IT人材が不足するなか、中小企業が抱えるIT関連の課題を解決し、経営を強化していく。導入企業がその仕組みを高く評価するアウトソーシングサービスの中身とは──。

IT活用で事業成長を後押し

テレワークを推進したいが、リモート環境やウェブ会議ツールが整備できない。紙文書を処理するため、出社せざるを得ない──。「昨年来、企業からそうした声が多く聞かれます」と富士フイルムビジネスイノベーションの岡野正樹専務は言う。

岡野正樹(おかの・まさき)
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
取締役専務執行役員

「コロナ禍をきっかけに、IT活用に関わる潜在的な課題が浮き彫りになった形です。印鑑や紙資料の扱いなどドキュメント周りの課題は比較的とらえやすいですが、IT領域に関しては利用して初めて気付く問題も多く、場合によっては課題が発生している状況を認識することすら難しいのが現状です。特に中小企業はIT人材が不足するなか、目の前の問題への対応に精いっぱいで、従来の働き方から脱却できないというところが少なくありません」

まさにそうした課題を解決すべく同社が展開するのが、「IT Expert Service」だ。トラブル対応だけにとどまらず、企業経営におけるIT活用を、戦略立案から運用に至るまで包括的に支援するサービスである。四つの機能を連携させることで課題を見える化し、プロアクティブに改善を続け、戦略の実行度を高めることで、企業成長に貢献する(下図参照)。

このサービスは、同社傘下の子会社がオーストラリアなどで約20年間にわたり提供しているサービスを基に、国内で展開を開始したものである。特にそれぞれの企業に最適なITの活用を経営者とともに考えていく「Virtual CIO(以下vCIO)」の存在が高く支持されている。

「ITの複雑さと技術進化の速さには目を見張るものがある一方、『ITでこんなことができないか』と考えても、担当者のケイパビリティが及ばなければ、結局手の届く範囲での活用にならざるを得ません。中長期的に見て成長を実現する投資にはつながらないでしょう。そこでIT活用全般を私たちにご相談いただき、お客様は事業成長や価値提供といった“本業”に特化いただくことで、企業を成長させていく手助けをしたい」と岡野氏は話す。

戦略的IT活用を具現化するよき相談役に

このサービスによる支援の流れについて、国内営業を担う富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの菊池史朗執行役員は次のように説明する。

「まずは、運用をお預かりするために、お客様のIT環境について調査を実施し、使用機器やソフト、システム環境などを確認します。その後、vCIOも参加し、経営者が抱える不安、具体的には、最適なIT活用ができているか、無駄のない投資ができているか、といったことや、今後実現したいことをお伺いします。それを受けて今後の経営課題解決に向け、ITをどのように活用していくかを考え、IT戦略やその運用計画に落とし込んでいきます」

菊池史朗(きくち・しろう)
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社
執行役員

vCIOがこの段階で意識しているのは「お客様の意志をどう実現するか」。その第一歩となるのが、“お客様の真の課題を顕在化させること”だ。

「一口にITに関する戦略、要望といっても、お客様は日々そのことを考えられるわけではありません。ですからIT関連のお困りごとのほか、業務のなかで改めたいこと、事業で実現したいことにもしっかりと耳を傾け、今までお客様自身が気付いていなかった課題を探り当てていく。こうしたことが、私たちの役割だと考えています」

他方で、ITの環境整備、活用に関して漠然とした不安や悩みを抱えていても、相談ができる相手がいない、という経営者も少なくない。

「基幹システムを入れて10年経つが、更新すべきか判断できない。DXと言われても何から手を付ければいいかわからない。現在のIT投資が自社に最適なのか自信がない──。そうしたさまざまな不安があるなか、お客様が求めているのは、同じ目線で客観的に助言ができる専門家ではないでしょうか。ですからvCIOは、お客様が気軽に、かつ継続的に相談できる存在になることを大切にしています」

お客様の課題を理解し、お客様に合ったIT活用をvCIOが提案し、その後は「Virtual IT Manager」が日々の運用をサポート。計画の進行状況なども確認しながら、運用レポートを定期的に提出し、中長期的な改善につなげていく。

「お客様にとってITは手段であり、その活用目的は付加価値の高い事業活動を実現することです。私たちは、さまざまな業種、業態のお客様の課題に触れる機会があります。その経験を生かし、お客様が本業に集中できる環境を整えていくことに力を注ぎたいと考えています」と菊池氏は言う。

これからの時代、事業を成長させるためにはビジネスの変革が欠かせない。ITがその有力なツールであるのは誰もが認めるところだろう。最後に岡野氏は次のように話した。

「私たちの重要な使命はお客様の生産性を高めること。『こんなことに困っている』『こんなことはできないか』という声に応え、従来にないレベルでのオフィスの生産性向上と柔軟なコミュニケーションを支援していきたいと思います」

同社では、今回紹介した「IT Expert Service」のほか、多様なIT機器の運用・保守に軸足を置き、トラブルの早期解決を支援する「ITあんしん プレミアム」も提供している。お客様のニーズに合わせたこれら二つのITアウトソーシングサービス「情シスPLUS」でお客様の企業成長をITの領域から支援していく気構えだ。

導入企業から、“ITについて何でも相談できるので心強い”“こんなサービスを待っていた”と評価される「IT Expert Service」。自社に最適なIT環境を探りたいと考えている中小企業にとって見逃せないサービスといえるだろう。