USBケーブルが周辺装置とPCやスマートフォンなどをつなぐように、様々なソフトウェア同士の橋渡し役となって、多彩な処理を可能とするAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)。Twilioが手掛けているものは、数あるAPIの中でもコミュニケーションに特化しているのが極めて特徴的だ。APIで接続することによって、ワンストップであらゆるコミュニケーションをサポートする――。これがTwilioのカスタマーエンゲージメントプラットフォームで、世界の名だたる企業がこぞって活用している。

コロナ感染防止で「非接近」状態のコミュニケーションが常識に

――ウィズコロナの時代に、Twilioのカスタマーエンゲージメントプラットフォームが非常に重要な役割を果たすとは、どういうことなのでしょうか。

ソーシャルディスタンスという言葉が盛んに用いられているように、新型コロナウイルスの感染を防ぐうえでは「非接近」が常識化し、その中で個人は自分自身の幸福を保つ一方、企業は事業を継続することになります。そうなると、個人の生活スタイルや企業活動が変革します。

たとえば、今まではもっぱら実店舗を利用していたものもeコマースで購入され始めており、その領域拡大は加速することでしょう。テレワークは当然のことになり、オンライン教育や在宅コールセンターへのシフトも進んでいくはず。政府も規制緩和を進めざるをえず、オンライン診断や医薬品のオンライン販売も本格化しそうです。さらに、顧客や案件の管理など、人に代わってAI(人工知能)が活用されるケースもいっそう広がっていくことでしょう。

その結果、社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されることになります。すなわち、ITの浸透が人々の生活をよりよき方向に進化させていくわけですが、ここで肝心なのは、「非接近」の状態で人と人が関わる際に、必ずコミュニケーション(通信)が介在すること。つまり、Twilioのカスタマーエンゲージメントプラットフォームが重要な役割を果たしていくわけです。

その際にTwilioがサポートできることは、①緊急対策で新たなコミュニケーションの仕組みを構築、②既存の仕組みを巧みに増強して対応――といった2つに大別されます。両者において今具体例に挙げられるのが24時間対応のIVR(自動音声応答)システム対応や、AI活用の電話による自動応答システムやアンケートシステムなどです。コロナ感染拡大を機にコールセンターへの問い合わせが殺到しており、現在ではかなりの内容がIVRとAIで対応可能でお客様の満足度向上と、社員の負荷を軽減するとともに、オペレーターの在宅勤務が可能となる体制も構築しています。

今野芳弘(こんの・よしひろ)
Twilio Japan合同会社
代表執行役員社長
日本無線研究所でのコーディック実用化研究、日本ヒューレット・パッカードでソフトウェア事業責任者などを担った後、2011年にAWS(アマゾンウェブサービス)Japanの設立メンバーとなり、パートナー事業の立ち上げに貢献。2019年3月にTwilio Japan立上げ準備時に社長就任。趣味は茶道(裏千家)、ゴルフ。

カスタマーエンゲージメントプラットフォームで世界随一の実績

――Twilioはこれまでグローバルにどのような実績を残してきたのでしょうか。また、そもそもカスタマーエンゲージメントプラットフォームとはどのようなものかについても、改めてご説明いただけますか。

Twilioは2008年に米国で設立された企業で、世界24カ所に拠点を配して8000万人以上の開発者を擁し、顧客数は19万人以上に上っています。その特徴は、コミュニケーションの領域にフォーカスを当てて成長を遂げてきた点にあります。そして、今日ではカスタマーエンゲージメントプラットフォームにおいて競合他社を圧倒しており、同分野におけるグローバルなリーダーとなっています。

カスタマーエンゲージメントプラットフォームとは、電話やe-mail、チャット、ビデオ(映像)、SMS(ショートメッセージサービス)などの手段で交わした消費者とのコミュニケーションの情報を社内における様々なアプリケーションに取り込み、広範囲に活用するためにクラウド上で構築されている基盤です。たとえば、Twilioは世界180カ国以上の通信会社とパートナーシップを結んでおり、電話番号の情報をダイレクトに取得できるので、日本にいながらにして米国や世界各国のローカル番号で受・発信することが可能です。SMSも同様に可能です。

