DXの構想立案からシステムの設計、開発、運用までを一貫支援し、人材育成・組織開発や事業創出にも力を注ぐ──。「ビジネスとテクノロジーの融合」に強みを持つクロスピア コンサルティングがクライアント企業から高い支持を得ている。金融業界で抜群の実績を誇るシンプレクスグループの一員として事業を展開する同社の価値観や活動内容について3人のコンサルタントに聞いた。

DXを推進していくには「下地」の整備が重要

梶田威人(かじた・たけと)
Xspear Consulting株式会社
マネージングディレクター
NHKの報道ディレクターを務めた後、 BCGに入社。 2021年にシンプレクスに参画。 金融業界、 メディア・エンタメ業界のコンサルティングを行うとともに、 Xspearの事業運営を担う。

──シンプレクスグループにおける貴社の役割から聞かせてください。

【梶田】社名に「spear」とあるとおり、当社は先陣を切って新たな分野に挑戦する、いわば尖兵部隊です。先端テクノロジーをいち早く取り入れてきた金融業界のクライアントを支援する中で得た知見やノウハウをより幅広い業界で生かしていきたい。大手コンサルティングファームや著名なテックベンチャー、そしてテクノロジーに精通するシンプレクス。これらの出身者からなる当社であれば、技術的な裏付けの下でビジネスの変革をサポートすることが可能です。

──今、企業はDXにおいてどんな課題を抱えていると感じますか。

【梶田】一時的な業務改善ではなく、ビジネスモデルの刷新や事業創出を目指すDXには相応の時間と持続的な取り組みが必要で、全てを外部に任せるわけにはいきません。任せきりではナレッジも蓄積されない。とはいえ、自社内には取り組みを推進していく「下地」がない。そうした課題を抱える企業が多く見られます。そこで当社は、お客さまが「自走」できる環境の構築を最大のミッションとしてコンサルティングに当たっています。

石原裕也(いしはら・ゆうや)
Xspear Consulting株式会社
マネージャー
大手証券会社にてクオンツ分析やシステム開発に従事した後、AIベンチャーのPKSHA Technologyにてエンジニアを務める。2020年にシンプレクスに参画し、STO事業推進、市場業務のDXなどのプロジェクトに従事。

──「下地」とは具体的にどのようなものですか。

【石原】一つはやはり人材です。当社はそれを大きく三つに分けています。「DX戦略家」「デジタルマーケター/サービスデザイナー」「データサイエンティスト」。数学的素養が求められるデータサイエンティストの内製化は難しい──。そうした心配をされる企業が少なくありません。ただ技術的な知識は、学習によってある程度習得可能。実はより重要なのは、データを基に意思決定を行えるかどうか。組織としていかに早く、そして深く決断できるかどうかだと私たちは考えています。

──意思決定の仕組みを見直すことも大事なポイントになるわけですね。

【石原】はい。DXにおいては中長期の戦略も必要ですが、データが示す事実に基づいて施策を打ち、その結果を分析して、さらに新たな施策を打つ。そうしたサイクルを回すことが欠かせません。ビジネスプロセス、顧客接点がデジタルに置き換わる中では、このスピードと質が競争力に直結する。当社は、人材育成においてもそのことを強く意識してサポートを行っています。

例えばNFTの仕組みや社会的意義のレクチャーも

──その他、コンサルティングで重視していることはありますか。

【松本】お客さまが自走できる環境をつくるには、経営と現場、また部門間の乖離を是正することも重要です。もし、各部署が同時多発的にDXを進めてしまうとどうなるか。人材配置にしても、予算配分にしても、全体最適が図られず、不合理が生じてしまいます。あるプロジェクトで追加資金が必要になっても、事前に決めた予算に縛られ、柔軟な対応ができずにシュリンクするといった事態も起こり得る。組織の一体感を強めるには、全体を統括する取締役クラスにも意見でき、各部門をつなぐハブ的な存在が必要で、そこは私たちコンサルタントが役割を果たせる部分だと思っています。

松本修平(まつもと・しゅうへい)
Xspear Consulting株式会社
シニアマネージャー
アクセンチュア、PwCのテクノロジーコンサルティング部門、ビジネスコンサルティング部門を経て、2020年にシンプレクス参画。金融機関向け業務支援および複数業界でのDX構想・推進支援に従事。

──クロスピア コンサルティングが提供するソリューション、またその特徴について聞かせてください。

【梶田】例えば、今注目のブロックチェーン技術を用いたNFT(※)プラットフォーム。これにお客さまが関心を持たれていれば、当社はその仕組みや社会的意義のレクチャーから行います。いきなり新規事業を提案しても、一過性のものになりかねない。逆にしっかり内容をご理解いただければ、NFTで何ができるか、どんなメリットを得られるか、地に足を着けて、一緒に考えることができます。

【松本】何より大切にしているのは、お客さまに主体性を持っていただくこと。プロジェクトが開始されれば、私たちはプロジェクトメンバーの方々に伴走し、専門的な見地を含めてご支援を行いますが、要所では必ず「皆さんはどうお考えですか」と問いかけるようにしています。

【石原】そうすることで、お客さまはテクノロジーと自社のビジネスの在り方を深く結び付けられるようになりますし、実行した施策の結果を的確に受け止め、次の取り組みに向けて自信を持って決断できるようになります。

──最後に、DXによる飛躍を目指す企業にメッセージをお願いします。

【梶田】私たちが目指しているのは、お客さまから「ご苦労さまでした。後は自分たちでやります」といった声をいただくことです。戦略の立案、人材育成、組織改革、システム開発など、それぞれのプロフェッショナルが、持てる技術やノウハウを提供していきますので、ぜひそれらを取り込み、自分たちが本当に取り組みたいDXを進めていただきたいと思います。

【松本】一方で、経営を取り巻く環境は刻々と変化し、テクノロジーは今後も進化を遂げていきます。そのような状況下で、お客さまが独力でDXを推進していくと、外部の知見が欲しくなる局面は必ず訪れるはずです。まさにそうしたときが私たちの出番。ありたい姿に向かって普段はしっかりと自走し、いざというときにはクロスピア コンサルティングを頼りにしていただければうれしく思います。

※ Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略。ブロックチェーン技術によって、唯一性を担保したデータのこと。