新型コロナ禍、自然災害の頻発なども重なり不透明感が増す「物流の需要予測」。柔軟な輸配送が求められる中、存在感を高めているのがトラフィックレンタリースの事業用トラック貸し出しサービス「スポットリース」だ。同社代表取締役社長・小野寺正臣氏、ロジスティクスシステム研究会(公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会)副主査でトラフィックレンタリース顧問も務める高木健介氏の対話から「これからの物流」を読み解く。

トラック不足だが増車に踏み切れない

【高木】巣ごもりや在宅ワークの普及でEC利用が急増するなど、物流業界は繁忙状態が続いています。従来の宅配専業者と自前物流の整備に取り組む小売業者、この二極化がますます進むでしょう。

高木健介(たかぎ・けんすけ)
元日本通運株式会社
ロジスティクスシステム研究会副主査
(公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会)
株式会社トラフィックレンタリース顧問

【小野寺】パンデミックや自然災害など、自分たちの力だけではコントロールできない外的要因に運送業界のニーズやビジネス環境が強く左右されるようになりました。「これまでのように3年後、5年後を見据えた事業計画が難しくなった」という運送会社さまの声をよく耳にしますね。中には、仕事量が計画を大幅に下回ってしまったケースも少なくないようです。

新たな仕事を引き受けるに当たって複数台のトラック導入を検討しているが、想定通りの物量が確保されるのか不安。まずは当社の事業用トラック貸し出しサービス「スポットリース」を活用して状況を見極めたい。そんなお問い合わせが増えています。

【高木】慢性的なトラック不足ではあるものの、容易に増車を決断できないのです。というのも、トラックの価格高騰で導入コストは上昇し、納車までの期間も長期化の傾向にあるからです。物流コスト全体で見れば、5~6割と最も多くを占めるのが輸送料。車両の調達方法を見誤ると時代の変化に迅速に対応できないばかりか、稼働していないトラックの管理に高いコストをつぎ込むことにもなりかねません。トラックを所有することのリスクが拡大しているといえます。

【小野寺】荷物の量に変動要因があるにもかかわらず「ピークに合わせた車両数の維持」が大きな負担になるのですね。そこで「ピークカット」の考え方で自社のトラック保有台数を減らし、足りない分はフレキシブルに当社のスポットリースで補っていただく。そんな体制を運送会社さまが整えておくことで、素早くニーズに応え、かつコスト削減を達成できると考えています。

「保有5000台」のスケールメリットを生かした業務用トラックのリースおよびレンタル事業を中心に展開。期間は1カ月から利用可能。

5000台の中から「今」必要な車両を選べる

【高木】持続的な経済成長もあって、従来はトラックを保有していれば積荷を確保できました。トレンドや物量の変化が激しい現在、いかに短期間で増車、減車に対応できるかがカギ。ニーズは「保有」から「保有とリース」へとシフトしつつあると感じています。

小野寺正臣(おのでら・まさおみ)
株式会社トラフィックレンタリース
代表取締役社長

【小野寺】当社のスポットリースなら2トントラック、4トントラック、キャリアカーなど100車種、5000台の豊富なラインアップから車両をお選びいただき、1カ月からご希望に応じた期間でのご契約が可能です。運送事業者として有償で荷物を運べるよう、お客さま名義の「青ナンバー」を取得することで法令にも適合。変更登録や車両のメンテナンスは当社が担当しますので、最良のコンディションのトラックを安心・安全にご利用いただくことができます。いわば、手軽な「シェアリング」に近い感覚ですね。

【高木】新規事業、既存事業の両面で、スポットリースを使った課題解決の事例が増えていますね。

【小野寺】はい。大型の物流拠点を計画したが、受注量の予測が難しいため車両の導入台数を決めかねているというお客さまがいらっしゃいました。1年間、スポットリースを導入して受注動向を分析。信頼性の高いデータを踏まえて波動と効率的な配車を把握した上で、長期リースによる自社車両の導入を決定されました。

また、「6台積み大型キャリアカー」がトラブルによって動かせなくなったというお客さまからのご相談もありました。修理に要する期間は数カ月。特殊な車両のため、代わりの車両を手配できる事業者も限られます。「お客さまにご迷惑をおかけしてしまうのはもちろん、その後の取引の機会を失いかねない」と非常にお困りのご様子でした。修理が完了するまでの間、当社が所有する大型キャリアカーによって運搬業務を滞りなく継続できたというケースがあります。

「6台積み大型キャリアカー」など、特殊車両の貸し出しにも対応できるのがトラフィックレンタリースの強み。

スーツでも乗れるトラックを届けたい

【高木】もう一つ、忘れてはならない視点が「品質」です。運送会社はただ運べばいいわけではない。良さを実感していただき、信頼を得なければ選ばれません。大事な荷物をお預かりするわけですから、品質やイメージの向上が不可欠。ただし、それを自社で磨き上げるのも「コスト」がネックになるのです。

【小野寺】当社は「車両管理課」が中心となって、各種申請・登録、車検や法令で定められた3カ月点検など、専属のスタッフを配置して車両管理を実施しています。もともと当社はレンタカー事業からスタートした会社ですから、快適に、安心・安全にお使いいただきたいという思いが原点です。私が社員にずっと言い続けているのは「スーツでも乗れるトラックをお客さまに届けよう」。軽バンもダンプもクレーンも、当社の5000台の車両すべてにおいて徹底しています。

また、お客さまのニーズも多様化しています。「こんな車を使いたい」という声を起点にしてバリエーションを強化するとともに、秋田から沖縄まで展開している当社の営業所ネットワークを駆使して、より迅速に車両をお届けできるサービスへと進化させていきます。

【高木】繰り返しになりますが、物流業界において長期的な見通しは困難。半年先、1年先を考えることが重要ですが、短期的な予測だけで車両に投資するにはリスクが大きい。この悩ましい課題の解決策として、スポットリースは有効な選択肢となり得るでしょう。

【小野寺】今後は、積極的に運送計画の企画段階から参画するなど、各社のビジネスに適した車両配備をサポートしていきたいと思います。