多くの企業が営業・販売活動を展開するなかで大きな壁となって立ちはだかるのは、「決裁者(経営者)に直接訴求する機会が乏しい」という問題だ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、今までにも増してそれが困難になっている。ところが、新進気鋭のベンチャー企業、オンリーストーリーが提供する決裁者マッチング支援SaaS~チラCEO~(SaaS:Software as a Service=必要なサービスを必要な分だけ利用できるソフトウェア)なら、決裁者へのダイレクトなアプローチが可能になるという。今回はそんなオンリーストーリー代表の平野さんに直接話を伺った。
平野哲也(ひらの・てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役社長
早稲田大学政治経済学部卒業後、就職活動を一切せずに経営の道を志す。起業家支援企業で半年間のインターンを経験。その後、約半年間の準備期間を経て、2014年、オンリーストーリーを設立。はたらきがいのある会社ランキング日本7位・アジア25位、ベストベンチャー100選出、グッドデザイン賞受賞等の実績がある。2020年には総額約3.45億円の資金調達を実施。現在は3000社を超える国内最大規模の決裁者マッチングプラットフォームを運営。年間10,000件以上の決裁者マッチングを創出している。

決裁者に直接アプローチできず、機会損失が発生している

――平野さんはどういった経緯でオンリーストーリーを起業し、どのような発想でチラCEOという事業を立ち上げたのでしょうか?

僕が生まれ育った環境はちょっと変わっていて、自分の父はもちろん、2人の叔父もともに経営者で、近所に住む人たちの多くも経営者でした。そのせいか、僕自身も自然と経営者になりたいと思い始めましたし、せっかくなら経営者の力になるような事業に取り組みたいと考えるようになりました。そして、経営者がどんなことに悩んでいるのかについて突き詰めてみたわけです。

人材の確保に定着、教育、さらに最近ではセキュリティ対策など、経営者は数々の経営課題と直面しています。しかしながら、多くの経営者が最も困っているのは営業・販売に関する課題でした(※以下の図「経営課題ランキング等」参照)

経営課題ランキング等

もちろん、営業・販売における課題も多岐に渡ります。その中で私達は、「決裁者に直接アプローチできない」というポイントに目を付けました。

例えば、決裁権のない相手に「コピー機を他社の半額で納入します」と訴えかけても徒労に終わりがちです。つまり、役員をはじめとする決裁者に直接つながることが適わなくて、機会損失が発生しているケースが少なくないのです。

特にコロナ禍においては経営者交流会や展示会などオフラインイベントの開催も中止が相次ぎ、決裁者に直接アプローチできる機会はよりいっそう減っています。僕たちが提供しているチラCEOは、こうした課題を解決するためのサービスです。

審査を通過した優良企業の決裁者が3,000社以上登録しており、その約8割を役員以上の取締役や社長が占めています。この登録数は国内ではトップレベルの規模で、年間で10,000件を超える決裁者同士のマッチングを創出しています。

そして、以下の3つのアプローチ方法を通じて、決裁者と商談する機会を獲得できるようになっています。

①決裁者向けスカウトメッセージ機能で、登録している決裁者に直接メッセージを送信
②定例オンラインミーティング時に弊社の担当者が決裁者を直接紹介
③弊社主催のオンライン交流会

「本当に求めている相手を紹介できる」という強み

――3つのアプローチ方法とは、それぞれどのようなサービスなのでしょうか?

これら3つのアプローチ方法は、恋愛にたとえると非常にイメージしやすいでしょう。

・まず、①の決裁者向けスカウトメッセージ機能は「恋愛マッチングアプリ」のような役割です。サイトにログインし、登録してある3,000社の中から条件を絞り、メッセージを送ることができるようになっています。

このスカウトメッセージの文面を、僕たちは営業メールでなく『ラブレター』と呼んでいます。

誰しも一方的な営業メールは読みたくないはずですし、返信することもないでしょう。だけど、「御社の記事を読んで社長のお考えのこういった部分に感銘を受け、興味を抱きました。営業活動という意味合いではなく、ぜひお目にかかってお話を直接うかがいたいと思っております」という内容であったら、受け取った側の反応は変わってくるものです。商材や会社としてつながるのでなく、「人としてつながる」ということを大切にしています。

