事業環境が刻々と変化する今、企業には前例や固定観念にとらわれない取り組みが求められている。そうした中、企業変革や新規事業開発、DXのコンサルティングサービスで高い評価を得ているのが2015年創業のベルテクス・パートナーズだ。各業界の大手企業、優良企業を中心にクライアント数は150社を超え、リピート率は約90%に及ぶという。新たな挑戦へ踏み出そうとする企業の間で支持を広げている同社は、いかなる理念の下、どのような支援を提供しているのか――。エグゼクティブパートナーの柴田啓太氏と本間優太氏に聞いた。

成果創出と組織変革を同時に後押しする

――企業変革、事業開発に当たり、現在企業はどのような課題を抱えていますか。

【柴田】今、多くの企業が「現状維持ではいずれ立ち行かなくなる」という危機感を持っています。そこで事業の開発や変革を目指すわけですが、いざとなると人材や技術の不足に直面する。例えばDXを成功させるには構想や設計、実装など一連の過程を知見と覚悟を持ってやり抜く人材が必要ですが、そうしたメンバーを社内でなかなか確保できません。

【本間】大手企業や伝統的企業では社風や企業文化など“組織の力学”が変革を阻害する例もよく見られます。指示待ち社員が多い剛腕オーナータイプ、挑戦する人が異端児扱いされる事なかれ主義タイプ、承認されやすいアイデアに落ち着いてしまう合議制タイプなどいくつか類型がありますが、風土として根付いているため、自分たちでは抜け出せない――。

柴田啓太(しばた・けいた)
柴田啓太(しばた・けいた)
株式会社ベルテクス・パートナーズ
エグゼクティブパートナー 兼 人事統括
IT系コンサルティング会社、独立系コンサルティングファームを経て、2016年ベルテクス・パートナーズ入社。デジタル領域における事業企画、プロデュース、戦略策定、システム構築など幅広い業務を担う。

【柴田】そのため社内で斬新な事業案などが生まれても、どこかで頓挫したり、形骸化したりしてしまい、思った形にならないケースが多いのです。

――そうした中、ベルテクス・パートナーズは支援で何を重視していますか。

【本間】当社は伴走型コンサルのパイオニアとして設立しました。最近は「伴走型」をうたうところも増えていますが、私たちの支援は単なるリソースの補完ではありません。ゴールはクライアントが自身で課題を解決できるようになる“自走化”。クライアントに深く入り込み、それぞれのタイプ、実情に合ったアプローチで成果創出と組織変革を同時に後押しします。顧客獲得や提携先の開拓などにも取り組みますが、業務を代行するのではなく、二人三脚でより良い方法、戦略を探していく。その中で当社のノウハウを提供し、クライアントの中にシリアルイノベーター(※)を育成していきます。

※連続的にイノベーションを生み出すことができる人。

【柴田】真の伴走者となるため、当社が大事にしているのが当事者意識です。クライアントの一員となり、自分たちの事業として成果を追求する。個々の企業には部署間の力関係やコミュニケーションのルールもあるため、それらも踏まえてサポートしています。課題が高度化、複雑化する今の時代、クライアントとコンサル会社の間に発注者と受注者という意識はなくなってきている。対等な立場で、時には厳しい議論も行いながら、答えだけではなく、“答えの導き方”を見いだし、定着させていくことが私たちの役割だと考えています。

【本間】当社が掲げているのは“変革実現パートナー”です。短期的な成果を上げるなら当社の関与を強めるのが最善かもしれませんが、それではクライアントの自律性を妨げてしまう。当事者意識と客観性を併せ持ち、“成果創出”と“自走化”のバランスを意識して支援を行っています。

スコープを引くことなく想定外の事態にも柔軟に対応

――その他、ベルテクス・パートナーズの強みはありますか。

【柴田】戦略系、IT系などジャンルにとらわれない支援は一つの特徴です。当社にはSIerやITコンサル、ITベンダーの出身者も多く、先端のデジタル技術とトレンドを組み合わせた事業の立ち上げも得意としています。組織も新規事業、戦略、ITなどと領域別にせず、フラットなプール制を採用して横断的な支援を提供しています。

本間優太(ほんま・ゆうた)
本間優太(ほんま・ゆうた)
株式会社ベルテクス・パートナーズ
執行役員 エグゼクティブパートナー
コンサルティングファームを経て、2017年ベルテクス・パートナーズ入社。情報通信、建設、不動産、メーカー、ヘルスケア、メディアなど多様な業界の案件を手掛ける。創業以来、最年少でパートナーに昇格。

【本間】また私たちは、例えば生成AIを用いた経営分析ツールを開発するなど自社で複数の事業、サービスを立ち上げており、そこでの経験を支援に生かしています。実際の事業活動の中では、人やお金のやりくり、経営と現場の意見の相違など、さまざまな現実的な問題が発生します。それらと向き合う中で得た知見は、クライアントの自走化を実現する上で非常に有用なものだと思っています。

――これまでの支援例を教えてください。

【本間】ある建設会社でDX推進部門の立ち上げに関わりました。元々はコスト最適化の依頼でしたが、分析すると本質的な課題は営業活動にあり、収益構造の抜本的な変革のためにDXに取り組みました。全国にある拠点を一緒に回りレクチャー会を開くなどして、最後には「おかげで会社が本当に変わった」との声を頂きました。

【柴田】ある情報通信会社の先端技術を活用した新規事業プロジェクトで企画や戦略立案、システム構築、プロモーションなど広範な業務に携わりました。成功を支えたのは、お互いの「本気でやり抜く」という思いが生んだ信頼関係です。クライアントの担当者から「あなただから、急な依頼や無理な相談にも快く対応できた」と言われたことが印象に残っています。私たちは支援の中でスコープを引きません。むしろ想定外の事態が起こったときこそ腕の見せどころ。そうした姿勢を評価いただき、本当の仲間として認められたことをとてもうれしく思いました。

ベルテクス・パートナーズのサービスコンセプト

――最後に、ベルテクス・パートナーズの抱負、ビジョンを聞かせてください。

【柴田】企業変革や新規事業開発においてデジタル技術の果たす役割は今後いっそう大きなものとなるはずです。当社はこれまで、AIやブロックチェーン、XRなどディープテックを使った事業企画やDXを多く手掛けてきました。今後も、「新たな分野に挑戦したい」「画期的な事業や商品を生み出したい」といったクライアントに寄り添い、当社自身も挑戦を重ね、先駆的な事例、これまでにない価値を生み出していきたいと思っています。

【本間】近年、社会課題解決や業界変革に関わる依頼も増えてきました。その中で、「レース業界の未来を開きたい」というモータースポーツチームと当社がパートナシップを結ぶ取り組みなども行っています。社会や業界の変革については正攻法が存在しない場合も多いため、その中で独自の解決策を見つけていきたい。また当社はM&Aの専門部隊も有しています。コンサルティングにとどまらない支援を通じて、変革の実現という使命を果たしていきたいと考えています。