SEMINAR Part1 キャリア編

佐々木かをりさんが語る、幸せになるための心構え

人が輝き、幸せを感じるために

「働きやすい会社」には、働き手自身の努力も大切ですよね

佐々木かをり●ささき かをり
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
上智大学卒業後、通訳、翻訳の(株)ユニカルインターナショナル設立。2000年、働く女性の声を発信する(株)イー・ウーマン(www.ewoman.jp)設立。現在両社の社長を務める。毎夏、1000人の働く女性たちが集まる「国際女性ビジネス会議」を主催。時間管理のための「アクションプランナー」手帳(www.actionplanner.jp)も考案。2児の母。

 

どうしたら幸せになれるのでしょうか。それはある意味で簡単なこと。自分が幸せを作り、感じる人間になればいい。多くの人とつながり、役立ち、貢献していけばよいのです。

このところダイバーシティという言葉を耳にしますが、これは単に女性の割合を増やすことではありません。人の数だけ視点があるから、相互にそれを認め合い、十人十色のアイデアが出る状態をつくること。その多様な視点により、会社にとっても、チームにとっても、いい結果が生まれることなのです。

だから「働きやすい会社」とは自分に都合のいい会社ということではありません。各自が最大の成果を出せる環境があり、各自が毎日貢献すること、その両方がそろうと、働きやすい、ということになるのです。

働くことの意味とは

そもそもwork という言葉には、機能する・役に立つという意味があります。ダイバーシティな社会・組織では、各自の存在意義が問われるということです。ただ出社すればいいのではなく、今日の自分の仕事ぶりが会社の売り上げをアップさせたか、職場の雰囲気を良くしたか、会社を1センチでも前進させたかと毎日意識することも大切でしょう。会社の役に立ってこそ、働いているということだからです。

セミナーは2016年8月31日に開かれた。会場は働く女性を中心に、多くの来場者があり、盛況だった。

役立つ人となるためのキーワードの一つが「I statement」。「私」を主語にして、自分の意見を伝える技術だと私は教えています。また、大切なのは、イエスから考える思考。何かを依頼されたり、提案されたら、まず「Yes」と考え、その方法を探るのです。新しい仕事にも挑戦しましょう。

「責任」、と考えると重いですが、英語のresponsibility と考えると、対応能力ですから、たとえ失敗したとしても、必ず次にその経験を活かせる。何かを引き受けるたびに対応力が高まります。

自らを“予約”すること

自分の力をいつも100%出すことも大切です。その方法の一つが、時間管理。約束の管理ではなく、自分が持つ時間全体を見える化し、自分の行動をマネジメントするということです。私は「アクションプランナー」という手帳で、自分を“予約”する、という時間管理術を教えています。会社や家庭のことなど、すべてを一冊に書くことで、自分の行動が一元的に見えてきます。この手帳は、いわば自分の人生脚本で、自分というタレントを自分というマネジャーが動かしていくという感覚です。人は自らがハッピーだと最大の生産性を発揮します。自分の力を発揮して、社会や組織に貢献する。輝きは自らが放つものであり、幸せは自らがつくり出すものなのです。

SASAKI&HAMADA TALK

誰もが公平に扱われ、夢が実現できる世の中へ

【浜田】「幸せは自分でなるもの」とのお話に感銘を受けました。最近、幸せ度が薄いと思っていたけれど、単に自分ができることをし足りないだけなんだって(笑)。

【佐々木】自分が周囲に貢献して、そこで、役立てば幸せになれる。会社で働くのも同じことです。アルヒさんは「日本一働きやすい会社」を目指しておいでですよね。

【浜田】ええ、まだ道半ばですが、今日の佐々木さんのお話をヒントにして、社内で話をしようと思っています。

【佐々木】「働きやすい会社」って同時に厳しい側面もありますよね。仕組みをつくるのは会社ですが、その仕組みの中で働き手が自ら輝き貢献する強い気持ちが必要です。

【浜田】まさに! そういう気概を持って、誰もが幸せに働ける会社にしたい。アルヒは【フラット35】という、ある部分公的な住宅ローンを扱っています。だからこそ、日本にお住まいの方に、可能なかぎりすばらしい家を持っていただきたい。お客さまも、すでに2割は女性なのですよ。

佐々木】例えばLGBTの人も、世の中に8~10%いるといわれています。こうした人たち向けに新たな市場を開拓できれば、ビジネスとしても経済合理性にかなっているんですよね。

【浜田】そうですね。それに、お客さまは日本人だけではありません。全体の10%は永住権を持つ外国人の方なのです。彼らは日本に来て、仕事をして地域に貢献している。女性も含めて、そうした正しく遇されていると言いがたい人たちは、われわれの仲間じゃないですか。

【佐々木】同感です。多様性が実現されて、誰もが公平に扱われ、働きたい人が働き、家を持ちたい人が家を持てる。そうなれば世の中も、すばらしいサイクルになっていきますよ。