──これまでの人材マネジメントにはどんな課題があったとお考えですか。
【佐藤】終身雇用制度や年功序列が揺らぐいま、仕事へのモチベーションや働き方は変化しています。若い世代は地位や報酬だけでなく、自分がいかに成長でき、社会に貢献できるか、ということに重きを置く傾向があります。同時に、転職の自由度も増している。部下により良く働いてもらうには、高度なマネジメントが求められる時代にいる、というのが大前提です。
そこで重要となるのが、社員一人一人の“個”にフォーカスしていくことです。具体的には、「個別性」「即時性」「オープン性」という三つのキーワードに集約されます。この仕事を「あなたにこういう理由で任せたい」と示し、結果に対し、速やかにフィードバックする。そして評価の理由をきちんと説明する。こういったマネジメントが必要なのです。
少人数で顔が見える距離感の組織ならば、誰がどんなふうに働いているかがわかり、自然と個別化できるでしょう。しかし、企業規模が大きくなると、組織はタコツボ化し、個は埋没します。多くの企業は、人にかかわる情報の管理が人事や総務、現場とバラバラになっていて、誰がどんな人材なのか、把握できていません。この状況で、効果的な人の活用ができるはずもありません。まずは情報を集約し、その上で個に焦点をあてたマネジメントがしやすくなるよう、支援する仕組みが必要です。
顔を思い浮かべながら最適な人材配置ができる
──それを可能にしたのがカオナビということですね。どのようなサービスでしょうか。
【佐藤】カオナビは、顔写真が並ぶシンプルな画面から、一元化された人材情報をクラウド上で簡単に共有できるプラットフォームです。顔が把握できるのは、個別化において非常に重要。もともと経営者は、社員の細かいデータよりも「誰だっけ?」と顔を思い浮かべるところから人材配置に入ります。実際、大企業の社長室に、顔写真入りの組織図が飾られている様子も多く見かけました。優れた経営者は個に着目しながらマネジメントする重要性を経験で知っているのです。しかし、顔写真を紙にするのは効率が悪い。それをPCやスマホなどで再現したのが、カオナビです。社員の「顔」と、経験や評価、スキルなどの「情報」をクラウド上でまとめることで、人材配置や抜擢といった人材マネジメント業務をサポートします。
──実際に、企業ではどのような活用がされているのでしょうか。
【佐藤】例えば関東や関西で保育園などを複数運営しているグローバルキッズ様の場合は、保育士さんとの密なコミュニケーションにカオナビが役立っているそうです。経営者が保育園を訪ね、保育士さんと面談する直前に、スマホからカオナビでスタッフの情報を確認しておく。そうすると、現場で「山田さん、もう勤続5年になるね」などと話しかけることができます。「会社はあなたを認めているよ」と態度で伝えられるのです。また、面談結果を即座にスマホで入力できるので、手間も軽減できます。全国展開しているうどんチェーンの丸亀製麺(トリドールホールディングス)様の場合は、経営会議の場で、カオナビの配置バランス図などをプロジェクタで映しだし、社員の顔を見ながら配置の議論をするそうです。スキルや勤続年数などの切り口ごとに組み合わせて、人材のバランスを検証もできる点を、組織づくりに役立てていただいています。
──“ほしいスキルを持った人材”を個別に抽出することも可能なのですか。
【佐藤】もちろんです。近年ではITではない業種の企業で、自社のデジタル人材を発掘したいという需要もあります。例えばアパレル業界では現在、自社のECサイト構築に注力し、新たな事業領域をけん引できるデジタル人材を探しています。そこでカオナビを使えば、過去の経験や資格など必要な才能を見出せる可能性が出てきます。
適切な人材マネジメントは経営に大きくかかわってきます。従来の人事情報は人事部のキャビネットに閉ざされてきましたが、もっと経営層や現場にも人事情報を開いていくべき。カオナビは、人事情報のオープン化も可能にします。
──企業と社員の関係、働き方が変わっていく時代に、カオナビはどう貢献できるとお考えですか。
【佐藤】働き方改革とはマネジメント改革です。管理職が部下と上手く握手するポイントを見つけて、結びつきを強めていかなければ組織は立ち行かないでしょう。より良いマネジメントをするうえでも、テクノロジーの力が必要です。マネジメント改革を進めていくうえで、人の直感を生かし、業務を効率化していくカオナビが役立つと考えています。
顔写真で人材情報がパっとわかるクラウド型人材管理システム「カオナビ」
『カオナビ』は、顔写真が並ぶシンプルな画面で人材情報を一元管理できる、人材管理ツール。社員の顔や名前、評価、個性、スキル等の人材情報を可視化することでさまざまな人材マネジメント業務をサポート。企業の働き方改革を実現するHRテクノロジーサービスとして、業種・業態を問わず約1300社の企業に選ばれている。
経営層から現場まで、幅広いマネジメントの課題に対応する機能を搭載
スキルや特性で社員を抽出「社員リスト」
スキルや特性で社員を抽出。研修受講履歴や資格取得状況などの蓄積データをもとに、新規プロジェクトのメンバー選出や育成計画に活用ができる。
優秀人材の把握・抜擢に貢献「配置バランス図」
直近評価や年次・役職などで全社員を並び替え、社員をさまざまな角度から把握。社員個々の能力を活かせるポジション調整、ジョブローテーションの検討が可能。