日本の家計に占める資産の割合をご存じだろうか。ざっくり言えば、現金は2割にすぎず、不動産が7割を占める(その他1割)。当然ながら、相続財産においても、その大部分が不動産となる。

相続財産としての不動産は、実にやっかいだ。ハイアス・アンド・カンパニー経営支援本部の谷原弘堂氏は、生前対策の必要性を語る。

ハイアス・アンド・カンパニー株式会社
経営支援本部 執行役員
谷原弘堂
エグゼクティブコンサルタント
宅地建物取引士

「突然相続が始まったら、『要る』『要らない』で相続人同士の調整が進まない。調整が済んで売却するにしても、土地の境界線がはっきりせず、測量から始めて隣家との交渉が必要なことも。不動産相続にはもめる要素がいくらでも存在します。また、相続放棄する場合には、原則3カ月以内に手続きを完了させなければならず、相続税が発生すれば10カ月後には納税が待っている。相続が発生してから慌てるようでは、納得の相続はできないのです」

相続の相談相手として思い浮かぶ弁護士や税理士は、ほとんどの場合、「事後」でないと具体的に動けない役どころだ。相続開始後、手続きをサポートしてもらったり、もめ事になってから間に入ってもらったりする相手であり、生前の相続対策として、不動産について相談できる先は思いのほか少ない。

「そこで頼りになるのが、当社が全国80エリアで展開する『不動産相続の相談窓口』(以下、窓口)です」(谷原氏)

窓口の最大の特徴は、地元密着型の不動産会社や工務店、リフォーム会社が運営している点だ。

「地元密着型の会社」だからできることがある

「地元密着の窓口を相談のパートナーに選ぶメリットはとてつもなく大きい」と谷原氏は断言する。

「不動産相続でありがちなのは、エリアのことをよく知らない会社から賃貸経営をすすめられ、物件を建ててみたものの、次第に空室が増えて経営が厳しくなり、相談しても大してフォローをしてもらえない……といったケースです。一方、地元密着の会社なら、エリアの不動産マーケットを熟知しており、ニーズや周辺物件事情にもくわしい。売却にせよ、賃貸経営にせよ、的外れな提案はしません」

捨て値で売る、空室だらけの賃貸物件を増やすなどして、エリアの不動産価値が低下したら、地元に根を張る会社は、自らの首を絞めることになる。

「おのずと、エリアの不動産価値を大切にした提案になります。それは、お客様の利益にもつながる。つまり、ウィンウィンの関係なのです」(谷原氏)

ハイアス・アンド・カンパニーは加盟会社に相続関連のコンサルティングスキルを伝授、相談の成功事例を共有するほか、勉強会やセミナーの運営ノウハウも提供している。

「窓口に加盟したいというお問い合わせを多数いただいており、窓口数は予想を上回るペースで増えています。実は相続トラブルは資産家ばかりでなく誰しもに起こり得るもので、こうした窓口は各地にあるべきです。目指すのは『もめない不動産相続』の実現です」

各地の窓口は連携しており、関西の相続物件に関して東京の窓口で相談し、実際の対応は関西の窓口で行う、といったことも可能。不動産相続が不安なら、まず近くの窓口で開催される勉強会に参加してみてはどうだろう。