「見える化」から実現する電気代削減
――世界的に電気料金の高騰が続いていますね。
【田嶋】はい。当社のクライアントからも、「もう少し電気代が安くならないか」というご相談が多数寄せられています。
電気料金の仕組みは「単価×使用量」が基本です。しかし単価については燃料価格の国際的な上昇、国内で稼働する発電所の減少といった要因により、著しく上昇しています。
そこで注目されるのが、使用量の見直しです。しかしこれまでは一部の大企業を除き、最善の状態まで電気を節約できている事業者はほとんどありませんでした。大きな理由は電力使用の状態が「見える化」されていないことです。電気代の請求は月に1回行われるだけで、自社がどのように電気を使っているのか全く分かりません。これでは節約しようにもどこから手を付けていいか分からず、効果的な節電は困難です。
そこで工場や倉庫、病院など「高圧」「特別高圧」の電気を使用する事業者を対象に、電力の使用状況を「見える化」し、省エネに関するコンサルティングを行い、電気代削減を実現するのが「電気管理クラウド」です。
――どうやって「見える化」を?
【田嶋】まず照明や空調などのブレーカーにセンサーを設置、独自のIoTシステムにより電気使用状況を把握します。その上で、専門コンサルタントが分析レポートを作成し、電気料金に直結する最大デマンド値(電力使用のピーク)を平準化するための管理方法を提案します。さらに次の段階として、生産設備や空調、照明といったカテゴリーごとの細かな電力使用状況を確認し、省エネ活動をコンサルティングすることで、電気料金のコストカットにつなげます。
範囲を絞った導入も可能で、初期費用ゼロでスタートし、節電効果を見ながら導入範囲を拡大していくことができます。
基本料金の引き下げには一定期間の実績が必要となりますが、実際にはもっと早い段階から電気使用量削減効果を実感でき、長期にわたりご利用いただくことで、より大きなコストカット効果を発揮します。
「電気削減クラウド」との相乗効果
――電気管理クラウドと「電気削減クラウド」を同時導入するケースも多いそうですね。
【田嶋】はい。電気削減クラウドとはお客さまと電力会社間の契約を支援し、使用する電力の単価低減を実現するサービスで、次のような仕組みです。
工場やオフィスビルなどで使われる「高圧」「特別高圧」区分の電気料金は、電力会社と各企業が個別に契約を結ぶ形となっていますが、それには自社の電力使用状況を正確に把握し、電力会社と料金交渉をする必要があります。
そこで当社が「削減できた電気料金の中からサービス料を頂く」というイニシャルコスト・ゼロ、完全成果報酬の料金体系により、交渉や契約の切り替えをサポートします。
中小企業も迫られる脱炭素化
現在、電気管理クラウドを申し込まれたお客さまの多くが、同時に電気削減クラウドも導入されています。電気管理クラウドで電気使用量の最適化を図りつつ、市況の変化をにらみながら、いつでも単価の低い契約にスイッチできるように準備する会社が多いのです。
――今後のサービス展開を教えてください。
【田嶋】将来的には「電気生産クラウド」の展開も予定しています。これはお客さまが工場など自社施設内に発電設備を置き、初期投資負担ゼロで電気を生産することを可能にするスキームです。
すでに大企業にとってCO2削減は見過ごせない課題ですが、中小事業者の皆さんが感度高くこれに追従していくのは難しい面がありました。しかし今後は、取引先を含むサプライチェーン全体での脱炭素化が求められます。CO2排出基準をクリアしていないサプライヤーとは取引をしないという動きも出てくるでしょう。小規模事業者も前倒しでCO2対策に取り組む必要に迫られているのです。
電気生産クラウドでは、発電設備としてソーラーパネルや蓄電池などエコエネルギー創出ツールをお客さまの施設内に設置し、当社がその管理を担当します。
といっても、必要電力の全てを自家発電で賄うのは現実的ではありません。電気管理クラウドを通じてクライアントの電力使用量が「見える化」されている利点を生かして、効率的なエネルギーマネジメントを支援し、それぞれのお客さまに必要な分だけの電力を、お客さまが現在所有している施設内で生産し、電力会社から購入する電力の費用と合わせたコストが最小となるよう、コーディネートしていくのです。
このサービスもポイントは、イニシャルコスト・ゼロで導入いただけることです。
電気生産クラウドにより電気代コストを最小化するとともに、脱炭素の取り組みを、小規模事業者であっても大企業と変わりなく進めることを可能にしていきます。
当社は「すべての企業の競争力を高め、豊かな社会を実現する」を使命として事業を展開しています。地球温暖化防止の要請が強まる中、エネクラウドは今後もデジタル技術を使ってエネルギー利用の効率化と脱炭素の取り組みを進化させていきます。