価格競争を続けても未来はない
――故・稲盛和夫さんは「値決めは経営である」と語っています。しかし、この言葉とは裏腹に、日本企業は価格決定をさほど重視していないといわれています。価格決定に関する日本の現状をどうご覧になりますか?
【高橋】ここ30年ほど、日本企業は市場を勝ち抜くために「他社より安く売る」という戦略をとり続けてきました。その結果、価格競争が激化し、今では厳しい状況に追い込まれている企業も少なくありません。企業の利益は「単価×数量-コスト」からなりますが、近年の人口減少や市場拡大により数量は頭打ちになり、コスト削減もほぼ限界まできています。利益を増やすには単価を上げるしかなく、コロナ禍や原材料費の高騰もあって、2022年にはかつてないほどの値上げラッシュが始まりました。それに伴い、「適正価格がわからない」「値上げしたら売れなくなった」と悩む企業も増えています。しかし、この状況は自社の価格に対する考え方を見つめ直すいい機会でもあります。企業の方々には、これを機にぜひ価格競争から脱却するきっかけをつかんでいただきたいですね。
――プライシングに関して、海外企業と日本企業の捉え方はどう違うのでしょうか。
【高橋】欧米の経営者はプライシングについてしっかり考えていることが多く、プライシングの専任者を置いたり、専門の組織を設置したりしています。一方、日本企業では価格を管轄する特定の組織が設置されておらず、担当者が価格改定のたびに変わってしまうなど、ノウハウ蓄積・推進力の面で十分とはいえません。海外企業や同業他社と競争していくためには、日本の経営者もプライシングを重視して、どんどんコミットしていくべきだと思います。
「価格」の根拠をデータで示せることが強み
――御社のプライシングに関する考え方を教えてください。
【高橋】価格は「コスト」「競合」「価値」の3つから決まります。本来なら、この3つのバランスを見ながら価格を決めていかなければならないのですが、日本では「価値」の部分が忘れられている場合が多々あります。価値がある商品なら価格も上げてしかるべきなのに、それができている企業は意外と少ないのが現状です。そのため、僕たちは徹底して「価値」に基づいた価格決定のソリューション提供に取り組んでいます。
――「価値」とは具体的にどういったものを指すのでしょうか。
【高橋】例えば当社では、Netflixの月額利用料1490円(スタンダードプラン)に対して「高すぎる」と感じる人が何パーセントいるのかを調査しました。その結果、スマホで見ている人では「高すぎる」が約36%だったのに対し、テレビで見ている人では約22%にとどまったのです。ここから、Netflixの価格に対する感じ方は、普段どんなデバイスで見ているかによって異なってくることがわかります。ユーザーがどんな使い方をしていて何に価値を感じているのか、何がトリガーになって支払い意欲が上がるのか――。これらを定量的に分析し、データを示しながら価格を提案できるところが当社の強みです。顧客企業の経営者の方々からも「根拠を持った意思決定ができる」と評価をいただいています。
プライシングはすべての業種で導入が可能
――御社の支援メニューについて、内容や特徴をご紹介ください。
【高橋】短期的なものでは価格モデル策定や価格改定実行支援、長期的なものでは専門部署づくりをにらんだ人材教育や、運用化に役立つ価格分析ソフトの提供などがあります。いずれも当社が持つ圧倒的な知見やノウハウに基づいたもので、そこがサービスの最大の特徴だと思います。また、独自の価格分析ソフトを活用することで、他のコンサル会社より低コストでの支援が可能になっています。
――得意とする業種や今後の展開についてお聞かせください。
【高橋】設立から約2年間は、「この分野だけは誰にも負けない」といえる会社をつくろうと、SaaS系企業様のプライシング支援に特化していました。去年あたりからはSaaS系企業様のみならず、アパレルやジム、スクール、警備、スポーツビジネスのチケット販売など支援先が広がっています。また、直近では原材料費高騰などで悩みを抱えている食品・消費財メーカー様からのご相談も急増しています。プライシングに関しては「のれない相談はない」と考えていますので、気軽にお問い合わせいただければと思います。
プライシングスタジオのコンサルティング内容や、導入事例をまとめたホワイトペーパーを公開しています。この機会に、ぜひご活用ください。
-- ホワイトペーパーの配布は終了しました --