フューチャーアーキテクトは、1989年の創業時より経営とITをデザインすることで顧客のDXを推進してきた。同社では、技術力のあるエンジニアがコンサルタントとして戦略立案から実装までを一貫して手掛けるだけでなく、新たなビジネスを生み出すための伴走支援も行っている。そこで今回は、新規事業や新サービスの立ち上げをサポートするコンサルティングの取り組みと、同社の強み・特長について代表取締役副社長 齋藤洋平氏をはじめとする3名に伺った。

DXの本質は「未来価値の創造」

――フューチャーアーキテクトが考えるDXとは、何でしょうか。

【齋藤】私たちは日本で初めてITコンサルティングという領域で店頭公開した企業であり、まだDXという言葉がなかった創業時からお客様の経営をITで変革してきました。DXというと、まずは経営戦略があって、そこに繋がるデジタル施策や業務効率化を推進していくものだと捉えられています。

齋藤洋平(さいとう・ようへい)
フューチャー株式会社 取締役 最高技術責任者
フューチャーアーキテクト株式会社 代表取締役副社長
東京工業大学大学院情報理工学研究科修了後、2001年入社。技術応用戦略室長、スタンフォード大学客員研究員などを経て、2018年よりフューチャー 取締役CTO。2022年よりフューチャーアーキテクト 代表取締役副社長。公益社団法人経済同友会幹事。

しかし、テクノロジーの急速な進化とともに状況は日々変化しています。昨今のChatGPTに代表されるように、ディストラクティブ(破壊的)なテクノロジーが起点となり、次々と新しい事業やサービスが生み出されています。テクノロジーが起爆剤となり企業戦略をリードしていくという傾向は、今後ますます強くなっていくでしょう。

だからこそ私たちには、お客様の経営戦略や業務の中核にテクノロジーをしっかりと落とし込み、未来をデザインすることが求められています。社内ではよく「未来価値の創造」と表現されますが、これがDXの本質ではないでしょうか。

【松本】私たちは日々お客様から様々なご相談をいただきます。経営課題やIT戦略についてだけではなく、アイデアやサービスの具現化といったテーマもあります。どのような問いに対しても、お客様が考えるよりも一歩先の未来を想像し、提案を行います。私たちと歩むことで、お客様のビジネスはどう変化するのか、どんな価値が生まれるのか。実現までの道筋を示すことが務めだと考えています。

【壷屋】「こうなったらいいな」と想像したことが、テクノロジーによって次々と実現されていく時代です。だからこそ、変化を恐れずチャレンジする企業が勝ち残っていくと考えています。そんな熱い思いを持ったお客様とともに困難を乗り越え未来を切り拓いていくことがこの仕事の醍醐味だいごみです。真のDXは、ITを武器に変革を起こすとともに、ITによって変化に柔軟に対応できる力を備えることだと思います。

新規事業の具現化と立ち上げをサポート

――ビジネス領域でのコンサルティングも手掛けられているそうですね。

【壷屋】私はテクノロジーイノベーショングループという300名ほどのメンバーがいる組織のパートナーとして、DXチームを率いています。鉄道、不動産、メディア、水産、飲食など様々な業界に携わっていますが、その一つに小田急電鉄のプロジェクトがあります。

壷屋 翔(つぼや・しょう)
フューチャーアーキテクト株式会社 パートナー
Technology Innovation Group
2009年新卒入社。大規模基幹系システムのリプレースを経験後、DXチームを立ち上げ、鉄道、不動産、メディアなど様々な業界のお客様を支援。専門領域は新規事業におけるサービス構想とアーキテクチャの構築。2023年より執行役員 DX担当パートナー。

同社が2018年に策定した中期経営計画の具現化に向け、テクノロジーの知見が必要となり、私たちに声をかけていただきました。ITやデータ活用によって沿線生活者の幸福度を高めたいというお客様の思いを形にしたのが「小田急ONE(オーネ)」です。1つのIDで沿線の様々なサービスを利用できるプラットフォームとして、構想からサービス開発までお客様とともに推進し、2019年末にサービス提供を開始しました。