電話やe-mail、チャット、ビデオ(映像)、SMSなどで寄せられてきた消費者からの問い合わせなどを、コールセンターのオペレーターにつなぐ前にAIが対応・仕分けする一方、API接続によってこうしたコミュニケーションのやりとりが勘定系や基幹系、情報系といった社内のシステムにも蓄積。コミュニケーションの内容を素早く多方面で分析することによって、企業のビジネスチャンスがより拡がっていく。

Twilioが提供しているカスタマーエンゲージメントプラットフォームの強みは、セールスフォースのようなCRM(顧客関係管理)サービスや、ServiceNow、LINE、Slackをはじめとする既存のシステムとの連携が容易であること。例えば、セールスフォースやスプレッドシートで作成したイベント参加者リストがあったとすると、その電話番号欄をクリックするだけで通話できるようなシステムも容易に構築できます。営業効率を飛躍的に向上できます。

実は、UberやAirbnbのように今ではグローバルにその名を知られる企業も、スタートアップ時代からTwilioのソリューションを導入し、今では我々の想定を超えた領域まで活用を拡大しており今や大手の金融機関もご利用いただいております。初期コスト無しで導入でき、支払いは使った分だけで済みます。多くのプロトタイプでは数日から1週間程度で多くのサービスを構築できます。しかも、必要最低限のものに絞って導入しても、必要に応じてアジャイル開発(迅速対応)型でどんどん拡張することが可能です。

全社員在宅勤務によるインサイドセールス体制を7日間で構築

――日本企業の間でも、カスタマーエンゲージメントプラットフォームは普及しつつあると言えるのでしょうか。具体的な事例としては、どういったものが挙げられますか。

最近では大企業を中心にTwilioのソリューションを採用していただくケースが増えており、さらに市場が拡大することが見込まれることから、日本法人のTwilio Japanを昨年9月から営業活動を開始し、従来のKDDIウェブコミュニケーションズ様による販売委託と並行して直販体制もスタートさせ、さらに新たなパートナー様も増すことができました。

多くの企業では既存のレガシーシステム(時代遅れのハードウェアやソフトウェア)がコミュニケーションに関する情報を多方面に活用するうえで、大きな障害となっています。Twilioのカスタマーエンゲージメントプラットフォームは、そういった状況に革新をもたらします。

日本における導入の具体例としては、緊急対応のケースで大分県中津市の新型コロナ電話相談窓口が挙げられます。約10日間で構築したもので、LINEの音声対応AIサービス「LINE AiCall」を用いて運営負荷を軽減すると同時に、LINEユーザーではない市民からの問い合わせには電話で対応し、コロナ感染の症状が見られる場合は医師などが経過観察を行える体制を整えました。このサービスの中で、電話番号や電話回線に関わるソリューションはTwilioが一部無償で提供したものです。

一方、クラウドサービス導入支援などの事業を展開している(株)テラスカイ様は、緊急事態宣言に先駆けて全社員を在宅勤務とすることを決断しました。その際に、インサイドセールス業務をいかにして継続し、外線にかかってきた顧客や見込み客からの電話にどうやって対応するのかが課題となりました。

そこで、我々はTwilio のFlexというクラウド型のコンタクトセンターを用い、在宅勤務中の社員が行った電話のやりとりをセールスフォースで一元管理できるシステムを1週間で構築。その結果、在宅勤務下でも迅速な商談化が進み、必要最低限のAPI採用によってコスト面でも大きなメリットが得られました。さらに、将来的にはモバイルアプリによって電話を受ける体制確立なども検討されているようです。

先に述べたように、Twilioのカスタマーエンゲージメントプラットフォームはスタートアップのような中小規模のお客様からグローバルに展開する大企業のお客様まで、幅広いニーズに応えられる設計となっています。ウィズコロナで求められる「非接近」のコミュニケーションを円滑に図るためにも、ぜひ導入をご検討いただければと思います。

※Twilioのカスタマーエンゲージメントプラットフォームのソリューションについて、より詳しく知って頂くために、LINE株式会社の導入事例をホワイトペーパーとしてまとめ、期間限定で公開しております。ウィズコロナ時代に対応し、多様化する顧客ニーズや従業員ニーズをつかみ取るうえで、新たな視点をもたらすきっかけとして、ぜひご活用ください。

-- ホワイトペーパーの配布は終了しました --