施設の「見せる化」により多様なつながりを促進
──今年8月、神奈川県相模原市と千葉県流山市で、総延床面積がそれぞれ67万㎡超、90万㎡超の「ALFALINK」が竣工しました。開発の背景から聞かせてください。
【帖佐】今、一口に物流施設といってもそれを正確に定義するのは難しい。施設によっては保管や配送だけでなく、生産、加工、さらに研究開発などの機能も備えています。何万ものアイテムを迅速かつ確実に、絶え間なく特定の場所に送り出すには多様な機能と高度なオペレーションが求められる。まさに事業者のそうしたニーズに高い次元で応えるべく開発したのが「ALFALINK」です。いまや物流の質が、商品の売れ行きや企業価値にも直結する時代。その意味で当社は、物流施設はコストセンターではなく、プロフィットセンターであると考えています。
──物流施設の役割が変化してきているわけですね。
【帖佐】そのとおりです。「ALFALINK」では“創造連鎖”という言葉を掲げており、これはさまざまな機能が掛け合わさり、また複数の企業が共創することで新たな価値を創造していくことを意味しています。実際、相模原、流山ではA社と取引したいB社が、B社のサービスを利用したいC社が入居するといった流れがすでに生まれている。今後もさらに、そうした自律的な連鎖が生じることを期待しています。
──“創造連鎖”を加速させる工夫や仕掛けはありますか。
【帖佐】「Open Hub」というコンセプトが重要な役割を果たします。これに基づき、私たちは施設そのものをメディア化。「見える化」の先をいく「見せる化」により、入居企業が自社の業務や取り組みを発信できるようにしています。他社や地域に向けて、優れた作業品質やサービス内容を発信することは、共創のきっかけとなり、ブランディングに貢献するはず。加えてそれは、物流そのもののイメージの刷新、向上にもつながると考えています。
──どういうことでしょうか。
【帖佐】お話ししたとおり、現在物流の現場では極めて高度なオペレーションがなされ、それがインフラとして私たちのビジネス、暮らしを支えています。しかし、その事実が社会に広く知られているとは言い難い。これまでの物流はどこかブラックボックス化されていました。そうした課題を解決するためにも、「ALFALINK」は社会や地域に開かれた存在となることを強く意識し、施設設計も工夫しています。
例えば「GLP ALFALINK相模原」には、共用施設「リング」を設置。一般の方も利用できるレストランや託児所、カンファレンスルームなどを備えています。地域の皆さんが気軽に足を運ぶなかで施設に愛着を持ち、物流の大切さも自然と感じる。ぜひ、そんな場所にしたいと思っています。
物流業界はもちろん自治体からも高い支持
──ほかにどんな特徴がありますか。
【帖佐】コンセプト「Integrated Chain」の下、商品企画から生産、配送までサプライチェーンすべてを統合できることも特徴。これによって出荷までのリードタイムを削減することが可能です。また「Shared Solution」も掲げ、AIやIoTを活用した自動化、省人化支援サービスを提供します。革新のスピードが速い先端技術に個々の企業が投資を重ねていくのは負担が大きい。そこで、当社がニーズに応じて各種のソリューションを提供できるようにしました。
──「ALFALINK」への反響はいかがですか。
【帖佐】おかげさまで大手物流企業様をはじめ、多くの入居が決まっています。「今まで出会えなかった企業と接点が持てる」「従来とは異なる就労イメージを提供できる」「環境配慮が徹底しており、SDGsやESGの観点からも評価できる」といった声を頂きました。また、物流の価値や意義をオープンに発信していくという姿勢にも多くの共感が寄せられています。
一方で、自治体からも「地域の活性化に寄与する」と支持を頂きました。以前から施設を防災拠点などとして活用する連携協定は結んでいましたが、「ALFALINK」ではイベントの企画なども進行中。こうした動きが継続し、物流施設が人々のコミュニケーションや新たな価値を生む場となることを願っています。
──最後に改めて日本GLPのビジョンや今後の抱負を聞かせてください。
【帖佐】当社の役割は、社会に不可欠な物流の発展を側面からサポートすることです。お話しした“創造連鎖”についても、業界の枠を超え、地域やそこに住む人たちにまで広げていきたい。そうして、物流が持つ魅力や可能性をより多くの人に知っていただくお手伝いができればと考えています。