サービス構想を固めるに際し、小田急電鉄の方々と合宿をしたり、我々メンバーが小田急線沿線を歩き回ったり、実際に見て得た課題を持ち帰ることで数多くの議論を重ねました。今も「小田急ONE」のサービスはどんどん拡大しています。今後も地域のリアルとデジタルを繋げていくことで、これまでにない沿線価値をお客様と創出していきたいです。

【松本】私は2015年に新卒入社し、基幹系システムの開発からキャリアがスタートしました。その後、AIチームに異動し、機械学習をはじめ深層学習や画像認識、センシング技術などを利用した新サービスの企画から開発までを支援するプロジェクトのリーダーを務めました。なかでも化粧品メーカーのお客様と一緒に作り上げた美容AIシリーズは、従来にない新しいサービスとして話題性も非常に高いものでした。お客様がその反響に喜ばれている姿を見て私も感動しましたし、何より社会で実利用されるサービスをお客様とともに形にできたことが大きな成功体験となりました。

松本妹子(まつもと・まいこ)
フューチャーアーキテクト株式会社 Technology Innovation Group マネジャー
アンドレジリエンス株式会社 統括責任者
2015年新卒入社。流通小売業の基幹系システム開発・保守を経て、AIチームにて新規サービスの企画、技術検証、開発支援を経験。現在、三井不動産との合弁会社アンドレジリエンスの統括責任者として事業拡大に邁進。

現在は、三井不動産と当社で設立した合弁会社アンドレジリエンスに出向しています。同社は、企業向けの事業継続力強化支援サービスを提供する会社です。もともとは三井不動産の事業提案制度「MAG!C(マジック)」で採択されたビジネスアイデアから生まれた事業で、ビジネスコンセプトの具現化やプロトタイピングの開発をサポートしました。現在は資本提携を行い、共同事業者として同社の事業拡大に向けた支援を行っています。新規事業の立ち上げという面白さに加えて、20代のうちからお客様とともに合弁会社化の検討や社内の出資承認を得るといった経験ができ、やりがいも十分に感じています。

【齋藤】テクノロジーに精通しているコンサルタントだからこそ、ビジネスの枠組みまでもデザインできることが強みです。私たちの知見を活かすフィールドはまだまだたくさんあると思っています。

個性を磨き、チームワークで最高のパフォーマンスを発揮する

――フューチャーアーキテクトならではのビジネスの面白さを教えてください。

【齋藤】新卒で入社して20年以上経ちましたが、若手であっても様々なチャンスを掴めるところは今も昔も変わりません。私も入社3年目には自動車メーカーのプロジェクトでヨーロッパに派遣され、5年目には物流企業のミッションクリティカルなプロジェクトで技術チームのリーダーを任されました。背伸びしながらもたくさんのお客様と新しいことにチャレンジさせてもらい、その繰り返しで今があります。

【壷屋】当社では、お客様にとって何が最適かを徹底的に考えることが重視されています。ですから、プロフェッショナルな視点から技術的な制約なく、フラットにものごとを考えることができます。また、数多くの選択肢から最適な判断を繰り返すことで目利き力も鍛えられていきます。だからこそ、新規事業や新サービスの立ち上げといった領域でもお客様に共感いただける支援ができるのだと思います。

【松本】ミッションや課題をもとに、社員自らが実現すべきことにコミットし、前向きに取り組める環境があります。言い換えるならば、自分の志向に沿った独自のキャリアパスが描け、活躍の場を広げていくことができる会社だと思います。また、個人がプロフェッショナルとして活躍しつつ、チームワークが大事にされているのも特長だと思います。

――フューチャーアーキテクトではどのような人材を求めていますか。

【齋藤】「テクノロジー」「デザイン」「実装」とDXに重要な要素を挙げましたが、あくまでそれは手段であって根底にある強みは社員の「チャレンジ精神」です。

当社はもともとベンチャーだったこともあり「世の中になければ、自分たちでつくればいい」というマインドが脈々と受け継がれています。今やグループ社員は2000名を超える規模になり、多様なプロジェクトが次々と誕生していますので、自らに意志さえあれば、いろいろなことにチャレンジできます。

ITコンサルタントは個人の力も求められますが、チームでチャレンジしてこそ最大限の力を発揮できると考えていますし、当社ではそれを大事にしています。ですからどんな難題であっても、仲間と協力して立ち向かい、大きな仕事を成し遂げたいという気概を持った方に来てほしいですね。