都心などの中規模オフィスビルをフロアや区画ごとに販売する「区分所有オフィス」(※1)によって、不動産投資の新たな分野を切り開いたボルテックス。ハイグレードな不動産を1フロアから販売することで、従来より取得しやすい価格で提供する同社は、不動産の管理・運用業務委託でも高い実績を上げ、7年連続でクライアント数業界第1位(※2)を獲得している。その背景には何があるのか──。千葉武敏執行役員に聞いた。

リスクヘッジに効果的な“本業と連動しない収益源”

経済、社会の不確実性が高まる中、安定経営をいかに実現するか──。その手段として、ボルテックスは以前から“本業と連動しない収益源”の確保を訴えてきた。

千葉武敏(ちば・たけとし)
株式会社ボルテックス
執行役員 業務本部本部長
大手商社系不動産会社などで営業や開発、プロパティマネジメントをはじめ幅広い事業に携わった後、2020年1月、ボルテックスに執行役員として入社。同年7月より現職。

「本業と異なる収益源を持つことで、事業が停滞した場合や経営環境が変化した際、リスクヘッジが可能になります。実際、このたびのコロナ禍でも、多くのお客さまから、『区分所有オフィスからの賃料収入があって助かった』との声を頂きました」

千葉氏はそう話す。では、どのような不動産に着目すべきか。ポイントの一つは立地で、同社は東京都心の商業地をはじめとする日本国内のプライムエリアのオフィスビルを「VORT®」(※1)としてブランド展開しており、これまでに150棟以上組成。コロナ禍で影響はあったものの現在は空室率1%台で推移している。

「不動産経営では、『どのような物件を選ぶか』という戦略的な判断がまず重要になります。一方で、法改正や市況の変化、また設備の故障といった不測の事態にどう対処するか、戦術的な判断も求められる。そこでは本来、高度な専門性が必要となりますが、多くの企業さまで総務や経理など間接部門が業務の一部として対応していることも少なくありません」

※1「区分所有オフィス」「VORT」は株式会社ボルテックスの登録商標です。
※2『月刊プロパティマネジメント』2015~2021年11月号掲載情報より「総合型・オフィス中心型」にて。

三幸エステート株式会社のデータを基にボルテックスが作成。

市場競争力を高く保つためにプロのノウハウが必要

ボルテックスは長年にわたり、実務を通じてビル管理に関する知見、ノウハウを積み上げてきた。その基本にあるのは、いかに保有資産の“市場競争力”を高く保つか、という考えだ。

「不動産の価値は、プロパティマネジメントのわずかな違いによって大きな差が付きます。管理業務には、建物・設備のメンテナンス、テナントとの賃料交渉、また災害時の対応など、多様な領域があり、それぞれにノウハウ、技術が要求される。何を、どこまで対応するのが適切か、一般のオーナーさまが判断するのは難しいのが現実です。その点当社は、法務や会計も含めて管理に関わる多様なエキスパートが在籍し、各部門がしっかりと連携。さまざまな課題に最適なソリューションを提供する体制を整えています」

ボルテックスは中古のオフィスビルを購入すると、物件価値を高めるためにバリューアップ工事を施すことが多い。テナントのニーズや場所の特性を考慮したこの工事も高い評価を得ている。

「外観やエントランスのリニューアルの他、間取りの変更やトイレの増設、コロナ禍に対応した抗菌加工なども必要に応じて行います。美観を高めることはもちろん大事ですが、機能性の向上や見えない部分の改修にも力を注ぐのが私たちのスタンス。なぜなら、それこそがリーシングやテナントとの賃料交渉に影響するからです」

バリューアップで物件の価値を高める(「VORT半蔵門II」の例)

Before

After

建物の玄関部分は、黒を基調に和のテイストを取り入れた空間とし、高級感を演出。

Before

After

清潔感ある白と黒のトーンで統一したトイレに。便器や化粧台も一新した。

真のパートナーとして“御用聞き”にはならない

現在ボルテックスは、自社の物件以外でも管理だけを請け負っている。そのため、不動産を保有する企業から「収益性を高めるにはどうしたらいいか」との相談が多く寄せられるという。

「先日お伺いしたある企業さまは、複数の不動産を保有されていましたが、1人の担当者が全てを管理している状態でした。多くが空室のまま放置され、税金などコストばかりが積み上がっている──。そこで私たちから『賃貸に出すにはこういう準備を』『今の市場に合わせて間取りの変更を』『入居者募集はこうした方法で』と細かくアドバイスをいたしました」

まさに、マーケットを熟知し、高度な専門性とノウハウを有しているからこそできる助言だろう。物件の取得、バリューアップ、賃貸管理、メンテナンス、家賃保証、そして出口戦略としての売却までサポート。トータルアセットマネジメントができるのが同社の特徴である。さらに「区分所有オフィス」を組み合わせ、仮想の一棟ビルを形成することで、従来の一棟ビル保有と比べて、エリアやビル自体が持つリスクの分散を実現するなど、他社にはなかなかまねできない独自のCRE戦略を提案することも可能だ。

「ボルテックスは事業を通じて、1社でも多くの100年企業を生み出したいと考えています」と千葉氏は話す。

その実現に当たり、不動産の保有は合理的な財務戦略と考えており、資金的なハードルを下げた「区分所有オフィス」を提案してきた。そして、多くの物件を販売・管理してきた経験から意識しているのが、オーナーの御用聞きにはならないことだという。

「不動産を運営する中では、厳しい現実に基づいた対応が必要になる局面も出てきます。ベストな資産活用に向け、伝えるべきことははっきりと伝える。真のパートナーとなるには、この姿勢が不可欠だと考えています」

“管理の仕方”が物件の価値を大きく左右する時代、そのクオリティーが問われている。重要になるのは、まさしく頼れるパートナーの存在だろう。確かな実績を持つボルテックスはその有力な候補になりそうだ。

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