、彼女らはどんな対応策を身につけたのか?

その1つが、「鈍感力」です。

あるメーカーの女性課長はこう言いました。

「『部長試験はまだ君には早いんじゃないの?』と面と向かって言われたことがありました。それも嫌らしいことに『君のためを思って言っているんだよ』なんて一言付きで。ムッとしましたが、速攻で記憶から削除しましたよ。『アドバイスありがとうございます』ってニッコリ笑いながらね」

これです。まさに、女性管理職が身につけるべき「鈍感力」とは。

別の女性課長からは、こんな話も聞いたことがあります。

「かつて仲良しだった同期が部下になったのですが、彼女はいつまでも私を『友達扱い』。会社の戦略とは正反対を行くプランばかり出してくる。何を言っても暖簾に腕押しのため、私は、『聞いたふり』作戦に打って出ることにしました」

すなわち、その同期の部下が「こうしたい、ああしたい」と言ってくると、「うん、それは次週会議で話しましょう」といい先延ばしする。

そして次週会議で「シレッと却下する。これを何度か繰り返していれば、いい加減、相手も、自分の方向性は間違っているのだと気づきます」。

この女性課長はこうした「スルー力」を発揮することで、部下や周囲の人からある程度嫌われることは「想定内」、「痛くも痒くもない」とさえ言います。

「だいたい、周囲の人間の全員から好かれる人なんて存在しないでしょう。ましてや管理職なんて上から振ってきた戦略を部下に押し付ける『嫌われ役』。嫌われて上等、嫌われるのが仕事くらいに思っていないと、身が持ちませんよ」

そう言う彼女の表情は、まさに管理職としての威厳に満ちていました。

そう、結局私が本稿でお伝えしたいのは、女性はエラくなったら、たとえ誰から嫌われても、ミッションを貫く腹をくくることが大事だということです。

管理職は非組合員。もはや経営側の人間なのですから。個人的な感情に揺すぶられている場合ではないと思うのです。

佐藤留美
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。