・次に、②の定例ミーティング型は、弊社担当が定例ミーティング時に直接企業を紹介するものです。恋愛で言うとお見合い相談所のような役割です。有料契約の企業同士を、弊社担当が月一の定例ミーティング時に、直接紹介し、興味を持ってもらったら繋ぎます。

・最後に、③の弊社主催オンライン交流会は、恋愛で言うと「婚活パーティ」のような位置づけです。決裁者同士がオンラインで、自社のサービスを5分ほどプレゼンし、興味を持ってもらったらお互いマッチングします。

性質の違う3種類の導線を通して、リスク分散すると共に、より本質的なマッチングにつなげています。

――そうした手法を通してつくった御社の商談アポは、どのような特徴があるのでしょうか?

僕達のサービスは、2.0型と呼ばれるアポイントを提供している点に特徴があります。どういうことか。

アポイント1.0型のアポイントは、プル型で、ニーズが顕在化しているアポイントのことを指しています。

例えば、引っ越し業者の一括見積サービス等が挙げられます。ニーズがある人側が問い合わせをし、それに対してそれを解決できる会社が複数社電話をする。リスティング広告と近いとも言えます。

売る企業側からすると、複数社と相見積もりになりやすい、相手が決裁者とは限らない、規模感や業種等ターゲットがバラバラである半面、ニーズが顕在化されているという強みがあります。

僕たちはそういった営業アポイントを「アポイント1.0型」と位置づけています。その一方、チラCEOでは「アポイント2.0型」の営業機会を提供しています。

「アポイント2.0型」は潜在ニーズである半面、決裁者性が担保されていたり、ターゲットを選んだり、1対1の関係性が担保されたりします。Facebook広告型のアプローチに近いと言えます。

どちらが良いとか偉いとかそういう訳ではなく、自社のフェーズや商材等に応じて、どちらもうまく使いこなしていくことが大切だと思っています。

(※このあたりの詳細についてより詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせ下さい)

地道な努力で追随困難なオンリーワンのサービスに成長

――うかがったお話から判断すると、他に例を見ないサービス内容で、まさにオンリーワンのビジネスモデルだと言えますね。

ありがとうございます。

ひとつ、僕たちのビジネスとの競合関係をわかりやすく図解した四象限マトリクスがあります(下記参照)。同じように決裁者とコンタクトを取れる可能性が高いものとして、経営者交流会やゴルフなどが挙げられますが(右下)、それらはオフラインであり、対面が大前提となります。

一方、昔から存在していたのがテレアポ代行や営業代行といったサービスですが(左下)、それらは決裁者(役員)に直接アプローチできる可能性は高くありませんし、オフライン寄りの立ち位置です。残る左上に位置するのは、先述した引っ越し一括見積もりサービスのように、ニーズが顕在化している「アポイント1.0型」です。

弊社は右上の象限に位置し、決裁者に直接アプローチできるサービスをオンラインで展開しています。

その上で、改めてこの象限のどれが良くて悪いということではないのは伝えたいです。

――ただ、3,000社以上の登録企業を獲得するまでに至るのは、かなり地道でアナログ的な努力ではなかったかと推察されますが……。

ご指摘の通りで、僕たちのビジネスモデルはいわゆる“積み上げ型”で、かなり泥臭い側面があります。仕組み自体はロジカルですが、それだけの規模の登録会員を獲得するまでには6年の歳月を要し、1社ずつ個別に縁を育んでインタビュー取材を行っていくという活動をひたすら繰り返しました。

例えばまだ世の中で2人しか電話機の利用者がいない時代に、電話機を販売するのは極めて困難なのと同じように、僕たちも当初は開拓に骨を折りました。しかし、ユーザーが増えてくるにつれて、マッチング先が増えていくのが僕達のモデルです。

その結果として、すでに3,000社の企業の決裁者に登録していただいております。こうした事実は僕たちの大きな強みですね。容易には追随できませんし、初期の苦労が大変ですから、同じビジネスモデルで参入することは素直にお勧めしません(笑)。

最後に、今回の記事に載せきれなかったオンリーストーリーのチラCEOの詳細についてホワイトペーパーにまとめ、無料で公開しています。3,000社以上におよぶ登録企業の決裁者と直接コンタクトが可能になるサービスですので、自社の営業・販売上の課題解決をお考えの方は、ぜひご覧の上気軽にお問い合わせください。

-- ホワイトペーパーの配布は終了しました --