コロナ禍で落ち込んだ旅行需要が急激に盛り返している。今年のゴールデンウイークのデータを見ると、海外旅行はコロナ禍前の8~9割まで回復した。さあ、次はあなたの番。この夏はプレミアムな旅に出かけませんか?

コロナ禍が明け盛り返す旅行需要

2020年、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって人々の外出や移動が制限され、さまざまな活動自粛を余儀なくされたことは記憶に新しい。ようやく昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが、それまでの2類相当から5類に変わった時、私たちは長いトンネルの終わりが近いことを実感した。

コロナ禍の間、私たちが最も我慢していたのは、自由な旅行だったのではないだろうか。そのことを観光庁の統計が裏付けている。

23年の旅行・観光消費動向調査によると、日本人国内旅行消費額は21兆9101億円で、前年比27.7%増、コロナ禍前の19年と比べても、わずか0.1%減にまで回復。日本人国内延べ旅行者数は、4億9758万人になった。

今年に入って、この傾向にはさらに拍車がかかっている。JTBがまとめた今年のゴールデンウイーク(4月25日~5月5日)の旅行動向によると、この期間の総旅行者数は2332万人で、前年比101.8%、総旅行消費額は9630億円(前年比111.2%)となった。特に海外旅行者数は52万人で、前年比167.7%、コロナ禍前の8~9割程度まで回復している。記録的な円安の影響を受け、渡航先は近場の韓国や東南アジア、台湾などが好調だった。

当然、エアラインも訪日観光客の増加を受け、日本発国際線定期旅客便の運航が回復。「週刊トラベルジャーナル」によると、23年冬期の総座席数は4年ぶりに1週間当たり100万席を突破した。

バリエーションが増えたクルーズが人気

中でも注目したいのがクルーズ人気の復活だ。国土交通省の調査によると、日本のクルーズ人口はコロナ禍前まで順調に増加し続け、19年には35万7000人と過去最高を更新、3年連続で30万人を超えていた。ところが20年2月、横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号が712人の新型コロナ感染者を出したことで、状況は一変した。

これは船の中で感染症が発生した時の怖さを印象づけた出来事だったが、それから4年。クルーズライン国際協会(CLIA)によると、世界のクルーズ人気は急激に回復し、ついに23年の世界のクルーズ人口は3170万人と、19年に比べて約200万人、7%上回るまでに至っている。この傾向はこれからも続くと見込まれており、今後5年間に世界で少なくとも56隻の新造船が就航する予定だという。

日本発着のクルーズは期間や価格、内容にバリエーションが増え、テレビショッピングでおなじみのジャパネットも参入。1泊1万円程度のものまで登場し、クルーズ初心者でも気軽に参加できるようになってきた。クルーズ専門の記者によれば、「このゴールデンウイークには横浜港に同時に4隻来航するなど、ここにきてクルーズ人気は完全復活した感じだ」という。もちろんクルーズ船では感染症対策にも万全を期している。

一度乗船すれば、食事やエンターテインメントを楽しむ間に目的地に連れていってくれるクルーズ。極上の非日常を楽しむプレミアムな旅へ、今年こそ出かけてみたい。