2022年5月に存在意義(以下、パーパス)を制定した王子ホールディングス。創業150周年を迎え、改めて自社の存在意義を見つめ直した時、そのコアにはやはり「森」があったという。森への思いにあふれたパーパスを今後いかに体現していくのか。キーマンの二人に話を聞いた。

王子グループの存在意義のコアには「森」がある

――昨年5月にパーパスを制定した背景について教えてください。

王子マネジメントオフィス株式会社 グループ事業開発本部 王子の森活性化推進部長 齊藤基三郎さん

【王子HD】パーパスは、王子グループの中期経営計画の発表に合わせて制定しました。この中期経営計画は3年ごとに見直しているのですが、当社グループは2030年度に「GHG排出量の2018年度比70%以上削減」を、2050年度に「ネット・ゼロ・カーボン」をそれぞれ達成するという目標を掲げています。パーパス設定の背景には、このような中長期の期間を見据えて自社の存在意義を明確にした方がよいだろうという考えがありました。企画部や広報IR部を中心に若手もベテランも一緒になって「自分たちの存在意義は何か」を考えた結果、そのコアにはやはり「森」があることに改めて気付かされた次第です。森を育て、森を活かし、時代を動かす。こうした思いを「森林を健全に育て、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく」というパーパスに込めました。

――パーパスの制定に伴い、新たな組織も設置したと伺いました。

王子ホールディングス株式会社 サステナビリティ推進本部 広報IR部長 池田和さん

【王子HD】パーパスを体現する組織として、22年10月に「グループ事業開発本部」を新たに設置し、その中に「新事業開発チーム」「液体紙容器事業部」「王子の森活性化推進部」を設けました。この新組織の設置に際し、当社では初めてとなる社内公募による人材募集を実施。想定を大きく上回る応募があったことにも増して驚かされたのは、応募者の多くが森の新たな活かし方に関するアイデアを持っていたことです。社内にこれだけのアイデアと森への思いが眠っていることに気付けたのも、大きな収穫だったと考えています。

言うまでもなく、健全に管理された森には、CO2の吸収・固定以外にも、洪水リスクの低減、水質浄化、生物多様性保全、人類の癒やしや健康増進など、さまざまな機能があります。特に、近年の過密にネットワーク化された社会に疲れ、そこから離れたいというニーズの受け皿としても期待されているところです。こうした森の価値を再発見・再定義するとともに、そこから新しいものを生み出していくことが新組織の役割だと考えています。また、森をつくり、森を活かすに加え「森から学ぶ」という捉え方からもこれからの組織や人材育成のあり方のヒントなども得られるのではないかと期待しています。

「王子の森」と「環境フォト・コンテスト」をより発展的な関係に

――環境フォト・コンテスト2023の貴社テーマの受賞作には、「森」の力を巧みに表現した力作が並びました。

【王子HD】優秀賞の「木は友達―コロナに負けるな―」は、3年ぶりに外出制限がなかった2022年のGWに撮影されたということで、この時を待ちかねていたかのようにのびのびと遊ぶ子どもたちの姿が印象的な作品です。新緑萌える木々と子どもたちに降り注ぐ日差しは、困難を乗り越えるたくましい生命力と希望あふれる輝かしい未来を象徴しているかのようです。マスクを外した子どもたちの笑顔を見られる日が一日も早く戻ることを願い、優秀賞に選出しました。

佳作の「森のしづく」は、森、空、水が映り込んだしずくと、背景の緑のコントラストにより、森の美しさと力強さが見事に表現された作品。もう一方の「復活の木」は、伐採のたびに幹から萌芽ほうがが生まれたことでできたものであり、この一本の木だけで森が再生可能であることを体現しています。

2023年優秀賞「木は友達―コロナに負けるな―」白木勇治さん
2023年佳作1「森のしづく」田島 仁さん
2023年佳作2「復活の木」神原圭治さん

――最後に「環境フォト・コンテスト」参加企業としてのメッセージを。

【王子HD】繰り返しになりますが、森は水を美しくする力、CO2を吸収・固定して地球温暖化を防ぐ力、洪水リスクを低減する力、多種多様な生物を育む力、そして私たち人類を癒やす力と、人や自然にとってかけがえのない多くの機能を備えています。国内外に57.3万haという広大な森林を所有し、事業そのものが自然環境と密接に結びついている私たちにとって、こうした豊かで価値のある森の営みを絶やすことなく次世代へ引き継いでいくことは本質的なテーマの一つです。経営理念の「環境・社会との共生」と、上記パーパスを体現することで持続可能な社会の実現に貢献していきます。環境フォト・コンテストは、そのような企業としての思いを一般の方々と共有できる貴重な機会です。いずれ王子の森での撮影会の開催なども視野に入れながら、環境フォト・コンテストとさらに発展的なコラボレーションができる方法を模索していきたいと考えています。