急速に国際化したグループ経営を強化するため、住江織物が採用したのが管理会計システム「Oracle Cloud EPM」だ。海外も含めた全ての拠点の情報をタイムリーに把握し、経営判断に役立てるという狙いがある。事業の特徴やクラウドEPMを導入した背景、運用方針などについて、同社管理本部グローバルプロジェクト室の滝順子部長に聞いた。

アジア・北米を中心に海外進出を加速

――はじめに、貴社の事業概要について教えてください。

1883年に創業した当社グループは、130年以上続くテキスタイルメーカーです。古くは国会議事堂の赤絨毯や帝国劇場、宝塚大劇場の座席シートを手がけ、今も採用されています。事業の大きな柱は、シート材・カーマットなどの自動車・車両内装と、カーテン・カーペットなどのインテリアの2つ。世界最高レベルの再生材比率(84%)を誇る水平循環型リサイクルタイルカーペットや、消臭・抗菌・抗ウィルス加工を施したインテリア製品など、高付加価値商材で差別化を図っています。

近年は日系自動車メーカーの要望に応える形で海外工場を設立して現地化を進め、中国やタイ、米国やメキシコなど、アジア・北米を中心として7カ国14拠点に製造・販売網を拡大しました。売上高(986億円。2019年5月期現在)の海外比率は10年前の3倍、33%に達し、海外従業員数もグループ(連結2900人)の約半数を占める状況になっています。

住江織物の自動車向け製品(カーシート・床材)

――「クラウドEPM」を導入した狙いと背景は?

国境を越えて構築されたバリューチェーンの現状を適時に把握して経営判断に生かすため、各拠点がシームレスに業績管理情報を報告出来る管理会計システムを構築するのが主な目的です。日系中堅企業にありがちなのですが、当社も急速な多国籍化にグループの業績管理体制が追いついていませんでした。このため、17年にスタートした「中期3カ年経営計画2020」では、業績管理体制の見直しや内部統制の再構築による「企業ガバナンスの再構築」をテーマに掲げ、その一環として業務系・会計システムの再構築をグループ全体で進めるとともに、マネジメントのグローバル化も図ってきました。

――滝部長は「中期3カ年経営計画2020」が始まった2017年に入社されていますね。

滝 順子(たき・じゅんこ)
住江織物株式会社 管理本部グローバルプロジェクト室部長
公認会計士

はい。前職は監査法人ですが、そこで培った知見を生かして制度会計と管理会計の基盤を整備し、経営陣のニーズに応える経営情報を提供するとともに、グループ経営やガバナンスの高度化に貢献することが私の役割だと思っています。

多くの日本のメーカーは、プロダクトに対して誇りを持ち、技術開発や品質改良、コスト削減などに非常に長けています。ところが、経営管理(経営情報の可視化)ということになると、本当にグローバル化できているのは一部のエクセレント・カンパニーだけではないでしょうか。しかし、それだけに経営情報を生かせる余地は大きい。情報基盤を整備し、経営陣の意思決定の迅速化・高度化をサポートできれば、当社のような優れた技術を持つメーカーはこれからの時代も引き続き成長が期待できると思っています。

 

今回の記事に載せきれなかった、住江織物の「Oracle Cloud EPM」導入プロセスと、実際に「Oracle Cloud EPM」をどのように活用して、グローバル化に対応できる管理会計システムに再構築し、迅速な情報収集とグループ経営の高度化に取り組んでいるのかについて、ホワイトペーパーとしてまとめ、期間限定で公開しております。自社の生産性向上や、ERP戦略、IT戦略、グループ経営改革、ガバナンス強化などに新たな視点をもたらすきっかけとして、ぜひご活用ください。