そのエリア特性から
すでに多様な産業が集積
栃木県は、首都圏・東北・北陸などとつながる交通ネットワークが整った東日本の要衝だ。加えて「ものづくり県」の側面ももち、県内総生産額に占める製造業の割合は32.4%。全国第4位となっている(2009年度)。さまざまな分野の企業がバランスよく集まっているが、例えば自動車・航空・産業用などの輸送用機械、医薬・医療関連は、日本の核と呼ぶにふさわしい状況にあるといっていいだろう。こうした特徴を生かし、県は「自動車」「航空宇宙」「医療機器」「光」「環境」「食品」に重点を置き、多様な施策を積極的に展開中だ。
現在、栃木県内では右の図のとおり20ほどの産業団地が分譲中である。7000円台/m2というリーズナブルな団地もあるほか、それぞれ特色が際立ち、企業にとって自社のニーズに最もマッチした用地を選べる利点は大きい。最近も、分譲予約開始から短期間で完売した団地があったほどだ。一方で新しい団地の開発・整備も進行しており、例えば「日光産業団地」もその1つ。日光は良質な地下水に恵まれた地区で、食品加工業などに最適といえるだろう。
研究開発や販路開拓など
進出企業を多面的に支援
栃木県による進出企業へのバックアップも手厚い。創造・交流・研究開発の拠点として宇都宮市に設けられた「とちぎ産業創造プラザ」。ここには、まず「栃木県産業技術センター」が置かれ、企業のR&Dを支援し、施設・機器の開放や試験・分析の受託、技術講習などを行う。同プラザ内に併設の「とちぎ産業交流センター」は、販路開拓、企業間連携のマッチングなど、営業・経営分野のサポートにあたる。
県の補助金も、関東一円ではトップクラスだ。「栃木県企業立地・集積促進補助金」は、一定条件のもと土地・建物・生産設備を対象に、最高30億円が補助される。この適用を受けると「立地企業緊急雇用促進補助金」の対象ともなり、最高1億円が用意されている(雇用人数等の条件あり)。これらに加え、県が行う最大20億円の低利融資などの優遇制度を活用することもできる。
また、多くの工業系大学・高専・技専・高校が優れた人材を輩出し、県の生産年齢人口比率も64.7%(2009年)と高水準にある。
すでに多様な産業集積があり、その実績がエリアの優位性を示している栃木県。事業エリアを広げ経営強化を狙う企業はもちろん、リスク分散のため東日本での拠点立ち上げを考える企業にとっても注目すべきエリアといえそうだ。