小さく始めた事業を順調に伸ばし、社員を増やして「さあこれから」というときに突き当たるのが「年商2億円の壁」だといわれている。努力しても売り上げの伸びが鈍化し、業績が足踏みしてしまうのだ。会社がそこから次のステップである年商10億円レベルへ飛躍するには、何が必要なのか。経営者516人アンケートで、課題と解決策が見えてきた。

年商2億円未満の企業と、「壁」を越えた企業はどこが違うか

年商2億円の壁を越え、その先へ成長できるかどうかが会社の未来を大きく変える。どのような会社がその壁を越えることに成功しているのだろうか。

セールスフォース・ジャパンが興味深い調査を行った。

従業員99人以下の企業で働く経営者(代表取締役や取締役)約500人を対象にアンケートを実施し、年商2億円未満の企業と2億円以上の企業では何が違うかを調査したのである。両者の違いを比べることで、2億円の壁を越えるためには何が必要かが見えてきた。

調査は12項目に及び、それぞれ「年商2億円未満」「年商2億円以上」でどのような違いがあるかを明らかにした。その上で、どこに違いがあるかについて独自の「アクション分析」を行った。

それによると、まずは経営者の“想い”を打ち出して会社の方向性を明確にすることや、社内コミュニケーションを活発にすることが、会社の成長のためには重要だと分かった。

社内コミュニケーションに関しては、アンケートの「IT導入による業務改善で、特に重視している課題は何ですか?(複数回答可)」という問いに対して、年商2億円以上の経営者のうち64.2%が「社内コミュニケーションを活性化する効率的な情報伝達・共有」と答え、年商2億円未満ではそれが48.3%にとどまった。

年商2億円の壁を越える企業では、「社内の共有・対話というテーマが、常に経営者の意思決定の核にある」(アクション分析)といえるだろう。

CRM(顧客関係管理)の活用で問い合わせ数が30%増、売り上げは…

社内コミュニケーションと情報共有。これら2つの課題に大きく貢献するのが、顧客データベースを活用したCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)である。

アンケート調査では「CRMで、特に重視しているプロセスは何ですか?(複数回答可)」という問いに対して、年商2億円以上の経営者は78.8%が「顧客情報の更新・管理」と答えている(年商2億円未満では60.7%)。

ここで同社が着目したのは、同じ問いに対して「顧客情報の獲得」と答えた経営者が年商2億円以上では42.4%もいたことだ(年商2億円未満では25.0%)。一般には継続的な営業活動のツールと考えられているCRMを、「2億円以上の会社は“獲得”という視点で活用している」(アクション分析)のである。

社内コミュニケーションや情報共有という課題を解決し、年商2億円の壁を突破するには、CRMの利活用が効果的だといっていいだろう。

実例を見てみよう。アパート・マンションなどの仲介業務を行う不動産業の清陽通商。同社が年商2億円の壁を越えることができたのは何がポイントだったのか。

清陽通商の栗本唯社長によれば、かつては「担当者だけが顧客情報を保有している」「商談の経過が共有されない」「担当者個々の営業スキルを新人に継承できない」といった課題を感じていた。そこで2015年に導入したのがCRMの「Sales Cloud」(セールスフォース・ジャパン)である。また、2016年にはそれに加えてマーケティングオートメーションの「Pardot」(同)を導入した。

このことで、「ホットな顧客を抽出し、効果的な営業アプローチを実施」することができるようになり、「顧客からの問い合わせ数が30%増加」したという。そして売上高は1億5600万円から2億2282万円へと伸長した。

ここで紹介しただけでは語りつくせない実例の詳細や、アンケート調査の結果について取りまとめたホワイトペーパーが、期間限定でダウンロード可能となっている。ご興味のある方は、ぜひ情報を受け取っていただきたい。

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