持続的な経済成長と復興への歩みをより力強いものに──。企業誘致において積極的な施策を打ち出す福島県は、2021年に「転居費用を1人当たり最大で100万円補助」する「福島県本社機能移転促進事業費補助金」を新設した。国の税制優遇措置「地方拠点強化税制」と併せて活用できるのが特徴だ。手厚さが増した支援策の展開で、本社機能の移転や拡充を目指す企業のチャレンジを後押しする。

インフラも大幅強化。期待される好影響

コロナ禍の影響もあって企業の目はさまざまな地域に向けられるようになり、「本社機能」を置くエリアの選択肢は広がった。移転に伴うサポートの充実度、大都市圏との位置関係、立地後に見込まれる効果などを総合的に考えると、ビジネスを具体的にイメージしやすい候補地として「福島県」が浮かび上がる。

まず、優位性を発揮するのが「良好なアクセス」だ。

福島県から首都圏までは200キロ圏内。東北新幹線を使えば、郡山~東京間は75分ほどだ。また、国内3番目の広大な面積を有する福島県内での移動においても、主要な地域へ延びる鉄道網が整っている。

県内には、東北自動車道、常磐自動車道、磐越自動車道の3本の高速道路が走っており、2021年4月には、東日本大震災と原子力発電所事故からの復興を象徴するインフラの一つである東北中央自動車道(相馬~福島)が全線開通。東北自動車道と常磐自動車道に接続されたことで輸送時間が短縮され、物流効率化による企業の販路拡大や事業開拓が期待されるなど、産業集積の強い追い風となっている。

充実のバックアップで多様な企業が福島県へ

2011年以降で735社が福島県に工場を新増設した(2020年12月時点)。医療機器生産金額全国3位(2020年)、医療用機械器具の部品等生産額全国1位(2019年)など全国有数の医療関連産業集積地である。

郡山市に「ふくしま医療機器開発支援センター」が整備され、医療機器の開発から事業化までを一体的に支援するなど、バックアップ体制が構築されている。また、沿岸部に位置する浜通り地域では、新たな産業基盤の構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」に基づき、ロボット産業や再生可能エネルギー産業などの新産業の集積を進めている。ロボットやドローンの一大開発・実証拠点「福島ロボットテストフィールド」、再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」などの拠点が整備され、産業集積の動きをますます加速させている。

人材面では、東北6県・北関東3県の中で最も多くの工業科学生を擁していることに加え、県内各地の学校、施設で即戦力となる人材育成を行っている。輩出される人材は「真面目で粘り強い」と福島県に立地した企業から高い評価を受けている。

こうした環境や実績をけん引役に、ものづくりの領域にとどまらず多様な規模、業種の企業が、自社の重要な機能を福島県に移す流れが強まりつつある。移転を決断する後押しとなっているのは、同県が「全国トップクラスの手厚さ」と胸を張る優遇制度だ。

国や福島県の企業立地補助金による立地支援のほか、福島イノベーション・コースト構想の重点分野について地元企業と連携して行う実用化開発への支援などが行われており、企業の活動、経営をさまざまな面からサポートする制度が整備されている。さらに、企業が福島県に本社機能を移転または拡充する場合は、国の税制優遇措置「地方拠点強化税制」に加えて、県が独自に創設した「福島県本社機能移転促進事業費補助金」を活用できる。

地方拠点強化税制の内容は、オフィス減税、雇用促進税制、地方税の課税免除または不均一課税。対象となる本社機能とは、調査・企画部門、情報処理部門、研究開発部門、国際事業部門、その他管理部門の「複数の事業所に対する業務または全社的な業務を行う事務所」「研究開発において重要な役割を担う研究所」「人材育成において重要な役割を担う研修所」を指す。事業者は、福島県に「地方活力向上地域等特定業務施設整備計画」を申請し、認定を受けておく必要がある。

整備した本社機能で働くために、県外から福島県へ従業員が転入する際に発生する「企業が負担する引っ越しの経費」に対して、福島県本社機能移転促進事業費補助金が交付される。補助率は3分の2、従業員1人当たり最大で100万円が補助される。1社当たりの年間の補助限度額は500万円で人数制限などは設定されていない。

本社機能の移転・拡充において、従業員の転居費用を1人当たり最大で100万円補助。福島県に「地方活力向上地域等特定業務施設整備計画」を申請し、認定を受けた企業の従業員が、整備した本社機能で働くために福島県内に転入する場合に補助される。企業が負担した経費が対象。

制度の対象となるケースは「移転型」と「拡充型」

では、「国の税制優遇制度+福島県の補助金」を活用したモデルケースを見てみよう。まず、本社機能移転は「移転型」と「拡充型」の2つに分類される。「移転型」は「東京23区に本社機能を置く企業」が福島県に本社機能を移転するケース、「拡充型」は「東京23区外に本社機能を置く企業」が福島県で本社機能を拡充するケースなどが該当する。例えば、新社屋の建設などに4億円の設備投資を行い、オフィス減税による税額控除(移転型は7%、拡充型は4%)を活用したとする。この場合の減税額は、移転型では2800万円、拡充型では1600万円となる。

さらに、新規雇用や転勤によって、整備した本社機能部門で働く雇用者が増加した場合、その増加数に応じて雇用促進税制による税額控除を受けられる。転勤に伴って従業員が福島県に住民票を異動した場合は、1人当たり最大100万円、1社当たりでは最大500万円の引っ越し費用の補助金が交付される。

優れた交通アクセス、優れた人材、充実した支援制度と多くのポテンシャルを有する福島県。この地を基点とするビジネス推進は、企業にとって、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した事業活動が求められる現在の潮流にも合致するだろう。さらなる飛躍はもとより、従業員の働きがいやエンゲージメントの向上、地域への貢献。企業が進むべき方向を示す多くのヒントが、福島県にはある。

※「地方拠点強化税制」の内容は令和3年度時点のものです。

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