三菱UFJリース(1971年設立)と日立キャピタル(1957年設立)の経営統合を伴う合併により2021年4月に設立。①社会資本/ライフ②環境・エネルギー③モビリティ④販売金融⑤グローバルアセットの5つの注力領域を中心に先進的なアセットビジネスを展開。社会的課題の解決を通じた新たな価値の創出を図る。
私自身が銀行時代に経験した2度の大規模合併を踏まえ、まずは、PMIを必要以上に急がないことを意識しました。システムの整備や人事制度の統一なども含めて、PMIに要する期間を2年に設定。しかし、実際のところ、統合プロジェクトは想定よりもスムーズに進行しており、私の感覚では、すでに8割方はめどが立っています。今後、さらに加速させていくことが十分に可能と考えています。
その背景には大きく二つの要因があります。一つ目は、三菱UFJリース、日立キャピタルのカルチャーが大変によく似ていたことです。両社ともに、真面目で誠実な従業員が多く、また、金融業にとって最も大切な“リスク”への慎重な対応姿勢も有していました。「新会社が一つにまとまるのは早い」と確信できた、ポジティブサプライズでした。
二つ目は、両社が推進してきた主な事業領域に重なりがなく、「足し算」の合併であったことです。メーカー系のバックグラウンドを有した日立キャピタルは、サプライヤー側の視点から、三菱UFJリースは、銀行のお客さまを基盤としたユーザー側の立場からビジネスを見てきました。これらが融合することで、サプライヤーのソリューションとユーザーのニーズを強く、的確に結び付けることが可能となり、ビジネスのフィールドが大きく広がりました。
また、相互に理解を深めようとする従業員たちの意欲も旺盛で、さまざまなワーキンググループを立ち上げ、活発に意見を交わしています。実際、従来にはなかった協働アプローチによる提案で成果を出すなど、営業シナジーも顕在化しつつあります。
当社のありたい姿の実現に向けた「中期経営計画」の策定
現在、国内外でDX(デジタル・トランスフォーメーション)やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に関する議論や取り組みが進み、事業者にはSDGs(持続可能な開発目標)を踏まえた活動が求められるなど、ビジネスの重要な転換期を迎えています。「自分たちも変わっていかなければ」と危機感を抱くお客さまは少なくありません。
私たちは、世の中のほぼ全ての業種のお客さまやパートナー企業と接点を持てることが強みであり、特徴です。企業が変革に踏み出すとき、さまざまな業界を横断したネットワークを活用できる当社であるからこそ、幅広い課題の解決に貢献できると考えています。当社が取り扱う有形・無形のあらゆるモノの動きを「見える化」し、変革のプラットフォームとしてお客さま同士をつなぐ役割を果たしていくことで、経営理念として掲げる「持続可能で豊かな未来」に貢献できるものと確信しています。
では、具体的にどのようなビジネスモデルを創出するのか、いかなる付加価値を皆さんに提供できるのか。当社が描くありたい姿(経営理念)の実現に向けた「経営の中長期的方向性」を明確化し、2023年4月にスタートする「中期経営計画」において具体的な計画をお示しする予定です。
変革を進めていくのは当社も同じです。これまで通りのリース業の延長線上にとどまっていては、お客さまや社会の期待値を引き上げることは難しいでしょう。そうした認識を経営陣で共有しながら、現在、議論を本格化させているところです。
「論理的な理念・方針」と「心」の調和が事業を支える
新たな中期経営計画は、この会社で働く国内外約9000人の従業員一人一人が一緒に考え、実行できるものにしたいと考えています。
中期経営計画の策定にも深く関わる、当社が優先的に取り組むべきテーマとして2021年12月に公表した6つの「マテリアリティ」においても、社内アンケートで回答を得た、約2500人の従業員の意見を反映しています。
ロジカルに「P」(Plan)を練り上げても、「D」(Do)を担う従業員が「自分たちも関わっている」との意識を持たないと、PDCAをうまく回すことは難しいと思います。いかにデジタル技術やAIが進歩し、ビジネスに取り入れても、やはり最終的に大切になるのは「論理的に整理された理念・方針」と「心」の調和が保たれることだと思います。これから次々と積極的に施策を打ち出していくに当たって、双方向のコミュニケーションの機会を増やしていきたいと考えています。
私たちは、常に持続可能で豊かな社会、その未来の在り方を見据えています。現在、取り組んでいる事業は、この軸に合致するものであろうか。社会に貢献できるであろうか。常に自分たちに問い掛けながら、やるべきことをやってまいります。