世界的な通信機器メーカーであるHUAWEI(ファーウェイ)から、血圧を測定できるスマートウォッチの第2世代モデル「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」(以下、HUAWEI WATCH D2)が発売された。ビジネスパーソンにとって、血圧または心拍数や心電図などの健康測定を習慣化することにはどんな意味があるのか? また、アクティブにスポーツを楽しむ際に、どう役立つのか? スポーツ医学の専門家である二重作拓也医師に話を聞いた。

血圧測定を日常的な習慣にすることのメリットとは

心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす原因となる高血圧。日本では、高血圧人口は推計4300万人と、実に3人に1人が高血圧によってこれらの病気やリスクと向き合う生活を送っている。こうした現状について、二重作医師はこう語る。

「高血圧は、痛みなどの自覚症状がないためそのまま放置されることがあります。しかし、血圧が高いことに気づかないままでいると重篤な病気を引き起こす恐れがあるのです。それを防ぐ第一歩はやはり『自分の体を知る』ですよね。高血圧の人の割合が増え始める30代半ば以降のビジネスパーソンは、男女を問わず、血圧測定を習慣化することが大切です」

二重作 拓也(ふたえさく・たくや)
二重作 拓也(ふたえさく・たくや)
スポーツドクター/スポーツ安全指導推進機構代表。1973年、福岡県北九州市生まれ。福岡県立東筑高校、国立高知医科大学医学部卒業。8歳から空手をはじめ、高校時にアメリカでUSオープン大会出場。現役医師として極真カラテの城南大会、福島県大会で優勝し、全日本ウェイト制にも出場。リングドクター、スポーツドクターの経験から、強さの根拠を追求する「格闘技医学」を提唱。世界各国から招聘され、講演を行っている。最新刊『可能性にアクセスするパフォーマンス医学(星海社)』はamazonの医学、基礎医学、星海社新書の3部門でベストセラー1位を獲得。

ただ、血圧測定というと、(治療中以外の方は)「健康診断の際に医療機関で行うもの」あるいは「フィットネスジムなどに置いてあるもの」と考える人が多いのではないだろうか? 最近では、家庭で使用できる上腕式血圧計も普及してきたが、測定時にテーブルの上に設置し、カバーを腕に巻いて……という作業のわずらわしさから、いつしか測定習慣がなくなってしまったという人も少なくないだろう。

その点、「HUAWEI WATCH D2」は、安静にした状態で端末を装着した腕を心臓よりも高い位置にし、反対側の手で肘を支えることで安定した血圧を測定できる。さらにこの方法で測定する場合に限っては、医療機器の認証(※1)を得ている。

※1 自動電子血圧計の医療機器認証番号:306AGBZI00008000。

二重作医師に、実際に腕に巻いてもらった。

「僕は普段、腕時計をしないのですが、着用感はいいですね。着けていることを忘れそうになるくらいです。この『測定』ボタンを押すと……おぉ! カフが膨らんで圧迫されますね。でも、不快な圧迫ではないですね」

安静にした状態で胸に手を当て、もう片方の手で肘を支えることで正しく血圧を測定することができる。
安静にした状態で胸に手を当て、もう片方の手で肘を支えることで正しく血圧を測定することができる。

1分ほどすると、計測結果が表示された。

「あっ、出ました。いつもより少し高めかな。取材だから緊張して高く出ているのかもしれません」

そこで、深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、再度トライしてみると……。

「今度は、普段と同様の数値が出ました。こうしたウェアラブル端末の大きなメリットは、血圧測定のハードルが下がることでしょう。手軽に測定できるなら習慣にしやすい。起床時や睡眠時、仕事をしているときなど、さまざまなシーンでの血圧を把握でき、測定値を継続して保存することで、『私はこの場面ではこうなりやすいんだ』と自覚できます。ビジネスパーソンなら『大事なプレゼンの前には血圧が高くなる』など、自分の身体の傾向を知ることができますね」

睡眠中の血圧も自動測定。睡眠時無呼吸のセルフチェックも

「HUAWEI WATCH D2」のもうひとつの特長が、睡眠時も自動で血圧測定できることで、世界初の機能となる。測定時には手首を締めるエアバンドの圧力も弱くなり、眠りを妨げないユーザー思いの機能となっている。(※2、※3)

※2 血圧計、心電図以外の健康管理機能は医療目的では使用できません。
※3 夜間の自動血圧モニタリング結果は、管理医療機器認証外のため、医療目的で使用できません。

「知覚できない睡眠時のチェックは非常に有用だと思います」と二重作医師。血圧はもちろんのこと、血中酸素レベルを24時間モニタリングできる機能にも着目。睡眠中の血中酸素レベルを計測することで、睡眠時無呼吸症候群の疑いをセルフチェックできる可能性を指摘した。

「睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に舌根沈下などの原因で気道が狭くなり、低酸素状態に陥る病態のことです。そのため、十分な睡眠がとれず日中に眠くなったり、仕事の作業能率を低下させたりします。ただ、朝、目覚めたときに『何となく眠い』とか、『頭がすっきりしない』という自覚症状があっても、ほとんどの人は『このところ疲れているからだろう』と見過ごしてしまうのではないでしょうか」

近年では、睡眠中の低酸素状態が慢性的に続くことにより、高血圧や心臓病、糖尿病などのリスクが高まることがわかってきている。日本呼吸器学会によると、睡眠中の血中酸素飽和度の正常値は約96~99%。睡眠時のモニタリングにより早期発見につながる可能性がある。

