1986年、山口歯科医院開業。90年、三条山口歯科医院開業。診療理念に基づく診療体制や経営方針が地域の人々に受け入れられ、30年余りの間、患者数、売り上げ、患者満足度ともに向上を継続。法人として安定的な成長を遂げている。
診療理念にある「最良の歯科医療」は、時代とともに変化しますし、患者様個々の希望によっても変わります。それらを踏まえ、「生涯の健康に貢献する」ことに、明貴会の存在価値があると考えています。とりわけ近年、歯周病などと全身疾患の関係性が次々と明らかになってきました。例えば、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、がん、またアルツハイマー型認知症との関連も指摘されています。口腔内の衛生管理は、まさに生涯の健康と直結しているのです。
患者様の痛みに対する処置は当然として、明貴会では長期的な視点での治療計画を立案します。なぜなら私たちの役割は、単に痛みを取ることではなく、口腔内を最善の状態に保つことにほかならないからです。実現には専任のトリートメントコーディネーターが重要な役割を果たします。治療には費用がかかり、保険診療、自由診療の選択もあります。また、患者様それぞれのライフスタイルで治療において重視することも異なります。それらの意向を丁寧に汲み取るのがコーディネーターの仕事。担当医には直接言いづらいことも親身に受け止め、確かな治療計画づくりに貢献します。
具体的な治療は独自のMTP(メディカル・トリートメント・プロトコル)に沿って進行します。これには初診から治療後の定期検診(メンテナンス管理)までの内容がシステム化されており、すべてのスタッフが個々の患者様のMTPの流れを共有しています。歯科医療について、“Drill-Fill-Bill”(削る・詰める・支払う)といった言葉が使われることがありますが、そうした短期的な目線の治療を繰り返しても、決して生涯の健康に貢献することはできません。この思いこそが、私が独自の診療システムを確立し、理念経営を徹底している原点です。
真のプロがチームワークを発揮できる環境を整備
明貴会が最優先するのは、患者様の利益です。それを確保するには、法人として安定的な経営基盤を維持し、従業員や取引先の利益を確保する「四方一両得」が大切だと考えています。
そこで明貴会では、毎年収益の50%を投資に充てることを原則としています。投資の対象には、医療機器などハードも含みますが、“人”への投資を重視。職種にかかわらず資格取得の支援などを積極的に行っています。国内外の学会認定医や専門医、認定歯科衛生士のほか、日本抗加齢医学会指導士や糖尿病療養指導士の資格を持つスタッフも多く在籍しています。歯科の領域を超えた資格は、高齢の患者様などに対する訪問診療の現場でも活かされています。
そして明貴会では、すべてのスタッフにプロであることを求めています。真のプロとは、確かな技術、知識を持ち、自分にどんな貢献ができるか考え、的確に職務を遂行できる人材のことです。例えば歯科衛生士は歯科医をヘルプするだけの存在でしょうか。いいえ、歯科衛生士は口腔衛生管理のプロであり、明貴会においてはその専門性を存分に発揮しています。
それぞれのプロがチームとしてしっかりと機能するよう、クリニックでは朝礼や終礼、定期的な症例検討会、院内勉強会、日報メールなどできめ細かく情報交換を行い、コミュニケーションを取っています。職種や立場を超えて何でも話し合える家族主義的な体制を整えることによって、個々の患者様にとっての最良の歯科医療を実践しています。
医療はサービス業に分類されますが、歯科医をはじめ全スタッフの業務は、聖職という側面を持っていると私は思うのです。真のプロが、聖職者として使命に徹する。それには生活に不安のない給与体系や充実した福利厚生制度も必要です。明貴会は安心して長期にわたり自分の将来像を描きながら働ける環境の提供にも注力しています。事実、勤続10年、20年以上というスタッフが珍しくありません。
高い定着率をベースに真のプロが育ってこそ、患者様たちから信頼され、MTPも計画どおりに進みます。現在、来院される患者様の半数近くが定期検診のために継続通院している方々です。これはMTPが実を伴っていることの何よりの証しだと考えています。
定期検診を通じた予防歯科の分野は、欧州などと比べ日本では未成熟といわざるを得ません。私たちがロールモデルとなり、予防歯科医療が経営として十分に成り立つことを社会に示していく。これは明貴会の一つの目標です。高齢になり自分の歯が20本未満になってしまうと病気にかかりやすく、医療費支出が26%も多くなるというデータもあります。予防歯科がビジネスとして確立されることは、社会課題の解決にもつながるのです。
繰り返しになりますが、時代や患者様のニーズによって変化する最良の歯科医療を見極めながら、生涯の健康に貢献することが私たちの使命です。今後もチーム医療を究極まで高め、あるべき歯科医療の姿を追い求めていきたいと思います。