独自の感性で切り取られた新たな色との出合いに期待
――環境フォト・コンテスト第1回からのご協賛により、今回で「大日精化工業賞」の募集も30回目となりました。
【広報本部】当社は色彩の総合メーカーとして、景観や街づくりにおける色彩のあり方について提言する社会貢献活動にも取り組んできています。コンテスト協賛の背景には、「『色のある世界の豊かさ』を、広く社会の方々と共有しながら守り続けていきたい」という想いがありました。これまで多数の素晴らしい作品をお寄せいただき、長年にわたって多くの方々とそうした想いを共有してこられたことを大変嬉しく感じています。
――第1回から続けてきた募集テーマを、前回より「地球の色、暮らしの色」に変更されました。
【広報本部】当社の事業領域が機能性材料や合成樹脂などへ広がる中、「より広い視点から、環境との調和へ貢献したい」という想いが強まったことが一番の理由です。さらに、長期にわたって同じテーマで募集を続ける中で、テーマの捉え方がやや固定化してきたと感じられる面もあり、過去の受賞作とはまた違う新たな視点を示してくれるような作品が増えてほしいとも考えました。
選考は「100年先に残したい色彩」「地球や地域に力強く根付いた色」といった視点を重視して行いました。前回の優秀賞に輝いた「大楠様への祈り」は、樹齢1200年を数えるご神木の根元にある祠や赤い鳥居の様子から、「今後もこの光景を守りたい」という地元の人々の願いを感じる力作です。また紅葉の下をヒヨドリが飛び去る一瞬の彩りを写し取った「秋麗」、赤土とターコイズブルーの湯釜が織りなす鮮やかな対比という土地固有の彩りを捉えた「秋晴れ」の佳作2点も、優れた作品だったと思います。
私たちを取り巻く景観は、地域固有の自然や歴史、文化などを背景としながら、人々の営みや記憶などが重なる形でつくり出されています。そして日常的な暮らしの中にも、旅先のひとときにも、その場にしかない新たな「色」との出合いは存在している。そうした景観を、自分なりの感性で、独自の構図や色の捉え方をもって切り取ることで、見る人にも新鮮な驚きが伝わるような作品をお寄せいただけたら嬉しいですね。
サステナブル社会の実現に向けESG重視の経営を推進
――サステナビリティへの考え方や取り組みについて教えてください。
【広報本部】当社グループでは事業において、経営戦略の根幹である「人」、持続的成長の源となる「新しいこと」、健全な社会・環境を次世代に継承する「未来への意志」を重視しており、「人に興味を持とう」「新しいことに興味を持とう」「未来に興味を持とう」を企業理念に掲げています。
現在の中期経営計画でも、そうした観点から「サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進」を主要戦略の一つに据え、「ESGに貢献する製品の開発と新規事業の推進」「気候変動対策」「資源循環型経済の推進」などについて、全社員が積極的に活動してきました。また、製品のライフサイクル全体にわたって生態系に及ぼす影響を最小に抑える「生物多様性の保全」にも取り組んでいます。
直近の具体的な活動としては、国内拠点における購入電力を一部の低圧契約とテナント契約を除いて全て再生可能エネルギーに切り替えたほか、製品の原材料についてバイオマス由来のものへの転換も進めています。さらに、自動車の電動化・軽量化に使用される素材や、CO2を原料とするポリウレタン樹脂などESG貢献型製品の開発・製造にも注力。こうした取り組みが認められ、CDP2022「気候変動」でも8段階評価の上から3番目にあたる「Bスコア」を獲得し、またESG投資のための複数の株式指数の構成銘柄にも選定されています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【広報本部】当社では創業以来、時代の要請に応じて事業領域を拡大し、世界に拠点を広げてきました。ビジネス環境が大きく変化する中、今後も社会への貢献を続けるには、まさに「人」「新しいこと」「未来」への意志を大切にしながら、率先してイノベーションを起こしていくことが求められるでしょう。BtoBビジネスを主体とする当社の名前が表に出ることは多くありませんが、その製品は社会インフラから日常生活の中まであらゆる場面で用いられています。今後も色材や機能性素材によって社会に「色彩」と「機能」を提供する事業や、それと関連した社会貢献でサステナブル社会の実現に寄与することを目指していきます。
●募集テーマ:地球の色、暮らしの色
●前回の入賞作品