いま、マッサージチェアへの注目度が上昇中だ。「選ばれる機種」は、いったいどんな製品なのか。最新機種を通して、「もむ・ほぐす」の最前線を探る。

近年、マッサージチェアの販売台数が好調に推移しているという。人々が財布のヒモを堅くせざるを得ない状況にあっても、新製品が着々と投入され、確かな需要を生んでいるのは、なんとも興味深い。その要因は、果たしてどこにあるのだろうか。

実際、家電量販店のマッサージチェア売り場を覗いてみると、多彩な機種が並んでいるのを目にすることができる。いかにして「もむ・ほぐす」の機能を本物のマッサージに近づけるかに心血を注ぎ、開発に取り組んできた。日本でマッサージチェアが誕生して半世紀以上。開発者たちの努力により、実に目覚ましい進歩を遂げている。

進化しているのはテクノロジーだけではない。かつては「いかにも」な風貌のものが主流だったが、リビングにも違和感なくなじむデザイン性の高い機種や、ちょっと背伸びすれば手が届くリーズナブルなタイプなども登場。多彩な役者がそろい、市場は活況を呈している。

そうしたなか、ユーザーのニーズに注目してみると、大きく2つの傾向が浮かび上がってくる。「高機能型」と「置きやすさ重視型」である。前者は「もみ味」に妥協しないのが特徴。一方の後者は、インテリアとしての側面を重視し、なおかつしっかりとした働きにも期待している層だ。

「温かみ」ある感触は
まるで人の手のごとき

パナソニック「リアルプロ」(EP-MA73)
[本体寸法]
高さ:約115cm 奥行:約122cm
幅:約85cm(操作器スタンドは除く)
[医療機器認番号] 224AKBZX00034000

こうしたさまざまな消費者の嗜好に対して、長年、分析と技術の積み上げで応え、2011年度国内家電量販店シェアナンバーワン(Gfk Japan調べ)が、パナソニックである。この度、同社の上位機種「リアルプロ」の新作が発売された。マッサージチェアの最新事情に迫るには、体験してみるのが1番。というわけで、さっそく「試乗」してみることにした。

高級車のよう、というのが第一印象である。ドットレザーのシートは、ゆったりと身を沈めるのにちょうどいい質感だ。帰宅後、まずはくつろいでひと息……というシーンにもピッタリだろう。これならリビングにもマッチし、無理なく生活に溶け込んでくれそうだ。

さて、いよいよ肝心の「もみ・ほぐし」へと移る。6つの全身自動コースの内から選択したのは、スタンダードな「もみ揉ねつ」コース。まず、思わず「おっ」と反応してしまったのは、じわじわと伝わってくる「温かみ」である。機械がひたすらグイグイと刺激してくるような無機質さではなく、まるで人の手に触れられているような感じだ。

そして、「なるほど」と感心したのが、きめ細かい動き。経験のある方も多いと思うが、メカの可動範囲や圧力の強弱と、自身の「ここをこんなふうにほぐしてほしい!」という思惑がかみ合わず、こまめに体勢を変えなければならないことがままある。その点、「リアル」と名づけているだけあって、マッサージ師さながらの柔軟で繊細なもみ具合はなかなかのものだ。聞けば、体のカーブに合わせて緩急をつけているのだという。首、肩、背中、腰のモヤモヤがしだいに氷解していくのは、なんともいえず心地よい。

ちなみに個人的に気に入ったのは、「足の裏」へのアプローチだ。ヒーターの温もりと、親指のようにグーっと駆動する突起による、魅力的な合わせ技である。