地域の企業の活性化を通して、日本全体の競争力を高めていく──。そうした目的のもと、人事課題の解決をサポートするパーソルテンプスタッフと、企業の事業開発やブランディングを支援する羽田未来総合研究所(羽田未来総研)が連携。新たなプロジェクトを開始する。その内容や意義について、パーソルテンプスタッフの古舘真二氏と羽田未来総研の塙大亮氏が語り合った。

眠っていた技術や産品も光の当て方で輝きが変わる

【塙】日本の地方はそれぞれに独自の技術や産品など優れた財産を持っています。ただ、それらは必ずしも十分に生かされていない。今後、グローバル化がいっそう進むなかで日本の存在感を高めるためには、地方の潜在力を引き出し、オールジャパンで世界と向き合う必要があると当社は考えています。

塙 大亮(はなわ・だいすけ)
株式会社羽田未来総合研究所
管理部 マネージャー
2006年人事コンサルティング会社を設立。18年7月羽田未来総合研究所設立を機に、18年9月に入社、現職。

【古舘】確かに、素晴らしい特産品や伝統工芸品が地元の土産物店でしか売られていない。そうした現状がありますね。それらも、少し光の当て方を変えるだけで輝き方が違ってくる。まさにそのコンサルティングをしているのが羽田未来総研さんです。

【塙】それぞれの本質を見極め、プロモーションやIT技術のノウハウを取り入れながら、市場での価値を高めていく。アピールの「場」として羽田空港も使いながら、当社事業の柱の一つである地方創生に取り組んでいます。

【古舘】企業をさまざまな形でサポートしている御社と協力して、地域を元気にしていきたいと考えたのが今回の連携を提案した理由です。当社はこれまで「繁忙期に需要が集中して人材が足りない、経験やスキルを持った人材がいない」といった課題に応えてきました。しかし、企業の持続的な発展には新たなサポートも不可欠だと感じることがあったんです。

【塙】一方では当社も、地方の企業と関わるなかで「人」の課題にぶつかることがよくありました。それを解決する力を持ったパーソルテンプスタッフさんと連携できるのは心強いです。

古舘真二(ふるだて・しんじ)
パーソルテンプスタッフ株式会社
関東営業本部 本部長
2001年にパーソルテンプスタッフ入社。人材派遣の営業マネージャー、営業部長、人事部長を経て、20年8月より関東営業本部長に着任。

【古舘】羽田未来総研さんが地域の現場で直面した人事課題には、どんなものがありますか。

【塙】経営者が業務しんちょく管理から人材募集、面接・育成・労務管理まで、一人で何役もこなさざるを得ない。また、企業が次のステージに進もうとする際に適当な人材が見つからない。例えば、そうした話は少なくありません。

【古舘】人事制度を改定したい、製品を大々的にPRしたい、プロ人材から経営について助言がほしい──。時代が変わり、今まで自社で培ってきた方法では対応しづらい業務が増えるなか、それを担う人材がいないことが成長のボトルネックになっている状況を私たちもよく目にします。

【塙】問題が表面化するまで、そこに気付かない企業も多いと思いますが、やはり人は重要です。その意味で、人材派遣はもちろん、人材紹介や人材マネジメントツールなどグループ力を生かして企業をバックアップしているパーソルテンプスタッフさんとの連携は当社の可能性を広げてくれると感じています。

【古舘】ありがとうございます。私たちは全国に拠点を設け、ほぼすべての業界に人材サービスを提供しています。パーソルグループのリソースを活用しながら、お客さまの人事課題にワンストップで応えられることが強みだと考えています。

【塙】人材サービスの世界にも、言葉では表現しづらいノウハウがあるんですね。

【古舘】企業のカルチャーや求める人材像、求職者の仕事観やキャリア観なども見極めながらご紹介をするのが、私たちエージェントの存在価値だと思っています。IT化で生産性や効率を高めながら、そうした人だからできる“アナログ的な部分”も重要になってくる。そう感じています。

“相互補完”によって地域のピンチをチャンスに

【塙】今は地方の企業の課題を解決するにも、一方向からのサポートだけでは対応し切れない時代です。パーソルテンプスタッフさんと私たちのノウハウを掛け合わせ、“相互補完”によってより深いレベルの支援を提供していきたいですね。

【古舘】当社もまさに同じ思いです。人口減少や少子高齢化など、地域が抱える課題に今手を打たねば、年を追うごとに深刻化していきます。一社一社を活性化させる支援をすることで、未来の脅威を機会に変えていきたいと考えています。

【塙】それがひいては、地方ばかりでなく、日本全体の競争力、発信力を向上させることにつながっていくはずです。

【古舘】私は、地域が本質的に元気になるには“小さなリーダーシップ”の積み重ねが大切だと感じています。個人や各社が地域や社会の課題と向き合いながら、「自分たちが地域活性をリードする」という想いと行動によって、ピンチはチャンスに変わると確信しています。

【塙】今は都市部と地方が二極化し、「都市部が地方を支える」といった構図になってしまっている観があります。しかし初めにもお話ししたとおり、日本が今後、世界で勝負していくには地方の力が欠かせません。

【古舘】社会が激しく変化する現在、企業経営も「この課題を解決すれば万全」とはいかなくなっています。時々の状況で新たな課題や悩みが生まれてくる。私たちはそんな前提のもとに、地域の皆さんの挑戦を後押ししていきますので、どんな相談事でも気軽に声をかけていただきたいと思います。