“巣ごもり消費”でEC市場が一段と拡大するなか、消費者は状況に応じて複数のチャネルを使い分けるようになっている。タッチポイントの多様化や新型コロナウイルスの感染拡大を想定した新しい生活様式の定着などによって、消費者の心理と行動はどう変わったのか。

デジタル・チャネルに常時「つながっていたい」人が増加

新型コロナウイルスの感染拡大によってショッピングのオンライン化が加速し、EC市場はますます拡大している。ショールーミングやウェブルーミングをすることが当たり前になり、ECのスマホへのシフトも顕著だ。タッチポイントが多様化し、消費者はメールや電話をはじめ、モバイルアプリ、ソーシャルメディア(SNS)、オンラインチャットなど複数のチャネルを状況に応じて使い分けるようになった。

そうしたなか、デジタル・チャネルに常時つながっている「コネクテッドカスタマー」が増えているのが最近の傾向だ。例えば、お気に入り企業のアプリをインストールすると、クーポンやキャンペーン告知、ユーザーが知りたい商品・サービスの情報などが届く。なかには、自動的に表示されるプッシュ機能を活用し、開封率が高い時間帯にパーソナライズした情報を配信する企業もある。

例えば、大手外食チェーンA社のアプリは、会員限定クーポンや来店後のサンキュークーポン、バースデークーポン、期間限定メニュー、店舗検索、宅配注文などを提供。タッチポイントをアプリに集約し、顧客とのコミュニケーションを深めている。

また、大手ホームセンターB社のアプリでは、パーソナライズされたお知らせが届き、気に入った商品があれば、リンクをタップしてECサイトへ移動、シームレスに購入することが可能だ。

さらに、眼鏡チェーンC社では、リピート性が高いコンタクトレンズの買い忘れを防ぐため、事前に設定した購入予定日にプッシュ通知・メールで知らせる機能をアプリに搭載。通知を受け取った顧客は、いつも使用しているコンタクトレンズをワンクリックで注文できる。

こうしたパーソナライズされた情報の配信がユーザーの利便性を高めている。買い物カゴに入れた商品の類似商品やおすすめ商品が表示されたり、検索内容に応じた商品・サービスが表示されたりするレコメンド機能はすでにおなじみだが、これもパーソナライズの一つ。自分の興味や関心のある情報、自分のニーズに合った商品・サービスがタイミングよく提示されるため、ユーザーにとってもメリットは大きい。

コロナ禍によってステイホームの時間が長くなるなか、SNSによるコミュニケーションが新しいライフスタイルとして定着したが、このSNSもデジタル・チャネルの一つになっている。

例えば、アパレルショップの店員がインスタグラムやツイッターなどにコーディネート画像を投稿、それを見て気に入れば、ECサイトに飛んで購入することができる。メッセンジャーなどを使ったチャットによる接客や、インスタグラムなどのライブ配信を活用したライブコマースを行うショップも増えている。こうしたサービスが広がっている背景には、お気に入りのブランド(企業)やカリスマ店員と「共感し、つながっていたい」という消費者心理があるようだ。

自分のことをわかっていてほしい反面、個人情報漏えいの不安も

インターネットの普及によって世の中に情報が氾濫するなか、消費者は自分が欲しい情報を積極的に取りにいく時代になった。企業はそうしたニーズに応えるため、顧客一人ひとりの属性や趣味嗜好、行動履歴といった情報を収集・分析し、それに基づいて最適な情報や商品・サービスの提供に力を注いでいる。

パーソナライズされた情報を受け取った顧客は、「自分が大切な一人の顧客として扱われている」と感じることで承認要求が満たされ、満足度が向上する。顧客の「自分のことをわかっていてほしい」という思いはますます強くなっている。店舗やコールセンター、デジタル・チャネルなど、すべてのタッチポイントで同じ対応を望む消費者が増えているのもその表れの一つだ。

しかし、その一方で企業に個人情報を握られていることへの不安を抱く消費者も少なくない。住所やメールアドレス、勤務先などはもちろん、購買履歴や銀行口座・クレジットカード番号など、すぐにでも悪用されかねない重要情報が含まれているからだ。相次ぐ企業の情報漏えいや、偽装SMS(ショートメッセージ)、ワンクリック詐欺、フィッシング詐欺といったネット詐欺の横行も、消費者をより不安にさせている。

取引すればするほど自分の情報が蓄積され、企業からのパーソナライズされた提案は精度を増していくが、一方でセキュリティへの不安も大きくなる。今、消費者の中には「自分のことをわかっていてほしい」。でも、「個人情報をすべて渡してしまうのは不安」という二律背反する感情が生まれている。コネクテッドカスタマーが増えるなか、こうした感情を抱く消費者はますます増大していくことだろう。

※このように、タッチポイントの多様化やパーソナル化、新型コロナウイルスの感染拡大を想定した新しい生活様式の定着などによって、消費者の心理と行動は、よりいっそう複雑化しています。そこで、セールスフォース・ドットコムは、その急激な変化をグローバルなアンケート調査によって明らかにし、ホワイトペーパー「コネクテッドカスタマーの最新事情」としてまとめ、期間限定で公開しています。今後のマーケティング活動に新たな視点をもたらすきっかけとして、ぜひご活用ください。

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