後継者難に悩む中堅・中小企業オーナーにとってM&Aは有効な事業承継対策となりつつある。一方で、M&A経験の浅いオーナーにとっては実現への道筋が立てにくく、相談相手にも迷うことだろう。そこでデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが解決策の一つとして提供するのがオンライン上のM&Aマッチングのプラットフォーム『M&Aプラス』である。

地域や売却金額など条件に合った相手を探せる

「私たちは中堅・中小企業のM&Aを巡って、二つの課題を実感してきました。一つは、M&Aを専門的にサポートできる人材が少ないこと。これは特に地方で顕著です。もう一つは、多くの経営者が仲介業者などに対するコストについて心配していることです」

前田善宏(まえだ・よしひろ)
デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー合同会社
CSO 執行役員 パートナー

外資系コンサルティング会社、財務アドバイザリー会社などを経て、現職。企業の戦略、財務、M&A、再編等のアドバイザリー業務に従事。

こう語るのはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの前田善宏氏だ。この二つの課題に応えるべく、同社はM&Aマッチングサービス『M&Aプラス』を開始した。オンライン上のサービスであるため、地域に関係なく全国の中堅・中小企業がメリットを享受できる。また、売り手企業、買い手企業は『M&Aプラス』に無料で登録することが可能だ。

「M&Aの可能性を探りたい企業は、登録後、まず自社担当のFA(ファイナンシャルアドバイザー)を選定していただきます。FAとなる地域の金融機関や税理士、会計士、弁護士などは当社の審査をクリアしており、実績なども公開しています。担当となったFAは、地域や希望売却金額など条件に合った相手を『M&Aプラス』で検索。その後、企業とFAとの打ち合わせに基づき、交渉へと進んでいくことになります」

FAは『M&Aプラス』上で全国の豊富な情報にアクセスし、効率よくマッチングの相手を探すことができる。また、売り手・買い手の双方がFAを立て、それぞれ報酬を支払うことは取引の中立性や公平性の担保に貢献する。実は、ここが『M&Aプラス』の重要なポイントだ。

「M&Aの仲介業者は基本的に、売り手・買い手の両方から手数料を受け取るため、どちらか一方の立場で交渉を行うわけにはいきません。それを考えると、やはり最適な相手と最大の価値を追求するには自分側に立ったFAに任せることが望ましい。もし途中で問題や行き違いが生じたら、FAを変更することもできます」

事業承継を支える社会インフラの一つとして

同社は『DTFAアカデミー』も開講し、事業承継の促進に力を注いでいる。講座には、FAの専門性向上を図るものや、企業内のM&A実務者に向けた内容などがあり、ラインナップは今後拡充していく予定となっている。

「さらに当社グループは、後継者候補が現在の勤務先を退職するまでの間、暫定経営者を派遣することもできます。私たちは事業承継を支える多様なソリューションを提供することにより、中堅・中小企業、ひいては日本の産業力を守る社会インフラの一翼を担いたいと考えているのです」

そうした願いが込められた『M&Aプラス』。登録者は着々と増え、事業承継の成功例も生まれつつある。

「現在M&Aを優先的な手段と考えていない経営者の方も、『M&Aプラス』への登録によって将来の選択の幅を広げることができると考えています。自身の会社の市場価値がつかめれば、次の一手も見えてくる。ぜひ『M&Aプラス』を事業承継対策のきっかけにしていただければと思います」