今や不動産の賃貸物件は、住宅、店舗、オフィス、さらに民泊、トランクルームと実に幅広い。そこで賃料滞納などのリスクを引き受ける、家賃保証会社のフォーシーズが注目されている。

個人も法人も保証対象
承認率は98%以上

「保有する物件の空室期間はできるだけ短くしたい。ただ入居率を重視し過ぎて、家賃の滞納などが発生するのは困る……」。そう考える不動産オーナーたちの間で、滞納リスクをヘッジするために、連帯保証人でなく保証会社を利用する動きが加速している。

丸山 輝(まるやま・あきら)
フォーシーズ株式会社
代表取締役社長

「16年前のサービス開始時は営業しても『うちは与信の低い入居者は取らないから結構』と断られるのが常でしたが、今では毎日、オーナー様や管理会社様からお問い合わせがあります」

こう話すのはフォーシーズの丸山輝社長だ。さらに、連帯保証人の確保が難しい世相を反映し、入居者側からの相談も増えているという。
「個人のお客様ばかりでなく、すでに経営者の親族や役員を保証人として事務所を賃借している法人様から、当社の保証に切り替えたいとのお話をいただくことも多いですね」

フォーシーズは、個人向けの「住み替えかんたんシステム」と法人向けの「ビジネスサポートシステム」という二つの家賃保証サービスを提供。物件の規模や賃料、法人、個人の区別なく「借りたい人」を広く支援し、「貸したい人」にとってストレスの少ない賃貸経営をサポートしている。保証委託料は、入居者側が支払うため、オーナー側が費用を負担することはない。

またオーナーの大切な資産を守るべく、国際犯罪組織排除のための取引禁止リストを導入するなど体制は万全だ。一方で審査に基づく保証の承認率は非常に高く、98%以上である。

「事故歴があったり反社会的勢力に該当する方でない限り、条件を探りながらできるだけ受け入れたいというスタンスです。家賃滞納などの問題解決こそが当社の本業ですから、門戸を狭めてしまうつもりはありません」

管理と保証の切り分けで安心の賃貸経営を

基本的な流れとしては、家賃の支払いが遅れると、まず金融機関の3営業日以内に立て替え手続きが取られ、オーナーの収入が確保される。並行してフォーシーズが督促や支払い交渉、法的手続きなどの実務を行う。一口に延滞といっても大半は「うっかり忘れ」だが、そうでない場合には入居者の身辺に何かしらの変化が起きているはずなので、状況確認のため話を聞くことからスタートするという。

「オーナー様と入居者様の双方にとってよりよい解決策を見いだすのが理想。多くのオーナー様は、問題が家賃滞納だけなら正常化して住み続けてほしいとお考えなので、滞納の入居者様の収入確保の相談に乗ったり、必要に応じて提携するNPOの協力のもと食料を届けたりもしています」

入居審査を厳しくしても家賃トラブルのリスクをゼロにすることは不可能。オーナーにとって滞納者への対応は想像以上に心身を消耗する。しかし保証会社を利用すれば、家賃収入を継続的に確保することができるのだ。

「家賃の督促を管理会社に任せると、『水道の出が悪い』などと別次元の苦情を持ち出され、かえって交渉が難航するケースが多いのも実情です。建物管理や清掃は管理会社、家賃は保証会社、と切り分けるスタイルが有効かつ安全だと思います」

さらに管理会社系の保証会社だと管理の変更に伴って保証が切れてしまうデメリットがあるが、フォーシーズは賃借人保証を専業としているため、その心配もない。仮に入居者が逮捕されたり死亡されたりした場合や、入居法人が破産した場合も保証は継続する。

業務効率化、コスト削減で無借金経営を維持

いざ保証会社を選ぶとなれば、そのサービス内容もさることながら、財務状況が気になるところだが、この点でもフォーシーズは業界トップクラスの評価を得ている。延滞の解決に当たる「家賃パトロール」業務はアウトソーシングせずに内製化することでコスト削減とノウハウの蓄積を両立。自転車、バイク、軽自動車を営業車両にしてさらにコストを抑え、全国にある営業所も簡素化を徹底している。こうした努力を積み重ね、無理な拡大を行わず堅実な無借金経営を維持していることも、オーナーにとっては大きな安心材料だ。


家賃は、フォーシーズの固有資産とは分別して管理されるため、万一同社が倒産しても保全される。

「保証会社の倒産も、オーナー様にしてみれば不安要素でしょう。それを払拭するために、弊社では信託(保全)スキームを導入しています」

具体的には、家賃を信託銀行が預かり、銀行がオーナーに振り込む。つまり、万一フォーシーズの事業継続が困難になっても家賃は保全されるのだ。

「当社は、いわば不動産事業のインフラ。多くのオーナー様は多額の資金を借り入れて賃貸経営をなさっていますし、家賃が滞れば借り入れ先の金融機関も困る。お金の流れをスムーズにすることが私たちの役目なのです」

世の中がどれほど機械化されようとも、人の力でしか解決できない問題は必ずある。フォーシーズは「人にしかできない事」をサービスの中核とし、スタッフが文字どおり汗をかいてそれをやり遂げることに価値を置いている。

とはいえ手段としての機械化は積極的に進め、オーナーや不動産会社、入居者の利便性向上と、コスト削減を目的にWEBシステムを導入。審査申し込みや家賃延滞報告を簡単に行えるようにしている。

「私は小さいころから額に汗する人こそが称賛に値すると考えていました。これまでさまざまな事業を経験しましたが、今の仕事は『人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事』も多い。しかしだからこそ、市場は拡大しているし、非常にやりがいもあると感じています。スタッフにも常に社会に貢献する意識を持って汗をかいてほしい。そうでなければ、わが社に存在価値はないと思っています」

今後、民法の改正で連帯保証人制度にメスが入ることも見込まれる。不動産賃貸市場のインフラとして、フォーシーズはますます注目を集めることになるだろう。

「人材が核となる事業に特化致します」を社訓の一つに掲げるフォーシーズ。課題解決能力を高めるため、各種社内研修にも力を入れている。
入居者の部屋での荷物整理を想定したコンテストのシーン。実際の業務に即して、技能を競い合うことで、スキルアップ、モチベーションアップを図っている。