2020年4月から改正健康増進法が全面施行され、たばこのルールが大きく変わった。人と会う機会が増えそうなこれからのシーズンを前に、店ごとにどんなスペースがあるのかをいま一度総ざらいしておこう。非喫煙者、紙巻たばこの喫煙者、加熱式たばこのユーザーのそれぞれが快適に過ごせるよう、店選びの基準の一つにしてほしい。

歩いて10分というケースも

今年2020年は働き方が大きく変わった一年である。必ずしもオフィスに出社する必要がなくなり、ちょっとした作業やミーティングにカフェなどを利用するようになった人も少なくないだろう。さらに、季節的にも年末を迎え、人と会うことが増えるシーズンとなる。大規模な集まりや忘年会などは自粛傾向にあるが、それに代わって、少人数での会食や気の置けない友人との集まりを予定している人も多いはずだ。

そうした会の店選びの際、今年から気にかけたいのが新しい「たばこのルール」である。折しも2020年4月1日から全面施行された改正健康増進法により、喫煙に関するルールが大きく変わっている。店舗によっては喫煙スペースまで10分も歩かなければならない、なんていうケースも聞こえてくる。席を共にする取引先や目上の人が喫煙者であればいたたまれない。吸う人も吸わない人もストレスなく過ごせるよう、新しいたばこのルールのポイントを押さえておこう。

原則禁煙だけど例外がある

まず、最も大きなルールとなるのが「屋内は原則禁煙」というものだ。これは大規模な公共施設や商業施設だけでなく、レストランやカフェ、居酒屋などの飲食店にも適用される。ただし「原則」としているのは、ある条件や基準を満たした場合は例外が認められるためである。

飲食店の場合は、大きく次の3つケースが例外に該当する。まずは一定の条件を満たした喫煙室を設置した店舗。喫煙室は、煙を店内に漏らさずに屋外に排気する、店舗の出入り口と喫煙室に指定の標識を掲示する、といった条件が課せられる。20歳未満の人を喫煙室に立ち入らせてはならないというルールも設けられた。

改正健康増進法によって新しく設けられたたばこのルール(出典:厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」ウェブサイト)

次に、2020年4月1日時点で営業している既存の飲食店で、資本金5000万円以下、客席面積100㎡以下という条件を満たす店舗である。この場合、店舗内を喫煙可能スペースとすることができ、食事とともに喫煙が可能となる。

最後が、そもそも喫煙を目的としている店舗。たばこの販売許可を持つシガーバーなどがこれに当たる。

相手が加熱式たばこユーザーなら

会食や集まりの相手が喫煙者の場合、あるいは自分自身が喫煙者の場合は、こうした「原則禁煙」の例外となる店舗を選べば、喫煙を我慢することなく時間を過ごすことができる。ただし、ここでも注意が必要で、これらの店舗の中でしっかりした食事(主食)を取りながら喫煙できるのは2つめの店舗のみ(シガーバーなどの喫煙目的店は主食以外の飲食のみ可能)となる。

これは、紙巻たばこ・加熱式たばこの両方に共通するルールとなるが、加熱式たばこにはさらに例外となるケースがある。「加熱式たばこ専用喫煙室」が設けられた店舗では、その喫煙室内でしっかりした食事と加熱式たばこの使用を同時に楽しむことができるのである。相手が加熱式たばこのユーザーであれば、最も喜ばれる店舗になるかもしれない。

喫煙可能なスペースを有する店舗の種類(出典:厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」ウェブサイト)

これらの喫煙ができる店舗は、店舗の主な出入り口に下図の標識を掲示することが義務付けられている。町中で探す際はこれを目印にするといい。

施設に喫煙室があることを示す標識一覧。施設の主な入り口に掲示されている(出典:厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」ウェブサイト)

また、店舗によってはウェブサイトに表記しているケースや、あるいは喫煙可能な店舗をまとめたページもある。

加熱式たばこ専用喫煙室があることを示す標識の一例

フィリップモリスジャパンは、「煙のない社会」を実現するために、加熱式たばこのみ利用可能な「煙のない」施設や観光地等を全国で広げる取組みを推進している。加熱式たばこ専用室がある施設は、喫煙対策ウェブサイトで確認できる。

同じ“たばこ”とくくられていても、紙巻たばこと加熱式たばこでは、においの種類や量、残り香がまったく異なる。じつは加熱式たばこのユーザーの中には、紙巻たばこのにおいが苦手という人も少なくない。

取引先との打ち合わせや集まりの際、先方に加熱式たばこのユーザーがいるようなら、加熱式たばこ専用喫煙室のある店を選ぶのも気が利いている。細かいところまで気配りができる人という好印象につながるかもしれない。何より、互いにとってストレスの少ない、過ごしやすい時間になるはずだ。

※都道府県や市区町村が改正健康増進法以外に独自に喫煙ルールを定めている場合があります。