「睡眠中の血中酸素飽和度を数値で客観的に確認できれば、疑わしい数値が出た場合に、『病院を受診してみよう』という強い動機づけになるはずです。数字に不安を覚えたら、まずは専門の医師に相談してみることをおすすめします」

ほかにも、睡眠の質を総合的にスコア化し、科学的なアドバイスをくれる機能もあるので、病気の不安がない人でも十分な休息ができているかといったアクティブレストをサポートしてくれるはず。

格闘技ドクターとして、対人練習を行う二重作医師。
格闘技ドクターとして、対人練習を行う二重作医師。(撮影協力=BungelingBay恵比寿)

スポーツを安全に楽しむために血圧・心拍数を活用

健康管理にあたっては、習慣的に運動することも大切だ。アクティブにスポーツを楽しみたいビジネスパーソンにとって、血圧や心拍数などをモニターすることには、どのようなメリットがあるのだろうか? 実践者として練習に励む二重作医師は、こう指摘する。

「一般的に『スポーツは健康に良い』と言われています。もちろん、適切に運動を行えば、高血圧が改善するなど、健康維持に役立つことは間違いありません。ただ、年齢や基礎疾患によっては、スポーツが健康上のリスクにもなり得ることを忘れてはいけません」

二重作医師は、プロ格闘技のリングドクターとして、選手のメディカルチェックも経験してきた。強度な運動に耐えるプロ選手でさえ、血圧や心拍数といった基礎的なデータチェックは欠かせないという。運動習慣のある人ならば日常の血圧や心拍数などのデータをモニタリングしておくことが大切とも指摘する。特に二重作医師が「これはすごい」と注目したのが、心電図をリアルタイムでモニターできる機能だ。こちらもプログラム医療機器の承認(※4)を得ている。

※4 心電図機能はHUAWEIの心電図アプリケーションを指します。心電図アプリケーションの承認番号:30600BZI00035000。心房細動の兆候の検出を補助的に行うものであり、従来の医師による診断に替わるものではありません。結果はあくまで参考です。

「強度の高い運動で心臓に負荷がかかることがあります。例えば、平静時には何も問題なくても、激しい運動をすると心臓に不整脈が出現する、狭心症などの虚血性心疾患の異常が出てくる、というケースがあります。病院では通常、まず安静時の心電図で検査しますが、他にも24時間の生活の中で心電図を記録する『ホルター心電図』やトレッドミル、自転車エルゴメーターなどの運動負荷をかけた上で記録する『負荷心電図』などがあります。どんな負荷がかかったときに、心電図にどんな変化が起こったかを記録し、その記録を参考にドクターが総合的に診断を下すわけですね」

新たに搭載された心電図(ECG)機能でどんな場面でも30秒間で心電図の測定ができる。
新たに搭載された心電図(ECG)機能でどんな場面でも30秒間で心電図の測定ができる。

血圧についても「測定する」という行為が病院や施設以外に、こうしたウェアラブル機器で日常的に行えることには大きなメリットがあるという。

「血圧は、運動の際の健康上のリスクに関連します。みなさん、年齢を重ねると血管は硬化していくわけです。知らないうちに動脈硬化が進んでいたり、動脈瘤ができていたりする可能性もあるわけです。ですから『この運動によって血圧が上がりやすい、上がりにくい』ということは、知っておくほうがいい。筋トレにしても、筋肉の長さを変えずに行うアイソメトリックという方法では、血圧は上がりやすくなります。例えば『息をこらえて重りを持ったまま踏ん張る』といった運動は、高血圧の既往のある方には危険ということですね。これまでは、安静時に血圧を測ることが多かったので、このような運動の直後の血圧などは数値では把握しづらかったわけです。しかし、こうした機器の登場で習慣的な運動後の血圧(※5)を継続的に把握できる。これは異常の早期発見においても、また医師が医学的な判断を行う上でも、有意義な情報となりえるのではないでしょうか」

※5 本製品で血圧を測る場合は、運動後5~6分経ってからを推奨しています。

特に、これまで運動習慣がなかった人が運動を始めようとする際には、事前に医師の診断を受けておくと良いだろう。このようなウェアラブル機器で日常のデータを把握しておけば、数値の変化に不安を感じたときに医師に相談するきっかけとしても役に立つのだ。

その一方で、普段からヘルスデータをモニタリングしておくことは、「運動を継続するモチベーション」にもつながると二重作医師は強調する。

「ワークアウトを継続するうちに、同じ運動強度でも心拍数が上がりにくくなる、一度上がった心拍数が速やかに下がるようになる、高かった血圧が正常値に近づいてくる、など、運動の成果を実感することができるはずです。データの記録で、これまで感覚でしかなかったものが見える化する。スポーツや運動をもっと楽しく、健康的に、自信を持って継続できるようになるでしょう」

「HUAWEI WATCH D2」は、ワークアウト機能も充実している。80種類以上のワークアウトに対応しており、日課のランニングやサイクリング、水泳などの継続時間や消費カロリー、心拍数の変化などを記録。さらに衛星測位システムも搭載しているので、ウォッチ単体でもランニングのルートを記録できる機能も。

自分の身体を知り、安全に、アクティブにスポーツを楽しみたい……そんな30代半ば以降のビジネスパーソンにとって、「HUAWEI WATCH D2」は、強い味方になることだろう。もちろんメール着信の通知など、基本的なスマホとの連携機能も完備しているのでビジネスシーンで自然に使いこなしながら、同時にヘルスチェックもできる安心が手に入る。また仕事先の人との話題作りにもうってつけ。健康に関心の高い人ほど、話が盛り上がるはずだ。