先行きの不透明感が強まる今、資産運用にどう取り組むべきか。ファイナンシャルプランナーの田中佑輝氏と収益不動産を提供するトーシンパートナーズの鈴木剛氏が語り合った。

安定性へのニーズが高まり関心を集める不動産投資

【田中】当社は独立系FP事務所として、年間2000件を超える資産運用の相談をお受けしています。先日コロナ禍での投資について調査(※)したところ、「お客様の安定収入へのニーズが高まっている」という回答が78.6%にも上りました。これは予想を超える数字でした。

不動産投資では利回りより物件の立地が極めて重要

田中佑輝(たなか・ゆうき)
株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
代表取締役
シンガポールに10年間滞在後、国内の外資系銀行に就職し、富裕層向け資産運用コンサルタントとして活動。2011年に独立し、1万人以上の資産運用相談に携わる。

【鈴木】コロナ禍で収入が不安定になってきており、将来不安も高まる中、確実性の高い資産運用に取り組みたいという意識ですね。

【田中】はい。そこであらためて関心を集めているのが不動産です。特に現物居住用資産は、不況下でも安定して賃料収入が入るため、債券に近い安定性を持っています。そこが物件価格変動リスクの低さにつながっています。

【鈴木】確かに当社への問い合わせの中でも、「物件の価格が下がるのでは」という声もありましたが、投資用マンション業界では全般的に安定を保っています。

【田中】首都圏のマンション価格はマネタリーベースと相関しているというのが私たちの分析です。超金融緩和が進む現在は、不況による下落圧力より、金融緩和による価格上昇圧力が勝っています。不動産投資には、融資を利用し、レバレッジを掛けながら運用できるという基本的なメリットがある。超低金利という好機もいまだ継続しています。

【鈴木】融資を利用するメリットはそれだけではありません。借り入れの際には団体信用生命保険に加入しますから、万一の際には残債がなくなり、ご家族に資産を残すことができます。近年はがんと診断されると、残債がなくなる「がん団信」も登場しており、お客様はそうしたリスクヘッジ機能に注目して投資を開始されるケースも珍しくありません。

【田中】がん団信への注目度は高いですね。実際に投資するとなると、どうしても利回りに目が行きがちですが、より総合的にメリット、デメリットを見極める必要があります。また、収益不動産は当然ながら入居者が付くかどうかが安定収入の鍵。立地が極めて重要です。例えば東京の世帯数は都の予測を上回るペースで増加しており、なかでも単身世帯が増えています。安定性を求めるなら都心の単身者向けマンションは順当な選択でしょう。

【鈴木】当社もまさに同じ考えで物件の開発を行っています。加えて、周辺物件との競合もある中では立地以外での差別化も必要です。入居者は必ず物件を見て入居の決断をするため、部屋の内装だけでなく、外観やエントランスのデザインやクオリティが入居率に大きくかかわってきます。

【田中】エントランスなどは物件の印象を決める重要な部分。そこに魅力があるか否かで、住みたくなるかどうかが大きく変わるというのが実態ですね。

【鈴木】こだわり続けた結果、高い入居率を維持し続けています。おかげさまで当社の「ZOOM」シリーズは提供開始以来7年連続で「グッドデザイン賞」を受賞することができました。

※:緊急事態宣言後の862件の相談をもとに、アルファ・ファイナンシャルプランナーズ所属のFPおよび不動産コンサルタント48名に対して実施。

2020年度グッドデザイン賞を受賞した「ZOOM新宿夏目坂」。黒をテーマカラーとし、洗練されたデザインの外観やエントランスが印象的。シンプルで機能的な室内も入居者から好評だ。

投資を始めるのに最適なタイミングとは

【田中】コロナ禍により家で過ごす時間を大切にする人が増え、住まいの快適性へのニーズも高まっています。その点についてはどうですか。

立地に加えて入居者に選ばれ続ける物件力が必要

鈴木 剛(すずき・つよし)
株式会社トーシンパートナーズ
執行役員 営業本部 副本部長
1994年にトーシンパートナーズに入社。営業現場以外にも仕入れ部門や開発部門で要職を経験し、マンション企画にも携わる。

【鈴木】「ZOOM」シリーズでデザイン性やセキュリティと並んで重視しているのが暮らしやすさです。リモートワークや自炊を行う人が増えましたが、ネット環境や広々としたキッチンなど、生活を快適にするための設備が備え付けられています。

【田中】それから、マンション投資は一つの事業なので、購入後のマネジメントしだいで差が出ます。多くの人が想像している以上に管理面が収益に与える影響は大きいですね。

【鈴木】そうですね。当社の場合は、入居者募集、集金などの賃貸管理から建物管理まで、一貫してサービスを提供しています。建物に関しては30年サイクルの長期計画に基づく修繕を行い、エアコンや給湯器の不具合についても10年にわたって無償で保証しています。

【田中】設備の修理、交換費用は収益率と関係しますから、保証があるのは心強いです。また私自身、複数の賃貸物件を所有していますが、物件を熟知している管理会社は対応が早く安心ですよね。

【鈴木】当社では、オーナー様一人ずつに専属でアフターフォローの担当者を付け、お客様に寄り添った対応をしています。さらに、オーナー様向けのスマホアプリを開発、提供を開始しました。このアプリでは不動産市況に関する情報が見られるほか、所有物件の収支や契約書、確定申告に関する書類などが確認できます。

【田中】賃貸経営では管理すべき書類も多いですから、それは助かりますね。

オーナー様専用アプリ「LENZ」の画面。収支の確認や各種手続きの依頼ができるほか、不動産投資に役立つニュースも配信される。

【鈴木】入居者様向けアプリも提供を開始する予定です。こちらのアプリでは利用期間に応じてポイントが貯まり、それを退去時の修繕費に充てられる仕組みなども用意します。

【田中】入居者の入れ替わりが多いと、原状回復費もかさみます。長く住むほど入居者にも得になる仕組みをつくるというのは対策として面白いですね。

【鈴木】マンション投資においては、家賃が取り続けられるかが成功の鍵となります。最後にFPの立場から、今後投資を考える人にアドバイスをお願いします。

【田中】よく「投資に最適なタイミングは?」と聞かれますが、私は収益不動産はタイミングを計って購入するものではないと考えています。早く購入して、早くローンを完済することこそがリスク軽減の方策でしょう。タイミングを見極めることに力を注ぐなら、物件選びに時間を費やすべきです。

【鈴木】当社は1989年の創業以来、270棟、1万3500戸以上を供給してきました。出口戦略を含め、最適なご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。