従来の会議のやり方が時代と合わなくなっている

多くの企業にとって、会議時間がいたずらに長くなってしまったり、内容が予定調和なものに終止してしまうことは大きな悩みの種だろう。会議に参加していて、「この会議はやっていて意味があるのか」と感じたことがある読者も多いはずだ。

原因はどこにあるのか──バルコ株式会社の笹野真男氏は「多くの企業が、紙で資料を配布したり、PCとプロジェクターを接続し、画面を投影するなどしていますが、これが徐々に時代に合わなくなってきているのです」と語る。

事前準備なしに画面を共有。全員が積極的に参加すれば会議が変わる。
笹野真男(ささの・まさお)
バルコ株式会社
コラボレーション事業部 事業部長
ClickShareの日本市場展開における事業マネジャー。今年をコラボレーション事業部元年としてさまざまな展開に着手している。

例えば紙での資料配布の場合、「会議の前日までに資料を作って人数分印刷する、といったことが必要になります。しかし、最近では会議のぎりぎりまでパワーポイントなどで完成度を高めたい、という人も増えています」と笹野氏。また紙の資料の場合、会議の聴き手が話す内容を先に確認できてしまうため、「集中力がなくなり、会議が活性化しないという問題もあります。営業のプレゼンテーションなどに使うケースでは、紙の資料を渡すと競合他社に情報が漏れてしまうと考える企業も増えています」という。

さらに、プロジェクターやモニターでPCの画面を共有する場合は、話者が変わるたびに数分程度会議が中断してしまうという問題がある。加えて、常に投影した画面を参加者が見るスタイルのため、中心になって話す人とそれを聞く人に参加者がはっきり分かれてしまい、皆で議論するという形が取りにくくなってしまう。

こうした状況を変えるにはどうしたらいいのだろうか。笹野氏は「話者が、聴き手をどれだけ会議に引き込めるかが重要。状況によっては、話者と聴き手が自由に入れ替わることも必要になります」と語り、「当社が開発した『ClickShare』を使えば、こうしたことが可能になります」と続ける。

PC、スマホ、タブレットの画面を一瞬で共有できる

ClickShareはバルコが開発したワイヤレス・プレゼンテーション・コラボレーション・システム。会議室に設置したプロジェクターやモニターに、会議の参加者が持つPCやスマートフォン、タブレットの画面を簡単に送ることが可能だ。

PCで使う場合は「ClickShareボタン」と呼ぶ、押しボタンが1個付いた装置をUSBで接続するだけ。ソフトのインストールなど、事前の準備は必要ない。ボタンを押すと、ベースユニットを通じてPCの画面をモニターやプロジェクターに送ることができる(ベースユニットは、ケーブルでモニターやプロジェクターと接続する)。スマホやタブレットの場合は、専用の無料アプリをインストールすればOK。アプリ上のClickShareのボタンを押すと映像の送信が始まる。

ClickShareを使うと、会議はどう変わるのだろうか。笹野氏は「例えば会議の参加者が、自分のスマホにある写真をモニターに映して説明したいと思ったら、すぐにそれを実行できます」と話す。それまで映していたPCの画面をスマホに切り替えられるだけでなく、画面を分割して2つのデバイスの映像を同時に映すことも可能だ。

非常にシンプルで、特別な準備が必要ないため、例えば取引先などの来客がすぐにその場で資料を共有したいというときにも便利である。

また、会議以外にも、オフィスの隅のスペースにモニターを置き、日常的な打ち合わせにClickShareを使っている企業も増えている。商談やブレストなど、アイデアしだいで多様な使い方ができるというわけだ。

ClickShareを導入するメリットはほかにもある。PCに専用ソフトなどをインストールする必要がないため、IT部門がソフトウェアを配布・管理する手間が発生しないのだ。「ソフトのインストールによってトラブルが発生し、総務部門がIT部門を呼ぶ」といったことも起きないため、IT部門に負荷がかからない。中小企業など、専任の担当者がいない会社にとってもありがたいだろう。「そうした手間の少なさに魅力を感じていただけるケースは多いですね」と笹野氏。

欧米などの市場ではすでに高い人気を獲得

バルコは本社をベルギーに構え、世界90カ国に拠点を置く、グローバル・テクノロジー・カンパニーだ。主に業務用可視化システムの分野で事業を展開。80年を超える歴史を持ち、高い技術力で常にイノベーティブな製品を送り出している。

そうした中で誕生したClickShareは会議の活性化ツールとして世界各国の企業で導入されている特徴的な製品の一つだ。昨年12月、日本向けの新たなパッケージとして、「CS─100コラボスイート」と「CSE─200コラボスイート」が投入された。「ClickShareは多くの企業で会議の変革に貢献すると考えています。これまで使われていた機器より、情報をシェアするスピードを格段に速めることができるからです。それによって生産性の向上、コストダウンはもちろん、コミュニケーションの在り方も新しいものになるでしょう」

発売以来、日本でも順調に導入企業が増えているが、本格普及はこれからだという。例えば、ドイツでの販売実績は日本の約5倍。欧米では、ポピュラーなプレゼンテーションシステムとして認知され始めている。

「日本でも会議に悩みを持つ企業は多いはず。当社としても、“新しい会議のスタンダード”を支えるツールとしてより広く紹介していきたいと考えています」

会議の時間短縮や活性化、業務効率化、また働き方改革の対応など、企業の共通課題に応えるClickShare。多くの会社にとって見逃せないビジネスツールといえそうだ。