不動産事業やエネルギー事業などを全国で展開する不動産総合デベロッパーのタカラレーベン。今年9月に創業50年を迎える同社だが、新たにホールディングス化を行うなど、常に時代の変化に合わせ、変革を実行してきた中で、一貫して取り組むのは「事業を通じた地域・社会への貢献」だ。同社経営企画統括部統括部長兼サステナビリティ推進課課長の鈴木健介さんに話を聞いた。

住まいを通じて幸せの実現を支えてきた想いをテーマで表現

——「環境フォト・コンテスト2022」で初参加となりました。

【鈴木】当社グループでは、住まいの供給や管理を通じて、街づくりやコミュニティづくりといった地域の活性化に取り組んでいます。環境フォト・コンテストのテーマとして設定した「水と暮らしの幸せ」は、まさに住まいの提供を通じて幸せの実現を目指してきた当社の想いを表現したものです。そのような当社のテーマに今回、非常に数多くの作品をご応募いただいたことを大変喜ばしく思っております。

その多くの応募作品の中から、「暮らしの基盤とも呼べる水と関わり合いながら日常の暮らしを感じる作品」をポイントに選定させていただきました。優秀賞の「初めての手押しポンプ」は、ポンプで汲み上げた水と子どもたちの楽しそうな表情が印象的な一枚です。自然と触れ合いながら健やかに過ごす一コマからは、何気ない暮らしの中にあるたからもののような幸せとともに、地域との関係性も伝わってきます。地域社会と密接に関わりながら事業を行う当社との親和性を特に感じ、優秀賞に選出しました。また、自然の中で今を全力で楽しんでいる子どもたちの姿を切り取った「花より水遊び」と、古き良き日本の暮らしと水の密接な関係性が表現された「野菜洗い」の佳作2点も、当社の想いを巧みに表現した作品でした。

2022年優秀賞「初めての手押しポンプ」佐藤幸雄さん
2022年佳作1「花より水遊び」阿部高嗣さん
2022年佳作2「野菜洗い」三戸律子さん

——参加の経緯や狙いをお聞かせください。

【鈴木】まず、当社グループが掲げる企業ビジョン「幸せを考える。幸せをつくる。」に通ずるものを感じました。また「環境への想いを表現できる場を提供する」という環境フォト・コンテストの意義に共感したほか、当社グループのサステナビリティの重要テーマの一つである「環境・文化の醸成」にも合致しているため、協賛を決めました。

持続可能な社会の実現には、全ての方々が高い意識を持って取り組んでいく必要があると感じています。エンドユーザーと関わり合いながら、当社の環境への想いを表現する場としても良い機会になるのではないかと考えました。また、CO2の排出量や使用電力量などを考えながら生活することはなかなか難しいですが、守りたい日常の風景や思い出を写真に残すことで、少しでも未来のこと、環境のことを考えるきっかけになるのではないかと期待しています。

「幸せを考える。幸せをつくる。」を実現するために

——貴社の環境やサステナビリティに関する方針や理念をご説明ください。

【鈴木】当社グループは、「幸せを考える。幸せをつくる。」を実現するとともに、住宅の供給や自然エネルギーの導入など、事業を通じて社会課題の解決とSDGs達成に貢献することを基本方針としています。2021年5月に発表した当社の中期経営計画においては「ESGへの積極対応」を柱の一つとしており、2022年4月より新たにサステナビリティ委員会を設置するなど、環境や社会課題の解決、ガバナンスの向上に向けた推進体制を整備することで、事業を通じた社会貢献活動をさらに加速させていきたい考えです。

——具体的な取り組みについてお聞かせ願います。

長野県内で初のZEHマンション(※1)となるレーベン長野中御所 THE PEERLESS

【鈴木】従前より太陽光発電マンションの開発を行っておりましたが、本年、長野県長野市で供給した「レーベン長野中御所 THE PEERLESS」では、「IoTを活用した電力使用ピークの抑制」「専有部オール電化一括受電による省エネ」「CO2フリーの電気の供給」などにより、従来にない環境価値を備えたZEHマンションを提案しました。また、現在富山県で建設中の「レーベン富山西町 RESONACIA」が同県内初のZEH認定マンション(※2)となるなど、環境にやさしいマンションの開発を推進中です。

その他、特に強化を図っているのが再生可能エネルギー分野です。2013年から再生可能エネルギーを活用した太陽光発電所の開発、運用に取り組んでおります。また、静岡県富士宮市の「富士山朝霧バイオマスプラント」では、廃棄される牛ふんを有効活用して発電を行うなど、太陽光以外の再生可能エネルギーを活用したエネルギー事業にも挑戦しています。

※1 出典元:一般社団法人環境共創イニシアチブ公表のZEH-M支援事業・公布決定事業一覧より
※2 富山県内でのZEHマンションの供給は初めてとなります。(出典元:(株)不動産経済研究所 受託調査部より)

創業50年の節目にたくさんの「水と暮らしの幸せ」のシーンを

——今後の環境フォト・コンテストに期待することは。

【鈴木】新型コロナウイルスの流行以降、私たちは新しい生活様式や働き方への対応が求められ、会いたい人に会うことや、行きたいところに出かけることが制限されてきました。少しずつですが、前向きな日常生活に進んでいく中で、次回の「環境フォト・コンテスト2023」では、ぜひ“今”の「水と暮らしの幸せ」の瞬間を切り取っていただけたらと思います。今年9月に創業50年を迎える当社に、さまざまな地域の“今”を多様な切り口でお届けいただけるのを楽しみにしています。

そしてコンテストに関しては、深刻化する気候変動問題やコロナ禍の影響などにより社会や生活のあり方が大きく変化する中、SDGsの浸透もあいまって、企業に求められる役割やステークホルダーからの期待も大きくなっています。ますますの変革を求められている私たちが当社グループの企業ビジョン「幸せを考える。幸せをつくる。」を実現し、事業を通じて社会課題の解決に貢献していくその想いや活動を皆様に知っていただく舞台として、今後も共にコンテストを盛り上げていければと思っています。