ほとんどの人が
分散投資を誤解している

分散投資についても、ほとんどの人が誤解しているのではないでしょうか。

「私は分散投資しています」といっても「中国株ファンドとブラジル株ファンドと……」のような組み合わせ。儲かりそうなものだけを組み合わせるのは、分散投資というよりも“分散投機”。大きく負けることを避けるため、異なる値動きをするものを組み合わせるのが分散投資の本質です。例えば、ルーレットで赤と黒に同時にコインを張るイメージですね。

ただ、以前と比べて分散先を選ぶのが難しくなっています。2004年くらいまでは、日本株と米国債券は逆方向の値動きをしていました。それが近年は同一方向に動くことも多く、世界同時株安や株と債券の同時安のような現象が起きやすくなっています。

さらに先進国経済の成長率も下がってきました。以前なら、日米の株と債券の4つに分けていれば、そこそこのリターンも得られて分散投資はそれでOKでしたが、近年はリターンが低くなってきています。成長性の高い新興国株とか、違う値動きをするREIT(不動産投信)やコモディティなども組み入れる必要性が出てきています。

現役世代のポートフォリオなら、半分が国内外の債券、残りの半分が国内外の株式とREIT、コモディティというイメージで、目標利回りは6~8%ぐらいでしょうか。外国株は新興国を中心にして収益性を高め、一方で外国債券は先進国を中心にして、新興国の株が下がったときのクッション役を期待するのが基本的な考え方です。

若い世代でまだ運用するお金がない、という人は、この比率で月2万円、3万円でも積立投資を始めるといいですね。投資商品を買うときは高値づかみで失敗しがちですが、積立投資なら購入価格を平準化できるので、その心配がありません。この方法でお金が貯まったら、もう少し安全な商品に移す、という発想がいいと思います。

分散方法が難しい時代にはなりましたが、投資の手段は以前より格段に増えています。ETF(上場投信)には外国株をはじめREITやコモディティも揃っていますし、投資信託なら1000円から積立購入ができます。また、自分で選ぶのが難しいと感じるなら、プロに運用を任せるプライベートバンキングといったサービスもあります。ただ、大きなお金を託す以上、信頼のおけるところを選ぶことが重要ですね。