日本におけるシェアオフィスのパイオニアとして、2000年よりサービスを提供するアセットデザイン。現在、同社の法人向け多拠点型サテライトオフィス「SmartOffice」が企業から好評を集めている。評価のポイントは、一言でいえば“使い勝手のよさ”だ。この新サービスを始めるに当たって何を重視したのか、特徴はどこにあるのか。若林武社長に聞いた。
若林 武(わかばやし・たけし)
株式会社アセットデザイン
代表取締役社長

──企業のシェアオフィスやサテライトオフィスへのニーズについてどう見ていますか。

【若林】生産性の高いワークプレイスの実現は、以前から企業の大きな関心事です。特に近年は、業務内容に合わせて働く場所や時間を選ぶABW(Activity Based Working)などへの関心が高まり、センターオフィスと自宅だけでなく、第三の選択肢としてサテライトオフィスなどを加える企業が増えてきました。コロナ禍によるリモートワークの浸透が、その流れを加速しているのはご存じのとおりです。

──そのなかで、「SmartOffice」はどのようなコンセプトでスタートされたのですか。

【若林】“働き方の自由度を高めるオフィス改革”と一口にいっても、会社単位で実現するには、多くの時間とコストがかかります。そこで、できる限りリーズナブルな価格で多様な働き方をサポートしたいと考えました。何より国内最大(※)の740拠点以上、個室も2500室以上を備えているのが「SmartOffice」の特徴で、お客さまは個々のニーズにより組み合わせ、柔軟に活用できます。料金は一人当たり月額1万9800円の定額制か、固定費ゼロの従量制から選択可能。首都圏では最も低価格(※)の「30分220円~」を実現しています。

──“多拠点”を重視する狙いや思いはどこにありますか。

【若林】リモートワークやテレワークでは、どこにいてもすぐ立ち寄れる利便性はやはり必須の要件です。当社は以前から小規模事業者向けのシェアオフィスを展開していましたので、今回その施設に個室を増設するなど一部を改修。さらにソロワーク向けの施設も新たに設け、中規模、大規模の企業も含めて利用できる環境を整えました。全国的な拠点網を低価格で提供できる背景には、従来から持つプラットフォームの存在があります。

加えて現在、ホテルやカラオケ店とは、未稼働時間活用を目的に提携を広げており、多くの施設は、駅近で、防音に優れた個室のため、ワークスペースに適しています。今後も、さまざまな事業者とWin-Winの関係を築きながら積極的に拠点網を拡大し、今年度中に1000拠点、2023年に3000拠点の体制を目指しています。

──実際のワークスペースの特徴などを教えてください。

【若林】ワークラウンジや複数名用の個室、会議室など多様なスペースを設け、目的や用途に合わせて使えるようにしています。また、多重のセキュリティを備え、防犯カメラも設置。1名用の個室の壁は、耐火構造で音漏れを最大限抑え、情報漏えい防止に最大限の配慮をしています。

また「会社より、家より、居心地がいい」をコンセプトに、地域やスペースごとに集中力やクリエイティビティを高めるインテリアデザインで、生産性の向上や、過ごした時間がより充実するよう配慮しています。

※2021年5月末日現在。アセットデザイン調べ。

“多拠点サテライト”をミクロ支社として活用

──ユーザー企業からの反応はいかがですか。

【若林】例えば、営業社員の多い企業さまは、「SmartOffice」の個室オフィスを併用して、無駄な移動時間を削減されています。特に「アポイントの間に立ち寄り、通常業務もできるようになった」という声を多くいただきます。一方、在宅勤務が可能な管理部門のユーザーさまは、「リビングノイズを気にせず、ウェブ会議できるので助かる」と、コストを抑えた従量制プランで、上手に無駄なく活用されています。ユーザー企業さまからは「投資ゼロ・低料金で、多拠点のワークスペースを確保できた」「従業員のワークライフバランス向上にも効果的」とご評価いただいています。

ラウンジやミーティングルーム、個室を完備。集中を要する作業、ウェブ会議、顧客との打ち合わせなど、業務内容に合わせて使い分けることができる。

──「SmartOffice」を通じて、ユーザー企業にどのような価値を提供していきたいか。貴社の考えを聞かせてください。

【若林】センターオフィスの機能見直しや縮小が経営課題となっている現在、理想の働き方を支える手段を提供することが当社の使命だと思っています。「SmartOffice」を自社の“ミクロ支社”としてご活用いただくことで、オフィスの分散化やABWによる生産性の向上、またコストの削減を実現することが可能です。

当社は、「SmartOffice」を単に新型コロナ対策のサービスとは考えていません。アフターコロナにおいても就労人口の10%程度はテレワークを継続するといわれるなか、優秀な人材を確保するには、自由かつ柔軟に働ける環境の整備がますます重要となるに違いありません。その課題解決に、私たちは貢献できると考えています。

──「SmartOffice」に関心を持つ企業の経営層や総務部門の責任者に向け、最後に一言お願いします。

【若林】ユーザー企業の皆さまに“最適なオフィスポートフォリオ”を提供したいというのが当社の根本にある考えです。それぞれ目的や企業規模などに合わせて、「SmartOffice」を効率的、効果的に活用する方法などもご提案することができますので、ぜひ私たちのサービスを使って、理想の働き方を実現していただければと思います。