導入から適切な「運用」へと課題が移行しつつあるRPA市場において、トップカンパニーであり続けるBlue Prism株式会社。同社、マネージングディレクターである千原氏と、パートナー企業であり、RPAを活用した業務改革コンサルティング実績を多く有するアビームコンサルティング株式会社の安部執行役員プリンシパルが、これからのRPA導入のポイントを語る。

【千原】日本の大手企業でRPA導入が加速しています。その現状と課題について、RPAをはじめとしたデジタル業務改革を推進するアビームコンサルティングでは、どのように捉えているのでしょうか。

【安部】我々の調査では、すでに大手企業の9割以上が、なんらかのRPA導入を行っています。ところが、RPAによる大きな改革成果を出している企業は、1割にも満たないのです。ほとんどの企業では、成果を出したといっても、せいぜい3%の業務効率化にとどまっています。しかし、我々がサポートしたお客様の中には、20~30%という業務効率化を達成した事例があります。1,000人の部署で200~300人分に及ぶ人的な作業効率の改善を実現したのです。その結果、単純な作業などから解放された人材が、より創造的で付加価値の高い仕事を担えるようになりました。

【千原】30%というのは、RPAの導入効果としては、とても大きな数字です。その違いは、どこにあるのでしょうか。

【安部】成功の秘訣は、大きく2つあります。ひとつは、我々が「直下型」と呼んでいるRPAの本格展開時のアプローチです。もうひとつは、その「直下型」導入をサポートできるRPAのオブジェクトベースというアーキテクチャです。

【千原】「直下型」とは、具体的にどのような導入方法でしょうか。

【安部】RPAの導入アプローチには、「直下型」と「現場型」があります。従来のRPA導入の多くは、部門や部署が中心となって、現場の業務を自動化しようとする「現場型」が主流でした。ロボットの開発や導入は、現場の担当者などがPC画面上で行う操作を自動的にアクションとして記録するRPAのレコーディング機能を使って、手探りで構築してきました。その結果、現場にとって煩雑な業務が自動化されるだけで全体の業務効率化に至らないといったケースや、部門や部署をまたがる全社規模での本格展開にあたってはロボットの管理やメンテナンスなどに課題が生じていました。その課題を解決し、全社的なRPA導入を推進するアプローチが、経営トップによる「直下型」です。

「直下型」では、全社最適という観点から、導入効果の大きい業務から順番にRPAを導入します。業務の習慣病、つまり、前任者からの引き継ぎで実施していた業務や本来は不要な確認プロセスなど、習慣として定着している業務にもメスを入れることで、プロセス自体の見直しを行います。さらに、各部門で利用するロボットはプロジェクトを推進する専任組織が集中的に開発し管理することで、RPAによる業務改革を短期間で実現します。

【千原】なるほど、これからは「直下型」がエンタープライズRPA導入の主流となっていくのですね。従来の「現場型」では、一台のPCから手軽に利用できるデスクトップ型のアーキテクチャが中心だったと思います。こうした「現場型」RPA導入のステージは初期ステージと捉えています。この初期ステージでは、再利用性の低いアーキテクチャで構築したために、運用フェーズに入り、メンテナンスが大変困難になっている、という課題もあると思います。

【安部】その通りです。だからこそ「直下型」によるRPA導入では、構築だけではなく運用のメンテナンス性も考慮したトータルコストを低減するアーキテクチャの採用が不可欠です。そのキーワードとなるのが、オブジェクトベースというRPAの設計思想です。Blue PrismのエンタープライズRPAは、作業の手順を定義する「プロセス」と、実際にアプリケーションなどを操作する「オブジェクト」が分離されているので、導入後の変更管理やメンテナンスが飛躍的に容易になるのです。

【千原】Blue PrismのエンタープライズRPAが採用しているオブジェクトベースのアーキテクチャは、開発スピードの短縮と運用コストの低減により、TCO (トータル所有コスト) の削減にもつながります。

【安部】以前、Blue Prismのアレスター・バスゲート(Alastair Bathgate)CEOと会談したときに、なぜレコーディング機能を搭載していないか質問したことがあります。バスゲート氏は、レコーディング機能があると部門ごとに個別のロボットを作るようになり、運用後のメンテナスが煩雑になることやセキュリティの観点から、「長く安心して使えるRPA」へのこだわりをお聞かせいただきました。この強いポリシーと設計思想があるから、Blue PrismのエンタープライズRPAは、全社規模やグローバルでの展開を推進しても、成果が得られるのだと実感しました。

【千原】当社のアレスター・バスゲートは、Blue PrismのエンタープライズRPAは、ビジネスのOS(基本システム)になると提唱しています。我々のRPAは、オブジェクトベースのアーキテクチャで、あらゆるアプリケーション、サービス及びデータとつながるconnected-RPAを目指しています。

【安部】まさに、これからの業務革新や働き方改革にとって、connected-RPAは重要な考え方です。RPAは定型作業の自動化だけでなく、デジタルプラットフォームとしてあらゆるシステムやデジタル技術を繋ぎ合わせる役割を担っていきます。今後、AIやIoTなどの進化していくデジタル技術と組み合わせることによって業務の分析や改善まで自動化されていくでしょう。企業の迅速な意思決定や競争力の強化にとって、Blue Prismのconnected-RPAは重要な取り組みだと思います。

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