■編集部より指令

警視庁の調査によると、夫からのDVの相談件数がこの3年で4倍に増加。

アルコール依存の女性も急増しているそうです。

周りに迷惑をかけないいいストレス発散法はないでしょうか。

■大宮冬洋さんの回答

殴るほど夫が憎いときは……
http://president.jp/articles/-/13447

■佐藤留美さんの回答

心理学者が考案したストレス解消法

確かに女性によるDVは、統計を見ても急増しています。

警察庁の調査によると、2013年のDV相談件数は、3年前と比べ女性側からは1.4倍なのに対して、男性側からは4.1倍! 過去10年を振り返ると、男性側からの相談は10倍にもなっています。

夫を殴りたくなったら、どうしたらいいのでしょうか?

ストレス解消法といえば、お酒を飲む、カラオケで歌う、運動する、ヤケ食いする、寝まくる……などが真っ先にあげられますよね。

でも、どれもその効果は一時的。大量飲食は翌日以降憎き脂肪となってかえってくる……なんて嬉しくないオマケが付くこともあります。

そこで、筆者がある人事コンサルタントから聞いた、有効なストレス解消法(回避策)についてご紹介いたしましょう。

彼曰く、ストレス解消法には、米国の心理学者ラザルスが考案した「ストレスコーピング」という考え方を適用するのが一番だそう。ちなみにコーピングとは「問題を上手く処理する」という意味です。

ストレスコーピングは2種の手法に集約されます。

一つは、「問題焦点コーピング」。ストレスの原因である「ストレッサ―」を見つめて、それ自体を変化させて、状況を変え、ストレスを解消しようとすることです。

たとえば、横柄な夫に悩まされているなら、カウンセリングに通わすなどして、夫を変えようと試みるなどの行動が該当します。

ただし、この手法を適用するのは、かなりの思い切りや行動力が必要です。

夫の性格を変えるのは土台無理という場合もあります。

夫を変えるか、自分を変えるか

そこで有効なのがもう一つのストレスコーピングである「情動焦点コーピング」です。

こちらは、ストレッサーそのものを変えようとするのではなく、それに対する自分自身の捉え方を変えようとすること。

たとえば、夫が潔癖症で口うるさい男の場合。彼を無理やり大らかな男にしようとするのではなく、彼はなんてきれい好きでマメな男なのだろうかとコトを前向きにとらえる、といった手法です。

では、この2種のコーピング手法はどのように使い分けるのか?というと、ストレッサ―がやり方次第ではいくらでも変わる余地がある場合は、「問題焦点コーピング」を試みる。

一方、ストレッサ―が何をやっても変わりそうにない場合は、「情動焦点コーピング」を適用するのがベストだそう。

ということは、夫を殴りたくなるほど相手にストレスがたまったら……。

その夫が、やり方によって変わる相手かどうかを判断し、いけると思ったら、あらゆる手法を使って夫を変える努力をする。

それが無理なら、今度は自分が相手に対する見方、感じ方を変えるレッスンをしてみる。

それでも尚、ストレスが溜まり続けるようなら、究極の「問題焦点コーピング」――離婚――という選択肢を検討するしかないかもしれません。

佐藤留美
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。